2025.03.31NTTリーグワン2024-25 D1 第13節レポート(浦安DR 26-54 埼玉WK)

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第13節(交流戦)
2025年3月29日(土)12:05 キューアンドエースタジアムみやぎ (宮城県)
浦安D-Rocks 26-54 埼玉パナソニックワイルドナイツ

楽しんだ先に、堂々のリーグワン初先発。出現した、埼玉WKの新たな10番

黒星が続くなかでの初先発で堂々のパフォーマンス、埼玉パナソニックワイルドナイツの齊藤誉哉選手

まだ冬を思わせる冷たい風が吹いたキューアンドエースタジアムみやぎでの一戦は、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)が浦安D-Rocksに勝利。ビジターゲームで連敗を止め、ボーナスポイントを含めた勝ち点5を獲得した。

堂々のリーグワン初先発となった。そのパフォーマンスについて、名将のロビー・ディーンズ監督が「キックが非常に好調で、若い10番がチームを勝利に導いてくれました」と高く評価すれば、ともにハーフ団を組んだ9番のゲームキャプテン・小山大輝も「初先発だと緊張して自分のパフォーマンスを出せない選手も多い中で、コンバージョンゴールを多く決めてくれ、シェイプの声もすごく出してくれました」と24歳のスタンドオフを称えた。

チームが苦しい状況で3連敗は絶対に許されない中での先発出場でも、齊藤誉哉は本来の力を発揮する。「多少の緊張はありましたけど、自分の仕事にフォーカスすることを考えていました」。その言葉どおり、コンバージョンキックは6本中5本成功。「100%で決めたかったですけど、結果的には良かったです」と一人で10得点を挙げ、勝利に貢献した。

言わずもがな、埼玉WKのポジション争いは激しい。各ポジションに実力者がズラリと並び、今後のレギュラーシーズン終盤戦、そしてプレーオフトーナメントに向けて、さらに競争はし烈を極めるだろう。それでも普段から「各国の代表がいる中にそこに自分も混ざってラグビーをできているので、素直に楽しいです」と置かれた環境を楽しむ齊藤が戦力の一人として計算できることを、この日、自らのパフォーマンスで証明した。

「今日に向けて常に準備はしていました。次にいつ出番があるかは分からないですけど、今後もいつでもどんなタイミングでも何番でも出られるように、100%の準備をしてチームに貢献できるように頑張りたいです」

3シーズンぶりの王座奪還を目指すチームに、杜の都で、今後が楽しみな選手がまた一人誕生した。

(須賀大輔)

浦安D-Rocks

浦安D-Rocksのグレイグ・レイドロー ヘッドコーチ(右)、田村煕ゲームキャプテン

浦安D-Rocks
グレイグ・レイドロー ヘッドコーチ

「選手たちは努力の部分はすごく出してくれたと思いますが、最終的には精度を欠くプレーがあり、ワイルドナイツさんのようにいいチームを相手に、特に後半でそういう部分が露わになってしまいました。そこをうまく突いてきたワイルドナイツさんを称えたいと思います」

──前節から先発メンバーを大幅に入れ替えましたが、その意図を教えてください。

「狙いとしては三重ホンダヒート戦に出て、(試合出場の)プレー時間がかさんでいるメンバーが多かったので、コンディションの部分が大きいです。前半はフレッシュで元気な選手を使うことによってかなりいいパフォーマンスを見せられたと思いますし、ローテーションしてもいい選手がそろっていることは見せられたと思います。ただ、いくつか弱い瞬間がかさんでしまって、そこからいいチームを相手に突き放されてしまいました。先ほど(田村)煕が言ったように、自分たちは負け慣れてしまってはいけないので、いつも自分たち自身にフォーカスを置いてパフォーマンスを作っていかないといけないですね。そういうところを踏まえて来週に向けて準備していきたいです」

──今季は「一貫性」というものを非常に大事にして戦ってきていると思いますが、今日の試合でも前半と後半で展開が変わってしまいました。シーズン終盤に差し掛かって、その「一貫性」の部分についてはどう感じていますか。

「そこは継続して改善していく課題です。ただ、今日は若い日本人選手を起用して出場時間を与える目的は達成できたと思います。D-Rocksとして長いことをかけてチームを作っていく中でそれを信じながらやっていかないといけないです。なので、80分をとおして長期的にチームが機能することは、継続的に改善していくところですが、これから先にこういった経験が生きてくると信じて続けるのみです」

浦安D-Rocks
田村煕ゲームキャプテン

「宮城の地でプレーできたことをうれしく思っています。いま、G(グレイグ・レイドロー ヘッドコーチ)が言ったように、いい部分ももちろんありましたけど、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)の強みが出た試合だと思います。僕たちは負け慣れてはいけないので、そこのマインドセットの部分は、どのチームに対してもしっかりと仕掛けていくことはやらないといけないことだと思います。1週間全員でいいエフォートはできていたので、僕自身は非常に悔しいと思っています」

──今季は「一貫性」というものを非常に大事にして戦ってきていると思いますが、今日の試合でも前半と後半で展開が変わってしまいました。シーズン終盤に差し掛かって、その「一貫性」の部分について選手としてはどのように感じていますか。

「今季からディビジョン1に上がったチームでいろいろな選手がいると思います。若い選手もいるし、D1を戦ったことのない選手もいます。たとえば、Gが言っているようにソフトモーメントがあったり、ゲームの中で大事なキーモーメントがあったりする中で、それを分かっている選手と、まだ経験したことのないところに飛び込んできている選手もいるので、そこのギャップはありながらも10番としてはどういうふうにゲームをコントロールするかは考えています。チーム内でスタンダードを上げていかないといけない選手たちが、しっかりとリードして、そういう選手を一人でも多く作っていくことが大事だと思うので、クラブとしてもしっかりと経験を積まないといけないです。でも、『経験を積めたから良かった』という感覚で終わるのは良くないので、勝つというマインドセットがとても大事だと思います」

──試合前の円陣では選手たちに笑顔が見られましたが、どんな言葉を掛けたのでしょうか。

「今日の23人だけではないですけど、みんな集中するとけっこう硬くなってしまうので、トップチームに対して何の差はないし、しっかりとこの瞬間を楽しむということを言いました。ハーフタイムにも言いましたけど、『やれる』という感覚をもてたときはみんな強いです。でも、そこに入っていくまでに、埼玉WKはいろいろな経験をしてきて、どのくらいできるか自分たちで分かっていると思いますけど、D-Rocksでどこまでできるか分からない選手たちはプレーが乗るかどうかで最初は硬くなるので、僕としてはそんなに差はないということを伝えて、そういう表情になったと思います」

──「悔しかった」という言葉もありましたが、詳しくその思いを聞かせてください。

「埼玉WKは後半20分以降に自分たちの時間がくると思っていたと思います。そのとおりになって、僕らもそこは分かっていましたけど、それでもうまくいかないのは、クラブとしての経験の差もあると思います。個人的なイケるという気持ちと感覚のギャップのある選手がいるので、そういう意味で本当に悔しかったということですね」

埼玉パナソニックワイルドナイツ

埼玉パナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督(右)、小山大輝ゲームキャプテン

埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督

「今日の試合はチャレンジングな試合になると思っていましたので、無事に終えられて光栄に思います。先週と比較してメンバーに大きな変更がありました。けがもありますけど、リーグワンは非常にタフな大会になっていますので、やむを得ないと思います。今日、代わりに入ったメンバーもこの経験を経て成長していくと思いますし、今日出た選手たちの経験値はチームにとってプラスになっていくと思います。

特にデビューを飾った3番のリサラ・フィナウ選手は無事にファーストキャップを手にしましたし、非常に楽しみな選手です。また、若い10番の齊藤誉哉選手はキックも非常に好調で、チームを勝利に導いてくれました。そして、マリカ・コロインベテ選手はチームで記念すべき50試合出場となりました。入団から非常に短い年数での達成となりました。

ハーフタイム時点では私自身もフラストレーションを抱える試合でしたけど、その後、チームが立て直して勝利で終えられたことをうれしく思います。無事にD-Rocks戦を終えられたことが何よりです。(小山選手のほうを見て)そしてチームをリードしてくれたキャプテン、チームを非常にまとめてくれましたし、特に後半はチームに勢いをもたらし、勝利に導いてくれたと思います」

──連敗という状況の中で迎えたゲームでしたが、どんなことを大事にして準備してきたのでしょうか。

「目の前の1試合にターゲットを絞って、今週は取り組んできました。確かにわれわれは連敗していましたけど、リーグ戦ということで目の前の試合にフォーカスをして取り組む。そして過去の反省や失敗をしっかりと学びに変えて臨むということを意識して臨んだ結果が、勝利に表れたと思います」

──連敗となってしまったここ2試合と比べて、どんな点が良かったと感じていますか。

「さまざまな要素が考えられると思います。ただ、今日、経験値を積めた選手は非常にいい経験になったと思います。ビジターの試合でボーナスポイントを取って勝利することができたのはチームにとって非常に収穫ですし、特に今日デビューや初先発をした選手がいるなど、チームとして得られたモノが大きい試合だったと思います。来週はホストゲームでトヨタヴェルブリッツを迎えます。非常にタフな試合になると思いますし、これからの試合はすべてのチームに対して、マストウィン、必勝が求められるゲームになってきますので、気を引き締めて臨んでいきたいと思います」

──浦安D-Rocksのグレイグ・レイドロー ヘッドコーチはヘッドコーチ1年目となりますが、どのように映っていますか。

「非常にいいコーチだと思います。これから長いコーチングキャリアが待っていると思いますし、リーグワンの中で若くしてヘッドコーチに就いた元選手は、東京サントリーサンゴリアスの小野晃征ヘッドコーチを含めて、非常にタフな経験をいま積んでいると思います。彼らもラグビーに携わってきた人間ですし、人としても素晴らしいと思います。今季のD-Rocksさんの成長ぶりを見ていれば、彼のコーチングぶりがいかに素晴らしいか分かると思います。今後のヘッドコーチとしてのキャリアに期待しています」

──ロビー・ディーンズ監督のような指導者になるためには、どういうプロセスを歩むことが必要だと思いますか。

「学び続けることだと思います。プレーしていたときと同じように、いかなる経験でさえも自分の成長に変えていく。そうすることでコーチングやヘッドコーチとしての能力も上がっていくのではないでしょうか。われわれを含めて、元選手がヘッドコーチになっていく場合が多いですけど、学びに対してオープンである姿勢はすごく大事な要素だと思います。学び続けること、そして恥をかくことを恐れないことが大事だと思います。そういう姿勢を続けていくことでヘッドコーチとしての能力も上がっていくと思います。そして何よりも大切なのが、いい人材を自分の周りに置くことだと思います。それはオンフィールド、オフフィールドともにですね」

埼玉パナソニックワイルドナイツ
小山大輝ゲームキャプテン

「試合前には円陣で『ワイルドナイツのスタンダードをここで示そう』と言いました。前半はディフェンスで受ける部分が多くて、自分たちの勢いが作れませんでした。ハーフタイムに円陣をもう1回組んで、『自分たちのスタンダードを取り戻そう』と話して、後半だけを見れば、いい勢いでできたと思います。あとは、ファーストキャップのリサラもそうですし、初先発の誉哉とハーフ団を組めて自分の成長になりました。誉哉の今後の成長はすごく楽しみです」

──初先発となった齊藤誉哉選手と一緒にプレーしてみて感じたことや今後に期待することを教えてください。

「初先発は誰もが緊張して、いいパフォーマンスを出せない人が多い中で、コンバージョンを多く決めてくれましたし、シェイプの声もすごく出してくれてやりやすかったです。まだまだ足りないところはありますけど、初先発のパフォーマンスとしてはすごく良かったと思います」

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