NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第10節
2025年3月29日(土)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 40-7 日本製鉄釜石シーウェイブス
「ポジションを引き継ぐ者として」奮い立たせた心。尊敬する先輩の記念試合で見せた最高のインパクトプレー

NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)が柏の葉運動公園競技場に日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)を迎えた試合はホストのGR東葛が完勝。5連勝かつボーナスポイントを含めた勝ち点5を5試合連続で手にした。GR東葛はこれで勝ち点を35に積み上げ、暫定ながら首位の豊田自動織機シャトルズ愛知に勝ち点差2と肉薄した。
「ヴォウさん(アセリ・マシヴォウ)のためにも、責任をもってプレーしないといけない。急な出番だったけれども、そう心に誓いグラウンドに向かいました」
急きょ交替出場となったミティエリ・ツイナカウヴァドラが、同じポジションで切磋琢磨する先輩のマイルストーンとなった試合で躍動した。長くチームの屋台骨を支え続けているマシヴォウが8番で先発出場しGR東葛での50キャップを獲得した記念の試合。しかし、そのマシヴォウは足を痛め、前半18分にグラウンドを退くことを余儀なくされた。ベンチに歩いて戻る先輩の姿を見て「本当に本人もがっかりしていた様子に見えた。だからこそ、ポジションを引き継ぐ者として、『ヴォウさんのために、そしてチームのために100%で頑張ろう』とすぐにスイッチが入った」とツイナカウヴァドラは心を奮い立たせた。
まずは出場直後のプレー、ハーフウェイライン付近からその強いフィジカルでディフェンスをはね飛ばして縦に突進。ツイナカウヴァドラはこのプレーでモメンタムをGR東葛にぐっと引き寄せる。そして両チーム譲らぬ展開の中で迎えた前半36分に圧巻のプレーが生まれる。マリティノ・ネマニのオフロードパスを受けるとツイナカウヴァドラがディフェンスラインを突破。群がる相手バックス陣を交わしてトライを奪い、雄たけびを上げた。
さらに、スタンドの“クルー(GR東葛ファン)”を熱狂させたのが後半14分に飛び出した“爆走トライ”。釜石SWのラインアウトがロングとなったルーズボールに駆け込み、味方からボールを受けると一瞬の加速でディフェンスを置き去りに。「(ディフェンスラインに)ギャップを見つけ、チャンスだと判断し思い切って走った」。そこから60m以上を独走、最後はタックルしてきた相手を引きずりながらトライエリアに飛び込んだ。
「けがは本当に残念でしたが、ヴォウさんの思いも受けて頑張れた。『もっとレベルアップしてチームの力になりたい』といつも思っているので、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選んでいただけたのはとてもうれしい。『もっともっとできる』と自分自身に期待しているので、次の試合でもヴォウさんのレベルに近付けるように全力で臨みます」。ファンからの歓声に応えるその笑顔は輝いていた。
(関谷智紀)
NECグリーンロケッツ東葛
NECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ
「今日、フィールドに到着したタイミングでまだ少し雨が降っておりまして、地面が濡れていることもあって『目標とする勝ち点5を取り切ることに影響があるのではないか』と少し心配をしていました。前回の試合から今回に掛けて良くしたかった点として、『より良いスタートを切る』ことを目標として掲げていまして、ディフェンスの観点でもそうでしたし、よりフィジカルなスタートを切りたいということが今週の目標でした。風下の状態で前半をスタートして、特に自陣22mライン付近でのディフェンスが非常に良かったと思っています。
日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)さんが良いポゼッションから自陣に攻め込んできたのですが、それに対抗するディフェンスのワークレート(運動量)が非常に良かったと思いました。スクラムも前回の試合に比べて、より改善されたと感じています。リザーブのメンバーも全員が良いインパクトを残してくれたと感じていて、特にミティエリ(・ツイナカウヴァドラ)はロングディスタンスを走ってトライというプレーを2回も決めてくれました。(ナサニエル・)トゥポウも数週間前に負ったとても重いけがからの復帰を果たしてくれましたが、彼にもしっかり約40分の出場時間を与えることができて非常に大事な復帰ゲームになったと思います。全般的に、リザーブから出場した選手が良いインパクトを残したという印象があります。完璧なパフォーマンスかと言われればそうではなかったと思いますが、特に後半に相手を突き放すこともできたし、ボーナスポイントを含めた5点の勝ち点を取り切ることができたことに関しては満足をしています。
ヴォウ(アセリ・マシヴォウ)のNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)での50キャップを今日お祝いできたのも良かったと思っています。見てわかるとおり記念のTシャツをチームメートが着ていまして、かつヴォウの家族も会場で試合を観ていたようなので、家族の前でこうやって良い成績を収めることは非常に良かったです。彼自身が前半途中でけがをしてしまったところは残念でしたが……。
最後となりますが、来週選手たちにはダウンロードウィークと言って1週間のお休みを与えます。しっかりその休む権利を選手たちが勝ち取ってくれたと感じています。ダウンロードウィークで体もメンタルもフレッシュにしてまた戻ってきてもらえればと思っています。この(直近)5節で獲得できる最大の勝ち点が25点。その25点をすべて取って5週間を乗り越えることができたので、チームとしてシーズンのスタートは良くなかったですが、ここで良い跳ね上がりを見せることができたと思っています。この5節の戦いは長かったと感じていますので、次節までの期間は選手がしっかり体を休められる良いチャンスだとは思っているのですが、ここまで勢いが付くともうこのままいってしまいたいという気持ちも正直あります。来週のお休みのあとはさらにチームを一段階上げて臨まなければならない試合が続くので、その過程を楽しみにしています」
──快勝でしたが、内容面でどんな収穫がありましたか。
「今週を迎えるに当たって、ポール・フィーニー コーチと一緒に選手はハードワークをしてきていて、その中でもフォーカスしたのが『ダブル』というコンセプトでした。スペースに合わせて2対1あるいは2対2の状況をしっかりと作り上げて『ダブル』という状況を生み出すことにフォーカスをしていました。
今日の試合でも実際に全員が体勢を低くできていて、かつ肩でコンタクトできており良いレッグドライブができていたと感じました。フィーニーコーチがディフェンスでフォーカスしていたもう一つの点はしっかりと腕を回してタックルを仕留めることにフォーカスしておりまして、そういう面でハードワークをした結果、今までの試合と比べたときにタックルミスそのものが今日は減少していたと思っています。
試合前半の早い段階でしっかりスティールからのターンオーバーを誘発しプレッシャーを掛けたことで、大事な局面でもターンオーバーができたと思っています。相手の攻撃もスローダウンすることができましたし、そのぶん、われわれのラインスピードを上げることもできました。前節の日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)戦での後半のディフェンスが良かったのですが、その良いディフェンスを最初から出すことができたと思っています。日野RD戦と比べて格段に良いスタートを切ることができました」
──リザーブから出場した選手が非常に良かったとのことですが、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたツイナカウヴァドラ選手をはじめとした彼らの評価について教えてください。
「ミティエリ(・ツイナカウヴァドラ)は今シーズン、どちらかというとベンチからのインパクトプレーヤーとしての起用の仕方をしていて、本来は後半から出場の予定でしたが(マシヴォウの)けがによって早い段階で出すことになったということです。彼の強みとしてはディフェンスの足が疲れているところに対してフィジカルに当たっていけるところです。タックルで一度止められたとしてもあきらめずに前に出続けられるし、スピンなどで相手をうまく交わすことまでできる選手だと思っています。今日の試合でも彼が得点の大部分に関わっていると思っていまして、ストロングなキャリーもできるし周りに人が多かったとしてもうまく交わしてスコアまでつなげることができる強い選手だと思っています。
彼のトライは2回ともディフェンスラインを突破したあとに走る距離がまだありました。そのため、しっかりトライラインにたどり着くためには相手バックスの選手を交わさなければいけない状況だったのですが、2回ともしっかりと交わし切ってトライを決めてくれました。フランカーもナンバーエイトもできる選手ですし、かつウイングもカバーできる選手です。チームにとってとても価値ある選手だと思っています。
それから、吉岡義喜については出場時間10分もなくあまり長くはなかったんですけれども、ショートサイドをうまく使ってトライを奪い、与えられたチャンスをモノにしたことを非常にうれしく思っています。試合からだいぶ(期間が)離れていたという状況の中で、ピックアンドゴーからのトライを決めてスコアまでつなげたところがチームに良いインパクトを与えてくれたと思いました。
フロントローのリザーブメンバーもスクラムで相手のコラプシングを誘発してくれましたし、ドライブにも参加してくれました。ジェフ・クリッジと入替したイカ・モツラロ・タカウも役割を果たしてくれました。杉本悠馬も5分程度の出場だったと思いますが、しっかり自分の仕事を全うしてくれたので、今日はリザーブメンバー全員に対して非常に満足しています」
NECグリーンロケッツ東葛
マリティノ・ネマニ キャプテン
「ヘッドコーチがすべて話してくれたとおりだと思うのですが、キャプテンとしては常にみんなに『全力を尽くしてくれ』ということを要求していて、メンバーはそれを遂行してくれたと思っています。ボーナスを含めた勝ち点5を取れたこともみんなのことを非常に誇りに思っています。来週のお休みでスイッチをオフにして、最後となる2週間後からの連戦に備えてしっかり体を休め、みんながスイッチをオンにしてまた戻って来たいと思っています」
──先制トライにつながる直前のプレーで、敵味方問わずあなただけがGR東葛の藤井達哉選手のハイパントへのコンテストに反応したように見えました。そのときの判断について教えてください。
「自分自身が行動で、プレーで何かを示さなければいけないと常に思っているので、ボールを獲得できるチャンスがあったら絶対取りに行くということを意識しています。あのハイパントのシーンではステップアップして体を張るべきだと思い競りに行きました」
──勝ち点5を取れたことについてはキャプテンとしてどう感じていますか。
「とってもハッピーな気分です。まずチームの目標としてしっかりとディビジョン2での上位二つに食い込むことがゴールなので、それに向かって正しい位置にいることができていると思いますし、毎試合勝ち点5を絶対に取りたいと思っているので、取れる限りはこのボーナスポイント獲得を絶対に続けたいと思っています」
──マシヴォウ選手がGR東葛での50キャップ達成という試合でしたが、その試合で勝利できたことについてはどう感じていますか。
「アセリはチームの大部分で、非常に大事な役割を担う選手だと思っていまして、あまり発言は多くないのですがフィールドで自分のできることをしっかりと見せてくれる選手です。こういったマイルストーンを祝うことは非常に大事だと思っていまして、日本で50キャップを積み上げることはなかなか難しいことなので、チームとしてこうやってたくさんのファンの前で彼をお祝いできてハッピーですし、彼の家族の前でお祝いができて良かったと思います」
日本製鉄釜石シーウェイブス
日本製鉄釜石シーウェイブス
須田康夫ヘッドコーチ
「今日は素晴らしい環境の中、ゲームできたことについて非常に感謝申し上げます。釜石SWとしては、GR東葛さんのフィジカルな部分で終始プレッシャーを受けてしまったところはあると思いますが、ゲームプランを守ってエリアをしっかり取るというところで前半はよくできていたとは思っています。そのフィジカルバトルのところで差し込まれる部分が多くて、その中でも選手たちは体を張って戦ってくれたので、そういう意味では次のゲームに本当につながる内容だったかなと思います。しっかりレビューをして次に切り替えて、終盤の4月、5月のゲームにしっかり向かっていきたいと思います」
──攻撃について、相手陣内に入りながらトライを取り切れなかった部分をどう改善していきますか。
「まずセットピースだと思っています。そこでボールを確保できないと得点には結び付かないですので。あとは、接点の近くのところです。ボクシングで例えるならばジャブの部分をしっかりとして球出しをしていかないとフィニッシュまではいけない、というところを改善しないといけないと思っています」
日本製鉄釜石シーウェイブス
村上陽平キャプテン
「先週の試合(花園近鉄ライナーズ戦)に比べて、ブレイクダウンでの接点のところの我慢やファイトという部分はすごく良くできていたと思います。ただ、やはり敵陣に入ったときにスコアできないとこういう展開になってしまう、というところをあらためて痛感しました。敵陣に入ったときのアタックのリズムなどを、ちゃんとキャプテンとしてスクラムハーフとしてコントロールし切れなかった、フォワードやバックスにうまくボールを散らせなかったところは反省点だと思っています。そこは修正して次の試合に向けてもう1回準備していきたいと思います」
──前半からキックで陣地を取り合う展開が多かったですが、キッキングゲームについての評価を教えてください。
「比較的良かったと思うのですが、チームとしては入りのところでのキックチェイスに若干甘いところがあったので、キッキングゲームになるということは分かっていたのにそこがどうしても乱れてしまい相手の強いランナーに走られてしまったところがありました。最終的には修正できたので良かったのですけれども、最初からしっかりオーガナイズしなければならなかった点はありました」
──次につながるポジティブな部分はどこですか。また次の試合に向けてどういう点を修正したいか教えてください。
「ポジティブな部分はディフェンスのところでしっかりとダブルで入れていたところです。しっかり相手のブレイクダウンにプレッシャーを掛けられたところでは自分たちのディフェンスができていたので、そこは相手もなかなかリズムを出しづらかったのではないかと個人的には思っています。そこはこの試合のファイト、フィジカルバトルのところをスタンダードにしてもっともっとチームとしてレベルを上げていきたい。そのあたりが次につながる内容だったと思います。今後への修正点としてはやはり22mラインから敵陣に入ったところでしっかりスコアして帰るところです。スコアしないことには相手にプレッシャーも掛からないので、どうスコアしていくかについての工夫も必要です。今日の試合の課題も含めて、リーダーとしてもスクラムハーフとしてもしっかりとチームに対してアプローチして次につなげていきたいと思います」