NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第13節(交流戦)
2025年3月30日(日)13:05 クラサスドーム大分(旧レゾナックドーム) (大分県)
横浜キヤノンイーグルス 17-29 トヨタヴェルブリッツ
パスに、キックに、ゲームコントロールに。入社式を2日後に控えた10番が導いた逆転勝利

今季わずか2勝のトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)が、後半の立ち上がりから猛攻を仕掛けると、意地の逆転勝利。セカンダリーホストエリアの大分県で今季唯一の開催となったホストゲームを戦った横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)を29対17のスコアで退けた。
アーリーエントリー選手が10番を背負ってリーグワンの先発のグラウンドに立つ。将来を嘱望された選手が大舞台で力を発揮できるように、トヨタVの彦坂圭克ゲームキャプテンは「どんな状況でも楽しまないともったいないから、楽しむことを強調した」という。大先輩たちによる配慮の効果もあったのだろうか。小村真也は、80分のプレータイムを「気負わずにできた」と振り返る。
開始4分には早速チームファーストトライに関与。トライアシストにつながるシーンでは、青木恵斗からパスを要求する声が聞こえたという。「自分たちの得意な形でトライを取り切れたので、最初の勢いにつながった」と試合後の小村は冷静に語った。
また圧巻のプレーは、5対7のスコアで迎えた後半立ち上がり2分のキックパス。右ウイングのジョセフ・マヌへ展開した正確無比なパントキックが、逆転のトライにつながった。小村が言う。
「ジョーイ(ジョセフ・マヌの愛称)が外に寄って僕がキックを上げたらボールを取ってくれると信頼しているので、その感触のまま蹴ったらやっぱり取ってもらえた。良い関係性でラグビーをやらせてもらっています」
さらに直後のコンバージョンキックも成功。小村の活躍により、12対7とスコアをひっくり返したトヨタVは、その後も優勢に試合を進め、横浜Eとの“大分決戦”を制した。
指揮官の大抜擢に応える大活躍にスティーブ・ハンセン ヘッドコーチは「非常に試合をよくコントロールしていたし、キックやパスのクオリティーも非常に高かった」と称賛。世界的名将が「非常に将来が有望な選手」と太鼓判を押す逸材は、横浜E戦の2日後に入社式を控えているという。
それでも、入社式当日は練習参加が最優先。すでにチームの貴重な戦力である小村は、次節・埼玉パナソニックワイルドナイツ戦での勝利に向けて、最善の準備を尽くす。
(郡司聡)
横浜キヤノンイーグルス

横浜キヤノンイーグルス
沢木敬介監督
「今季初めてであり、また唯一の大分県でのホストゲームで良いゲームを見せられなかったことを申し訳なく残念に思っています。毎回のように言い続けていることですが、自分たちから崩れてしまうパターンは一緒です。なんとか改善しようと毎週チームで模索しながらやっていますが、改善されないのが現状です。ただ下を向いていても何一つ良いことはないので、次の試合に向けて良い準備をしていきたいです」
──3連敗という結果になりましたが、共通した敗因とは何でしょうか。
「こだわりがないというか、やり切ることができない何かがあるでしょうね。それはマネジメントをする私の責任です。例えばシステムをしっかりとやり切るとか、そういう細かい部分が疎かになっています。アタックでもチャンスはたくさん作っていますが、それがスコアにつながっていないですし、フィニッシュの形まで持ち込めていません。そういう面はディフェンスのほうにもあると思います」
──次節に向けての準備期間から、新加入のジャンドレ・ラブスカフニ選手がチームの一員になります。新戦力が入ることでチームにどんな化学反応が起こることを期待されていますか。
「新しいメンバーが入ってくると、もちろんポジティブな要素もたくさんあると思います。例えば外国籍選手同士のコンペティション(競争)が激しくなります。そういった良い要素をチームに反映していきたいと思います」
横浜キヤノンイーグルス
古川聖人ゲームキャプテン
「大分県でのホストゲームにたくさんのイーグルスファンのみなさんにお越しいただいた中で、良い結果を届けられなかったことを残念に思っています。ただ、今日の声援を聞いて、大分県がセカンダリーホストエリアであることをあらためて実感できました。また次の機会にイーグルスらしいラグビーをお見せしたいと思います」
──古巣であるトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)戦にゲームキャプテンとして臨んだ心境を聞かせてください。
「もうイーグルスの選手なので、相手がトヨタVであることはあまり関係がありません。相手うんぬんよりも、どんな相手にもイーグルスらしいラグビーをしなければいけないという気持ちで臨んでいました。相手どうこうではなく、勝ちたい気持ちが強かったです」
──後半のラスト10分ぐらいの時間帯は、数的優位の状況で逆にスコアをされてしまう展開もありました。
「『ペナルティをしないように』、と話していましたが、その中で自分がチームメートに対して、良いメッセージを届けられていなかったのか、ペナルティを繰り返してしまい、自分たちで勝てるチャンスがあるのに、自分たちでそのチャンスを手放す状況を作ってしまいました。ゲームをとおして言えることですが、前半は我慢し続けることでトライを取ることもできました。でも後半は我慢をしてトライを取ったのに、そのあとに一瞬気持ちが緩むというか、気持ちがソフトになる一面が何回もあることで、3連敗という結果にもつながっています。そうした状況が生まれたときに、相手に流れをもっていかれているので、チームをリードしていく立場の選手がもっと良いメッセージを与えることや、行動で示すことは引き続きやっていきたいと思います」
──トヨタVが相手であることは意識していなかったという話でしたが、マイケル・フーパー選手に教わったことを本人の前で示せたという実感はありますか。
「相手の7番に仕事をさせないようにしようと、フーパー選手がジャッカル(スティール)に来そうなところには思い切って入っていくことや、スピードに負けないことは意識していました」
トヨタヴェルブリッツ

トヨタヴェルブリッツ
スティーブ・ハンセン ヘッドコーチ
「選手たちのエフォート(努力)を誇りに思います。もちろんここ数週間で選手たちの努力を疑ったことはありませんが、今日の試合に関してはアタックとディフェンス、その両面で実行力を発揮できたことが勝利につながりました。勝利という結果は非常にうれしいです」
──木津悠輔選手を久しぶりに先発で起用しました。評価はいかがでしょうか。
「1週間をとおして非常に好調でした。彼自身は素晴らしいマインドセットでプレーしてくれましたし、スクラムはもちろんのこと、攻守両面で誇りに思えるほどのパフォーマンスを見せてくれました。それは彼がもっている強いマインドセットが反映されたと思います。そういったマインドセットができることを、誇りに思ってほしいですね」
──今日はディフェンスの勝利だったと思います。どういったことを改善してきたのでしょうか。
「メンタルにフォーカスをした準備期間を過ごしてきました。フラストレーションにどのように対処していくのか。リーダーをはじめ、ほかのメンバーもよく練習に付いてきてくれました。ディフェンスに関しては、非常に良い時間帯が15分ほど見られましたが、その中で選手たちは集中してディフェンスに取り組んでいました。終盤に得点差が緊迫した展開になっても目の前のことに集中し、グラウンドの中でやるべきことに集中できたという成功体験があることによって、これをすれば勝てるというイメージが沸いた試合になりました」
──10番で初先発だった小村真也選手のパフォーマンスはどう見えたのか。また今後、小村選手に期待していることは何でしょうか。
「小村のパフォーマンスは非常に良かったと思います。非常に試合をよくコントロールしていましたし、キックやパスのクオリティーも非常に高かったです。今後も成長を続けてほしい選手です。今日の夜だけは試合に勝ったという喜びを楽しみ、自分のことを誇りに思ってほしいですが、明日からはまたリフレッシュした状態でスタートを切ってもらえればと思います。非常に将来が有望な選手です」
トヨタヴェルブリッツ
彦坂圭克ゲームキャプテン
「特にディフェンス面は良いエナジーで戦うことができました。一人でディフェンスをするのではなく、チームとして、コミュニケーションを取りながらアグレッシブなディフェンスができたことがとても良かったです。この内容を今日の試合だけにとどめるのではなく、また来週以降の試合に向けて積み重ねていくことで、今後もまた良い結果を残せるようにつなげていきたいです」
──彦坂選手がモールからのトライを取った試合は勝つという縁起の良いデータが残っていますが、今日の試合もそのとおりになりました。その点についていかがでしょうか。
「僕以外のフォワードの7選手がしっかりと押し込んでくれた結果です。僕のトライと言うよりも、フォワード陣全員でつかみ取ったトライと言えるかもしれません。最初のトライはTMOがありましたが、自信をもって最終的な判定を待っていました」
──10番で初先発だった小村真也選手のパフォーマンスはどう見えたのか。また今後、小村選手に期待していることは何でしょうか。
「スキルも高いですし、アグレッシブな選手です。頼りになりますね。縮こまることなく、ラグビーを楽しんでほしいですし、引き続き自分らしさを出してほしいです」