NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第17節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年5月3日(土)14:30 相模原ギオンスタジアム (神奈川県)
三菱重工相模原ダイナボアーズ 28-45 東芝ブレイブルーパス東京
大観衆に示した“ダイナインパクト”。残り20分で得た自分たちのラグビーへの自信
強風下でのゲームマネジメントや相手のミスを得点につなげる決定力。百戦錬磨の東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)が三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)に一日の長を見せる結果となった。
前節にD1/D2入替戦回避を確定して迎えたレギュラーシーズン最後のホストゲーム。相模原ギオンスタジアムには過去最多の8,911人が来場した。相模原市に練習拠点を据えて50年超となるホストチームの相模原DBのナイスプレーに大声援を送り、リーチ マイケルやリッチー・モウンガといったBL東京のスター選手のプレーにも熱い視線を注いだ。
相模原DBは立ち上がり、けがから5試合ぶりの復帰戦となったエピネリ・ウルイヴァイティがあいさつ代わりの先制トライを決める。しかし、BL東京が風上の強みを生かして、徐々に相模原DBのプレッシャーを押し返し、怒涛の7連続トライで畳み掛けて、大量リードを奪う。
しかし、相模原DBの選手たちは試合を少しもあきらめてはいなかった。
この日は、加島DJ、佐川奨茉、服部航大の3選手がリーグワン初キャップを飾り、加入3シーズン目の中森隆太がスクラムハーフで今季初先発するなど、数多くの若手選手が出場機会をつかむ。
そして、「誰も止めることができない、自分たちの素晴らしいラグビー。これを80分間続けられれば、チャンピオンチームになれると全員が自信をもてました」とゲームキャプテンの吉田杏が表現した試合時間残り20分からの“ダイナインパクト”を、大観衆が見守る中で体現する。
中森がラインアウトの横を素早く抜け出す得意のランプレーでトライゾーンに飛び込むと、佐川はチームメートが押し込んだラインアウトモールをトライで完結させる。
「自分たちのラグビーを信じてやった結果、後半の20分に本来の姿に戻ってこられたと思います」。中森はこのように振り返り、「この点差になったのは自分たちのペナルティ、スキルミスだけだったので、そこがなければ勝てたかもしれない試合でした」と胸を張る。
次節は浦安D-Rocksとの今季レギュラーシーズンの最終戦。吉田は「プライドと信念、ダイナボアーズのカラーを証明するいい舞台」と見据えた。
(宮本隆介)
三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ
「前半の20分、最後の20分、われわれがどれだけ良いチームになれるのかを見せられたと思います。東芝ブレイブルーパス東京もチャンスがあったときにチャンピオンのように、そこ(スコアを取り切ること)を遂行できた試合だと思います。われわれが小さいミスをしたところを相手が得点につなげました。8,911人のファンの前でわれわれが粘ってファイトできたところ、自分たちの良さを見せるところが最後にあって、すごく良かったと思います。いろいろと修正できるところはありますけれど、23人の努力を誇りに思いますし、そこは大事なポイントかなと思います」
──初キャップの選手についてコメントをお願いします。
「デビューした3選手(加島DJ、佐川奨茉、服部航大)も頑張ってくれて、シーズンをとおして努力をし続けたので、シーズン終盤のところで、その甲斐あってチャンスをつかんだと思います。プレーも良かったと思いますし、若い選手がどんどん手を上げてきているということは、われわれの選手層も厚くなっている証拠だと思うので、3人にその機会を与えることができてうれしく思います」
──スクラムが今季で一番良かったと思いますが、スクラムが強い東芝ブレイブルーパス東京への対策をしましたか。
「(スクラムは)シーズンをとおしての課題でありました。フォワード全員とベン・フランクス(アシスタント)コーチが努力した成果だと思いますけれど、みんなが自分の役割を果たして、クフチャ・ムチュヌが3番として安定させましたし、石井智亮も入ったときに安定したスクラムの土台を作ってくれました。そこが安定すると相手も22mライン内に入るチャンスが少なくなる。ゲームとしてもバランスが取れる試合になると思うので、フォワードが全員で今季、努力した成果だと思います」
三菱重工相模原ダイナボアーズ
吉田杏ゲームキャプテン
「試合前にチャンピオンチームに対してどれだけチャレンジできるか、自分たちのDNAや1年間積み上げてきたものをどれだけ見せられるか、それを遂行するだけだというメッセージを送りました。前半は風もあり、我慢する時間帯が長かったですが、そこで簡単なミスであったり、個人でプレーする人がいたり、そういった苦しい場面がありました。ただ、後半の20分、誰も止めることができない、自分たちの素晴らしいラグビーができたと思うので、それを80分間、一貫性をもってできればチャンピオンチームになれるというのは全員が自信をもてたゲームだったと思います」
──風が強い影響もあって、後半の立ち上がりがすごく重要だったかなと思いますが、先にスコアをされてしまったことや、イエローカードもありました。どう振り返っていますか。
「ゲームには流れがあるので、一人少ない状態で規律を守って、自分たちのプランどおりにラグビーができるかということが重要だと思います。14人という中で、個々でプレーをしたり、小さなミスをしたり、小さなズレが失点につながってしまったと思います」
──ハーフタイムにはどんなことをみんなで確認しましたか。
「ディシプリンのところ、個々でプレーをしないといったことを確認しました」
──プレーする中でゲームキャプテンとして若手選手たちにはどんな声を掛けましたか。
「とにかく楽しむことをメッセージしました。考えることなく、記念すべきファーストキャップは今日しかないので、考え過ぎずに自分のプレースタイルを貫いてほしいと伝えました」
東芝ブレイブルーパス東京

東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ
「結果としても非常にうれしく思っています。内容もいいプレーがたくさん見られて、大きなプレッシャーが相手チームからあった中でも、特に前半はチャンスをしっかりとモノにして得点を重ねることができました。後半、風がすごく強かったのですが、中盤以降、三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)さんの強いプレッシャーで追い掛けられた中でも、しっかりと自分たちを見失うことなく最後まで戦うことができました。眞野泰地のけが明けの復帰戦だったり、HIAによる一時交替もあったりしましたが、最後までスマートなラグビーができました」
──後半にトライを3つ奪われたことについての意見をお願いします。
「どうやって流れを取り戻すか。相模原DBさんのアタックは、分析のタイミングからすごくいい、ああいうアタックができるポテンシャルのあるチームだと知っていました。良い学びが見えた時間帯でした」
東芝ブレイブルーパス東京
リーチ マイケル キャプテン
「初めてこのスタジアム、多くのファンの前で良いラグビーをできてよかったと思います。相模原DB戦は絶対にきつい試合になると予想して準備してきました。序盤から激しい、相模原DBらしいプレッシャーを受けて、しばらくスコアできずに少しプレッシャーを感じました。その後、僕らもトライを取って良いキックを蹴って、相模原DBにプレッシャーを掛けることができて、気付いたら40点くらいの差がつきました。そのあと自分たちのミスからスコアされたり、自分たちにプレッシャーを掛けたりして、あまりいい時間帯ではありませんでした。残り1試合、横浜キヤノンイーグルスにしっかり勝って1位か2位になれるように頑張りたいと思います」
──風の影響はどうでしたか。
「かなりありました」
──相模原DBに立て続けにトライを取られた要因について、どう考えていますか。
「ネガティブなプレーが続きました。スコアが離れていてよかったです。相手のアタックが良かったです」