2025.06.02NTTリーグワン2024-25 D2/D3入替戦[D2 8位 vs D3 1位]第2戦レポート(SA広島 24-51 釜石SW)

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
D2/D3入替戦[D2 8位 vs D3 1位]第2戦
2025年5月31日(土)12:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 24-51 日本製鉄釜石シーウェイブス

「いまの気持ちを覚えておこう」。この敗戦が、SA広島をさらに強くする礎になっていく

敗れたマツダスカイアクティブズ広島の芦田朋輝キャプテン。「フィジカルの部分で自分たちのプレーの継続力が足りなかった」

D2/D3入替戦の第1戦で力強く勝利をつかんでBalcom BMW Stadiumに乗り込んできた日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)は、第2戦でもラスト10分にトライを重ねて力を顕示した。

マツダスカイアクティブズ広島(以下、広島SA)は、4分に芦田朋輝がトライを取ると、11分にもアンドリュー・デビッドソンがトライを決めた。ただ、先手を取って試合を進められたからこそ、逆に力の差を痛感することになった。ダミアン・カラウナ ヘッドコーチが「釜石SWは本当に強かった。自分たちのやりたいリズム、テンポでできなかったので、釜石SWが本当にいい試合のコントロールをした」と総括する悔しい結果となった。

入替戦2試合のトータルスコアは38対84となり、力の差を感じざるを得なかった。しかし、足りないものを選手が肌で感じられたことに価値がある。芦田キャプテンは「フィジカルの部分で自分たちのプレーの継続力が足りなかった」と振り返り、今季に加入したデビッドソンは「もっと我慢する必要がある。特に得点を取れそうな敵陣でのプレーやセットピースのときに焦っていた。もっと落ち着いて冷静にやる必要がある」と言った。

肉体的にも精神的にも、もっともっと強くなっていかないといけない。やるべきことは多くあるが、この日の悔しさが来季以降の成長を後押ししてくれるはずだ。カラウナ ヘッドコーチも試合後に選手たちにこう語っている。

「いまの気持ちを覚えておこう」

SA広島の挑戦はこれからも続く。デビッドソンは「今季は第一歩です。会社のサポートもすごく良く、チーム内でもいい文化が作れています。それを来季につなげていくことが重要です。僕もできるだけここに長くいて、SA広島とともに上を目指したい」と見据えた。

福冨文明チーム強化ディレクターも「今季は、自分たちがやってきたことは間違いないという確信をもてるシーズンになった。やればできる。もっと自信をもっていい。そういう感覚が出てきた」と感じられている2024-25シーズンは、これからSA広島をさらに強くする礎になっていく、とても意味にあるシーズンになった。

(寺田弘幸)

マツダスカイアクティブズ広島(D3)

マツダスカイアクティブズ広島のダミアン・カラウナ ヘッドコーチ(右)、芦田朋輝キャプテン

マツダスカイアクティブズ広島
ダミアン・カラウナ ヘッドコーチ

「すごくツラいです。タフな試合で、いい勝負でしたが、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)は本当に強かったです。自分たちのやりたいリズム、テンポでできなかったので、釜石SWが本当にいい試合のコントロールをしたと思います」

──入替戦の2試合をとおして足りないと感じたところはどこでしょうか。

「強度ですね。ディビジョン2とディビジョン3の違いをコンタクトの部分で感じました。今日はゲームプランどおりにうまくできなかったので、シンプルなこと、ベーシックなところをしっかりとやらないといけなかったと思います」

──試合後に選手たちにどんなことを伝えましたか。

「いまの気持ちを覚えておこう、ということです。いまの気持ちを来季にもっていき、すべてのことに対して、その気持ちに背中を押してもらいながらやっていかないといけない。D2にいきたかったら、そうしないといけないと伝えました。あと、本当に誇りをもっている、ということや、もっと成長してレベルアップしないといけないとも伝えました」

──後半が始まるとき、昇格するためにどういうプランをもって戦いましたか。

「速いテンポの試合を目指しましたけど、精度が足りなかったです。特にセットピースとハンドリングのところが良くなかったです」

マツダスカイアクティブズ広島
芦田朋輝キャプテン

「本日はありがとうございました。試合の入りから自分たちが準備したことを出せたところもありましたが、やっぱりアタックのところで釜石SWさんのプレッシャーをすごく受けてしまって、なかなか自分たちのペースをつかみ切れなかったので今回の結果になったのかなと思います」

──試合後に涙も流れていました。どんな思いでしたか。

「本当にシーズン初めから目標にしていたD2昇格の目の前まで来ることができましたけど、フィジカルの部分で自分たちのプレーの継続力が足りなかった。まだまだ自分たちの改善すべきポイントがあるのかなと思っています。ただ、チーム全体としては、ヘッドコーチと一緒で、この悔しい気持ちを忘れないようにして、また来季、この場所でもう1回戦って、D2に上がろうと話しました」

──今季は得るものも本当に多かったと思います。

「D3優勝は僕たちが初めて成し遂げられたことなので、そこには自信をもっておきたい。ただ、シーズンをとおしてうまくいかなかった試合があったので、来季はやっぱりそれがないように、本当にもっといい状態に仕上げて入替戦まで来ないと、D2とD3の強度の差は埋められないのかなと思っています」

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

日本製鉄釜石シーウェイブスの須田康夫ヘッドコーチ(右)、村上陽平キャプテン

日本製鉄釜石シーウェイブス
須田康夫ヘッドコーチ

「今日のゲームを本当に素晴らしいスタジアムでできたことを非常に光栄に思いますし、関係者の皆さまには本当に感謝したいと思っています。その中で、結果から言いますとD2残留を決めたのは釜石SWでしたけど、その結果に満足していますし、内容としては、少しエラーはありましたけど、基本的には圧力を掛け続けられた釜石SWのゲームだったと感じています。選手たちは本当に1年間ハードワークしてくれて、学んだことをしっかり出せたゲームだったと思っています」

──今日のゲームの一番の勝因はどんなところでしたか。

「自分たちのラグビーをしたところだと思います。それでしっかりと我慢し切れたところが勝因だと思います」

──特にフィジカルの強化という部分にこだわって取り組んできたと思います。この入替戦2試合をとおして1年間やってきたことが出せたのではないでしょうか。

「非常によく出せていたと思います。もちろんマツダスカイアクティブズ広島さんも非常にフィジカルにプレーしていましたし、最後の最後にスコアをわれわれが取れたのは、ボディーブローのように(攻め続けたことが)効いた証拠かなと思っています。続けて取り組んできたこのベースは、今後、D1を目指していくこのチームの中で絶対に逃げてはいけない部分だと思うので、そういうところを今季で少し自信にできたことは来季以降につながると思います」

──今日で須田ヘッドコーチはラストゲームになりました。後輩たちにどんなことを託したいですか。

「さっき(村上)陽平が言ったように、中だるみがある。それは精神的な部分だと思いますけど、プレーを見たりとか、スイッチを切ったりとか、そういうところがまだ今日のゲームでも見えたので、そういうところをしっかりとなくしていかないといけない。そういうところが原因で負けるゲームが多かったので、今後選手同士で必ず改善しないといけない部分だと思っています。そこはしっかり修正していってほしいです」

日本製鉄釜石シーウェイブス
村上陽平キャプテン

「立ち上がりは気合いを入れて試合に入ったつもりでしたが、どうしてもディフェンスエラーとかディシプリンのところに乱れが生じてしまって、相手に先手を許してしまいました。シーズンをとおしてどうしてもルーズになってしまう課題を解消し切れなかったところは本当に深く反省しています。ただ、そのあとにしっかり粘り強くディフェンスからプレッシャーを掛けて自分たちの時間を作れたところは本当に良かったです。しっかりスコアをし切れたところも本当にレギュラーシーズンに比べて成長した部分だなと強く感じました。後半の序盤は自陣で戦う時間が多かったですけど、そこでしっかり我慢できたからこそ、最後は相手の足が止まってああいった展開になれたと思うので、本当に一人ひとりが我慢し続けてハードワークし続けた結果が最終的なスコアにつながったと思います」

──後半に相手にトライを取られて苦しい展開になったと思いますが、粘り強く戦えました。どんな声掛けをしていましたか。

「不用意なプレーとかペナルティさえしなければ絶対に守り切れると言い続けて、もう1回ディフェンスからプレッシャーを掛けて自分たちの流れを作ろうと言い続けました。そこがプレーに表れて、ああいう結果につながったと思います」

──来季に向けて改善していきたいところはどこでしょうか。

「数多く課題の残るシーズンだったと思いますけど、何よりも80分をとおして中だるみしてしまう時間があったところです。自分たちで勝手にルーズになってしまう時間が生じてしまうところがあると思うので、やっぱりそこを改善しないとチームとしてもっと上に上がれないと思います。そこは練習でしか解消できない部分だと思うので、リーダーとして常に言い続けなければいけないですし、自分がしっかり行動で示さなければいけないところだと思うので、来季に向けてもう1回よく考えてやっていきたいと思います」

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