2025.12.21NTTリーグワン2025-26 D2 第2節レポート(花園L 40-10 GR東葛)

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第2節
2025年12月20日(土)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ 40-10 NECグリーンロケッツ東葛

各駅停車のようにコツコツと。いぶし銀の輝きを放つ社員選手の節目

50キャップの節目を迎えた花園近鉄ライナーズの岡村晃司選手

花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)のチーム名は近鉄が運行する特急にその名を由来するが、岡村晃司は各駅停車さながらにコツコツと、出場試合数を積み重ねてきた。

NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)戦は、岡村にとって50キャップ獲得の節目だった。

「昨シーズンが終わったときに48キャップだったので、あと2試合というのは意識していました」と当人は意識していたという。だが「50キャップというよりも、試合に出られていることがうれしいし、勝ってホッとしました」と本音を口にする。

南アフリカ代表のマニー・リボックとニュージーランド代表歴を持つピーター・ウマガ=ジェンセンに挟まれる形でプレーする岡村だが、帝京大学卒業後はラグビーから離れることも考えたという。あきらめかけたキャリアに光を差し込んでくれたのが、花園Lだったというわけだ。

「大学のときは試合に出られなかったので、社会人でまたラグビーができるんだなと思いました」

岡村の強みはけがに強いこと。

無事之名馬の名言があるが「けがも少なかったので試合に出続けられたことで50キャップを迎えられたのかなと思います」と岡村も言う。

試合後のミックスゾーンに姿を表した際、背負うリュックには“足の神様”として知られる大阪府豊中市にある服部天神宮のお守りがくくり付けられていた。聞くと、「3年ぐらい前にひざの内側靭帯を切って、そこからルーティンの一環で試合の日のバッグに付けるようになりました」と明かしてくれた。

もっとも、けがの少なさだけで試合に出続けられるはずがない。太田春樹監督は「昨シーズン、守りが一気に成長しました。それに彼はセンスフルな選手ですから」と期待を寄せる。

「センスフル(センスに満ちた)」という指揮官の言葉を象徴するように、GR東葛戦の後半29分、岡村が右サイドで繰り出したショートパントが絶妙な転がりを見せ、丸山凜太朗のトライを演出した。

「たまたまです。みんなから『50キャップやったからバウンドもいいところに行ったな』って言われました」と照れくさそうに笑ったが、そのセンスはやはり一級品である。

社員選手としての誇りと感謝を胸に──。これからも岡村晃司はいぶし銀の輝きを放つ。

(下薗昌記)

花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズの左から太田春樹監督、上山黎哉 共同キャプテン、ピーター・ウマガ=ジェンセン共同キャプテン

花園近鉄ライナーズ
太田春樹監督

「まず、対戦相手であるNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)さまの経営譲渡が決定したことについて、われわれとしても、またラグビー界全体としても非常にうれしいニュースだと受け止めています。あらためて、近鉄グループホールディングスおよび花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)からお祝いを申し上げます。

試合に関しては、前半は接戦となり、苦しい時間帯が多くありましたが、ディフェンスのヒットラインでは勢いを持ってプレーできた点はポジティブに捉えています。一方で、まだ課題も残っていますので、来週以降しっかりと修正し、次節の日野レッドドルフィンズ戦に向けて良い準備を進めていきたいと考えています」

──昨季は序盤で勝利がなく苦しみましたが、今季は開幕から2連勝を飾っています。チームの何が変わったのでしょうか。

「昨季は開幕から3試合、自分たちのパフォーマンスを十分に発揮できなかったという反省がありました。その点を踏まえ、今季はプランニングの段階から見直しました。

昨季は3グループに分けてチームを始動しましたが、今季は例年より1カ月早い段階から、開幕を一つの山として、ピークを持ってくるようにチームを仕上げてきました。また、チームとしての変化としては、われわれのスローガンである「TNT(Takes No Talent=才能はいらない)」が浸透してきたことが大きいと思います。その成果が、初戦からの2試合をとおして、相手のトライ数を抑えられている点など、ディフェンスの安定として表れてきていると感じています」

花園近鉄ライナーズ
上山黎哉 共同キャプテン

「まず、大会関係者の皆さま、そしてGR東葛の皆さまに感謝を申し上げます。こうして試合ができたことを大変ありがたく思っています。また、太田監督からも話がありましたが、GR東葛さんの経営譲渡が確定したことについて、心よりお祝い申し上げます。今日の試合については、太田監督がお話しされた内容とほぼ同じですが、前半は接戦の中でも全員がプレッシャーを掛け続けたことで、後半の終盤にスコアの差をつけることができたのではないかと思います。本日はありがとうございました」

──今日の試合を100点満点で評価すると、何点でしょうか。

「60点くらいだと思います(笑)。まだまだ上を目指せる、という意味も込めての60点です」

花園近鉄ライナーズ
ピーター・ウマガ=ジェンセン 共同キャプテン

「太田監督や(上山)黎哉が話したとおり、前半は苦しい展開でした。少しフィジカルで勝負し過ぎた部分があったと思いますし、もう少しアタックにバリエーションを持たせられていれば、違った展開になっていたかもしれません。後半はそのバリエーションをうまく使うことができ、良いドライブをお見せできたと思います。ご覧いただいたとおり、後半は自分たちの強みをしっかり発揮でき、それがスコアにも表れた試合だったと感じています」

──公式戦では自身初のホストゲームとなりました。観客数は5,221人でしたが、多くの声援についての感想を聞かせてください。

「とてもうれしかったです。ホストゲームの初戦に選ばれて出場できたこと自体がうれしかったですし、観客の声援もしっかり聞こえていました。特に後半、トライを取った場面では、会場の盛り上がりを強く感じました。東大阪市周辺のみなさんは本当にラグビーが好きで、ラグビーとの深いつながりを持った地域なのだと感じました。パッセンジャー(花園Lのファンの呼称)のみなさんや地域の方々の声援がはっきり届く、とてもプレーしやすい環境でした」

NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛のグレッグ・クーパー ヘッドコーチ(右)、ライリー・ホヘパ ゲームバイスキャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
グレッグ・クーパー ヘッドコーチ

「まずは花園Lのみなさんに、『おめでとうございます』とお伝えしたいです。非常に素晴らしいプレーだったと感じています。先週の良い勝利から今週を迎えられており、GR東葛としても良い準備をしてきたつもりでしたが、今日は花園Lさんに上回られたという印象です。こちらは勝つ気持ちを持って臨みましたが、残念ながら精度に欠ける場面が多くありました。後半10分までは勝機があったと感じていますが、その後は花園Lさんのプレッシャーを強く受け、完全に押し込まれました。その影響で精度も落ち、本日は相手にしっかり上回られた試合だったと思います」

──花園Lは前節も守備が良かったですが、今日はその守備を崩す上で、どのあたりに難しさを感じましたか。

「おっしゃるとおり、花園Lさんのディフェンスが非常に良かったのは間違いありません。GR東葛としては、狙っていたゲインラインでのキャリーが今日はうまくできなかったと感じています。前節のレッドハリケーンズ大阪戦では、比較的ゲインラインを越えてエッジ(タッチライン際)に運び、相手ディフェンスを崩すことができていました。しかし本日は、目指していたゲインラインでのキャリーができず、その結果、ボールのスピードも落ちました。エッジに運べた場面もありましたが、本来意図していたほどボールを運ぶことができなかったです。中央で強くディフェンスされたことが、大きな要因の一つだったと感じています」

NECグリーンロケッツ東葛
ライリー・ホヘパ ゲームバイスキャプテン

「私もヘッドコーチと同様に、まずは花園Lさんに『おめでとうございます』とお伝えしたいです。ヘッドコーチがすでにまとめてくれたとおり、準備自体はしっかりとできていたと思いますが、結果としては残念だと感じています。チーム全体としても、いまは悔しい気持ちでいっぱいだと思います。一方で、チャンスを作り出し、そこからスコアにつなげたり、相手にプレッシャーを掛けたりできた場面もあったと感じています。チームとしていまできることは、この試合からしっかりと学び、第3節により良いチームとして試合に臨むことだと思います。私たちのチームでは、常に高いスタンダードを保とうと話していますが、今日はそのスタンダードに届かないパフォーマンスだったと感じています。次の試合までに、より良くなることを目指していきたいです」

──敵陣内で2度、ペナルティの場面でラインアウトを選ばず、ショットを狙った意図を教えてください。

「相手のディフェンスが良かったという点は、間違いなく一つの要因だと思いますが、実際にラインアウトを選択した場面もありました。その中で、なぜ2回ショットを選んだかというと、1度目については、まず確実に3点を取り、その後リセットして、こちらのキックオフから再スタートしたいという意図が大きかったです。また、ハーフタイム後のショットについては、ハーフタイム中に『後半最初に得点するのがGR東葛であり、まずこちらが点数を取ろう』という話をしていました。その中で、3点を狙える位置だと判断し、ショットを選択しました。結果的にキックは決まらず、望んだ結果にはなりませんでしたが、そうした意図がありました」

試合詳細

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