NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第7節
2026年3月7日(土)13:00 釜石鵜住居復興スタジアム (岩手県)
日本製鉄釜石シーウェイブス 30-22 花園近鉄ライナーズ
特別な試合で示した“釜石プライド”。勝利の意味を胸に刻み、キャプテンが見据える“次”
日本製鉄釜石シーウェイブスは、ここまで全勝だった花園近鉄ライナーズに勝利。河野良太キャプテンはプレーヤー・オブ・ザ・マッチを受賞した東日本大震災から15年。釜石鵜住居復興スタジアムで行われた『東日本大震災復興祈念試合』は、春の陽光が差したかと思えば強風が吹き、小雨やあられも混じる難しいコンディションの中で行われた。その一戦で、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)は無敗で首位を走っていた花園近鉄ライナーズに勝利。クラブとしてはジャパンラグビー リーグワン参入後、レギュラーシーズンで初めての3勝目を手にした。
「復興祈念試合という特別な試合で勝てたことは、本当にうれしいです」
そう語ったのはキャプテンの河野良太。勝利を手繰り寄せるトライを決め、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた。リーグワン50キャップを達成し、愛息から記念の盾も手渡された。これ以上ないほど、記憶に残る条件がそろった一日。それでも彼の表情や口調から伝わってくるのは、高揚感よりも冷静さだった。
「次の試合が本当に大事。今日のパフォーマンスを来週の試合でも出す。一貫性のあるプレーを続けることが一番大事です」
余韻に浸る時間を惜しむかのように、河野は次にフォーカスする。
「釜石SWはまだ勝ち続ける力があるチームではない。だからこそ、次の試合で同じレベルのパフォーマンスを出すことが大事なんです」
クラブ在籍7年目。これまで会心の勝利のあとで結果を出せない場面を何度も経験してきた。その悔しさがあるからこそ、河野は“次”と“継続”の重要性を誰よりも強く訴える。
『東日本大震災復興祈念試合』には特別な意味がある。震災から立ち上がってきた地域の人々の前でプレーすること。その思いは自然と背中を押す。
「いろいろな方の支えがあって、いまラグビーができています。当たり前のことではない。その思いをグラウンドで体現したかった」
試合前、ロッカールームで河野が仲間に伝えた言葉もシンプルだった。
「後半のことは考えず、まずは前半40分。プライドをもって体を張り続けよう」
釜石のラグビーが大切にしてきた誇り。体を張り続ける姿勢。それこそが河野の言う“釜石プライド”だ。その言葉どおり、選手たちは80分間体を張り続けた。四方から注がれる“釜石コール”。思いと願いを一身に受け、選手たちは最後まで攻めの姿勢を見せ続けた。
「しんどい時間、ファンの声がエネルギーとなり、体を張り続けることができました」
チームにとって、個人にとって、そして釜石という地域にとって。さまざまな意味をもつ勝利だった。それでも河野の視線は、すでに次に向いている。
「次が大事です」
この勝利の意味を本物にするために。
その答えは、次の試合で示される。
(髙橋拓磨)
日本製鉄釜石シーウェイブス
日本製鉄釜石シーウェイブスのトウタイ・ケフ ヘッドコーチ(左)、河野良太キャプテン日本製鉄釜石シーウェイブス
トウタイ・ケフ ヘッドコーチ
「ありがとうございます。まず、今日の試合の結果に大変満足していますし、うれしく思っています。今週取り組んできたことをしっかり出し切れたということについても良かったと思っています」
──『東日本大震災復興祈念試合』であり、6連戦の1戦目であり、前節のレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)戦の悔しい敗戦からの立ち上がりの試合でもあった今日の試合ですが、今日の1勝の価値、意味合いをどう捉えているか教えてください。
「本当に良い質問をありがとうございます。今回の試合をとおして、このディビジョン2では、良いラグビーをし、内容のあるプレーを続け、さらに一貫性をもってプレーすることができれば、勝つことができるということを証明できたと思っています。次の試合は前回敗れてしまったRH大阪戦ですが、今日の試合のようなパフォーマンスを示せれば勝つことができるという手ごたえを感じています。
とにかく一貫性をもって、自分たちがやるべきことをやり切ること。それができれば、結果は付いてくると思います。今日はそれを証明できた試合だったと感じています」
日本製鉄釜石シーウェイブス
河野良太キャプテン
「本日は、このような素晴らしい環境で試合をさせていただき、ありがとうございました。勝てたことを素直にうれしく思います。
今日の試合は、東日本大震災から15年の復興祈念試合でもありました。試合前にはチームのみんなに『プライドをもって、最後まで体を張り続けてグラウンドで戦おう』と話していました。その思いを80分間、グラウンドで体現できたことが、今回の勝利につながったのではないかと思います」
──河野選手にとってはリーグワンでの50キャップの節目の試合でもありました。試合を終えたいま、どのような思いですか。
「今日の試合は、個人的にはリーグワンでの50キャップという節目でもあり、さらに東日本大震災の復興祈念試合という特別な試合でもありました。その中で勝利できたことは、個人としてもうれしいですし、チームにとっても、そして、ファンのみなさんにとっても良かったことだと思います。
ただ、僕の中では次の試合がとても大事だと考えています。今日できたことを、来週のRH大阪戦でもしっかり発揮して、一貫性のあるプレーを続けていくことが一番重要です。今日の勝利は本当に良かったと思いますが、しっかり切り替えて、次の試合に向けてチームとして良い準備をしていきたいと思います」
花園近鉄ライナーズ
花園近鉄ライナーズの太田春樹監督(右)、ピーター・ウマガ=ジェンセン共同キャプテン花園近鉄ライナーズ
太田春樹監督
「こんにちは。本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
今日は東日本大震災の復興祈念試合ということもあり、『必ず良い試合をして、皆さまに何か感じていただけるようなゲームをしたい』とチームには話していました。結果としては非常に残念なものになりました。もちろん、われわれの課題もありますが、この試合に関しては日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)さんの気迫あふれるプレーに対して後手に回ったことが大きかったと思います。釜石SWさんのラグビーに、しっかり対応することができなかった試合だったと感じています。本日はありがとうございました」
──釜石SWの気迫や勢いに後手に回ったと話されていましたが、具体的にはどのような部分で感じましたか。
「特にコンタクトの部分です。こちらが受けてしまう場面が多くありました。われわれの課題でもありますし、同時に釜石SWさんのディフェンスが非常に良かったということでもあると思います」
花園近鉄ライナーズ
ピーター・ウマガ=ジェンセン共同キャプテン
「みなさん、こんにちは。釜石SWは本当に良いラグビーをしていたと思います。エリアマネジメントやキックの使い方でも上回られていました。一方でわれわれは、キックすべき場面でボールを持ってしまったり、逆にランを使うべき場面でキックを蹴ってしまったりと、判断の部分でうまくいかない場面がありました。繰り返しになりますが、釜石SWさんはすごくいいラグビーをしていて、われわれはそこから学んだこともあります。特に今日のように風が強いコンディションの中で、どうゲームを進めていくかという理解がまだ足りなかったのかなと感じています」
──復興祈念試合に出場したことについてどう感じていますか。
「このような試合に出場できたことを光栄に思っています。私は来日するまで、この街の歴史を詳しく知っていたわけではありませんが、ここ数日でいろいろなことを教えてもらい、釜石が震災から復興してきた街であることを知りました。そうした場所でラグビーができたことは、とても意味のあることだったと思います」



























