NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
D2/D3入替戦[D2 7位 vs D3 2位]第1戦
2026年5月22日(金)19:00 いわぎんスタジアム (岩手県)
日本製鉄釜石シーウェイブス vs 狭山セコムラガッツ
日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)
日本製鉄釜石シーウェイブスのトンガ モセセ選手。「釜石のプライドをもって戦うしかない」8連敗。悔しさの残る形でレギュラーシーズンを終えたいまも、トンガ モセセの視線は、すでにその先へ向いている。
「昨季より、ディフェンスは良くなっていたと思います」
今季を振り返ったとき、まず口にしたのは確かな手ごたえだった。シーズン前半は上位相手にも真っ向から渡り合い、自信をつかみかけた時期もあった。タックルで前に出る。体をぶつけ続ける。日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)らしい泥臭さと粘り強さは、確かにチームの武器になっていた。一方で、後半戦に入ると、少しずつ歯車が狂い始める。
足りなかったのは遂行力。あと一歩でトライを取り切れる場面で起きるハンドリングエラー。焦りから選んでしまう難しいパス。フェーズを重ねれば崩せるはずなのに、どこかで“急いでしまう”感覚があったという。
「連敗が続いて、どこかに焦りはあったと思います」。勝ちたい気持ちが強いからこそ、プレーが前のめりになる。その悪循環が、後半戦の苦しさにもつながっていた。
だからこそ、D2/D3入替戦へ向かういま、チームが見つめ直しているのは原点だ。「取り急がないこと。しっかりフェーズを重ねること」。派手さではなく、積み重ね。練習でできないことは、試合でもできない。「練習のミスは、絶対に試合にも出る」という34歳のベテランは、この状況を誰よりも理解している。当然ディビジョン2残留というプレッシャーはある。それでも、まっすぐな視線で言う。「釜石のプライドをもって戦うしかない」。これからの2試合は守るのではなく、絶対に譲れないものを勝ち取りにいく戦いだ。
レギュラーシーズン終了後のオフ。チームではバーベキューや食事会が開かれた。今季限りで退団する選手たちと過ごす、限られた時間でもあった。
「最後、いい形で送り出したい」
トンガで育ち、高校生のころから日本で戦い続けてきた。その中にあった多くの出会い、多くの別れ。その積み重ねの中で、彼が変わらず大切にしてきたものがある。
「あきらめないこと。これが自分の根幹です」
苦しい状況でも下を向かない。流れが悪くても、80分間戦い続ける。シンプルな言葉だが、その姿勢こそが、長く日本で戦い抜いてきたキャリアそのものだった。
残された戦いは、あと2試合。釜石SWの未来のために。ともに戦ってきた仲間のために。そして、この街の誇りを守るために。
トンガ モセセは最後まで、前を向き続ける。
(髙橋拓磨)




























