NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
D2/D3入替戦[D2 7位 vs D3 2位]第2戦
2026年5月31日(日)14:30 AGFフィールド (東京都)
狭山セコムラガッツ vs 日本製鉄釜石シーウェイブス
日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)
退任する桜庭吉彦GMにとっても最後の試合。「終わったあと、力を出し尽くして倒れ込むくらい、オールアウトしてほしいです」41年。
一つのクラブに関わり続けた時間を、言葉にするとどれほどの重みになるのだろうか。
高校卒業後に門を叩いた新日鐵釜石ラグビー部。そこから選手として戦い、指導者としてチームを率い、ゼネラルマネージャー(GM)としてクラブを支えてきた。桜庭吉彦GMにとって、ラグビーは仕事でも役職でもない。人生そのものに近い時間だった。
「人生というと大げさかもしれませんけど、ラグビーをとおして成長させてもらいました」
その言葉は、決して飾らない。だが、その一言の奥には積み重ねてきた歳月がにじむ。
今季限りで退任することが決まり、迎える最後の一戦。それでも本人は、驚くほど淡々としていた。
「特別な思いというのは、そこまでないですね」
そう話しながらも、視線は自然とチームへ向く。
「今季取り組んできたものを全部出してほしい。終わったあと、力を出し尽くして倒れ込むくらい、オールアウトしてほしいです」
桜庭GMがラグビーから学んだもの。その中心にあるのは、「逃げないこと」だった。苦しい局面。敗戦。ミス。思いどおりにいかない時間。人はそこから目を背けたくなる。だが、ラグビーは80分の中で何度も失敗を突き付けてくるスポーツだ。
「失敗しても、引きずっていたら試合は終わってしまう。受け入れて、次に向かうしかないんです」
うまくいかないときこそ、人は試される。苦しいときこそ、成長できる。そう信じ続けてきた。
振り返れば、その価値観は釜石ラグビーそのものだったのかもしれない。秋田で少年時代を過ごし、テレビ越しに見た新日鐵釜石が日本選手権を戦う姿。東北の小さな街にありながら、日本一であり続ける強さに憧れた。
桜庭GMがその新日鐵釜石へ加わったのは、“V7”達成から約3カ月後のことだった。憧れだった場所は、やがて自身の居場所になる。そこで待っていたのは、日本一を知る先輩たちとの日々。その強さの本質は「ラグビーへの飽くなき情熱」だった。
環境を言い訳にしない。与えられた場所で何ができるかを考える。負けず嫌いで、自分に一切の妥協をしない。そうした積み重ねが、受け継がれてきた文化だった。
だからこそ、最後の試合に求めるものもシンプルだ。勝敗だけではない。華やかなプレーだけでもない。
持っているものを、すべて出し切ること。
最後の80分で見たいのは、その姿だ。それこそが、このクラブが受け継いできた強さなのだから。
(髙橋拓磨)




























