ジャパンラグビー リーグワン ライジング2026
2026年9月26日(土) 日野自動車総合グラウンド
日野レッドドルフィンズ 31-15 日本製鉄釜石シーウェイブス
リーグワンライジング プレーヤーエピソード[日野RD]
大けがから1年経っての復帰戦。タックルで拭い去った不安
「ひざの大けがを負ってから1年。やっと実戦に復帰できて、とにかく体を張るという目標はクリアできたので、よかったです」
日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)の石本拓巳は、1年ぶりのプレーでフル出場したことを、笑顔で振り返った。
2025年9月27日、この日と同じようにリーグワンライジングの初戦に出場し、得意のステップからタックルに行く際に、ひざに激痛が走った。
2023-24シーズン途中にアーリーエントリーで加入し、翌2024-25シーズンの25年3月にリーグワンデビュー。第11節の九州電力キューデンヴォルテクス戦で2トライを挙げるなど、インパクトを残した。2025-26シーズンでの飛躍を期待され、本人のコンディションも絶好調だったが、大けがに見舞われ、さらに実戦復帰まで1年を要することも判明した。それでも、「決まったことなので、しっかり治そうと思いました」と、すぐに前を向けたという。
つらいリハビリを続ける中で、自身の体とあらためて向き合い、これまで足りなかった部分も見つめ直した。「けがをする前よりもいい状態にする」。それをモチベーションに、地道な日々を重ねていった。
周囲から「本当に真面目」と評される石本だけに、復帰へ向けて黙々とリハビリに取り組んでいた。しかし、その胸中には葛藤もあった。昨季までバックスのアシスタントコーチを務め、今季からヘッドコーチに就任したアンドレ・プレトリアスはある本音を聞いたという。「リハビリをしていく中で、ラグビーを楽しめなくなったこともあったと言っていました。それほど苦しい時間を過ごしていたと思います。でも、チームメートやコーチ、スタッフ陣の助けもあり、再びラグビーを楽しめるようになった。そして今日、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。それが何よりも感慨深いです」。
この日の試合は、雨の影響もあり、外へ大きく展開するよりも、モールを使って前進する場面が目立った。ウイングとして石本が持ち前のランを披露する場面は少なかったが、鋭いタックルで相手の攻撃を防ぐなど、ディフェンス面で献身的なプレーを続けた。「正直、ディフェンス面での不安はありました。でもタックルに行ったとき、不安と緊張が一気にほぐれたんです。そこで、これならやれるという実感も湧いてきました」。そこで得た手ごたえが、冒頭の言葉にもつながっている。
多くの人のサポートを受け、1年ぶりにフィールドに立った石本。中でも、大澤慶典ヘッドメディカルトレーナーへの感謝は大きいという。「今年6月から7月にかけて、付きっきりでサポートをしていただきました。その中でシンプルに『期待しているよ』と言っていただいたことが、本当に励みになりましたし、その声に応えなければいけないと思いました」。
昨季、チームはディビジョン3降格という大きな悔しさを味わった。2026-27シーズンは、1年でのD2復帰が最大の目標となる。その目標を達成する上で、石本の復帰はチームにとって明るい材料となる。「(試合展開を踏まえても)今日はボールタッチが少なく課題も見えました。そこをしっかりと改善して、どんな状況でもチャンスメイクしてチームの勝利に貢献したいです」。苦しいリハビリを乗り越え、再びラグビーを楽しめるようになった石本。その力強い一歩が、D2復帰を目指す日野RDにどんな力をもたらすのか。ここからの歩みに注目したい。
▼周辺の証言
大澤慶典 ヘッドメディカルトレーナー
「1年ぶりの実戦ということもあり、怖さや不安もあったと思います。しかし、それを感じさせることなくのびのびとプレーしている姿を見てとてもうれしかったです。リハビリ期間は、焦ることなくメニューを着実にこなしていくことに集中してもらいました。真面目で、独特な雰囲気をもっている選手なので、黙々とリハビリをこなしてくれました。(本人が『期待しているよ』という言葉がすごく励みになったと言っていましたが?)しっかりと時間を掛けてリハビリをこなし、自信をもってプレーしてほしかったので、その言葉を掛けました。少しプレッシャーを掛けてしまったかなと思いましたが、喜んでもらえて、よかったです」
(松野友克)





























