2026.10.06悔しさを糧に。22歳の司令塔が踏み出した第一歩 / プレーヤーエピソード[花園L]

ジャパンラグビー リーグワン ライジング2026
2026年10月3日(土) 花園ラグビー場 第2グラウンド
花園近鉄ライナーズ 36-71 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

リーグワンライジング プレーヤーエピソード[花園L]

「クウェイドがいるから」花園近鉄ライナーズに加入したという吉本大悟選手

悔しさを糧に。22歳の司令塔が踏み出した第一歩

「クボタさん(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)は昨季のリーグワンプレーオフトーナメントの決勝にも行っているチーム。だからこそ、僕も燃えていたし、本気で勝つ気でいたからショックを受けています」

花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)のルーキー、吉本大悟は、待ちわびたデビュー戦での敗戦に悔しさを隠そうとはしなかった。

リーグワンライジングの初戦で、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)と対戦した花園Lは、前半を19対19で折り返した。しかし、大幅にメンバーを入れ替えて吉本らを投入した後半はS東京ベイに主導権を握られ、36対71で敗れた。
京都産業大学在籍中にアーリーエントリーとして登録されたものの、リーグワンでの出場機会は訪れなかった。当時の花園Lにはマニー・リボックやウィル・ハリソン、丸山凜太朗らがおり、スタンドオフ(以下、SO)のポジション争いはし烈だった。

「(ポジション争いに)チャレンジしましたけど、自分が未熟なだけでした」

当時の立ち位置を素直に受け入れた吉本は、新シーズンに向けて着実に成長を続けてきた。

東海大学付属大阪仰星高等学校時代には全国高校大会優勝を経験し、京都産業大学でも活躍。184cm、92kgの体格を誇るSOが花園Lを選んだ理由の一つが、「クウェイドがいるからです」というものだった。

世界的なSOとして活躍し、現在は花園Lでアタックコーチを務めるクウェイド・クーパー。その指導を受ける日々に、吉本は確かな手ごたえを感じている。

「クウェイドが本当に付きっきりでコーチングをしてくれるんです。この2カ月間は、僕にとって1年で学ぶぐらいのことが凝縮されています」

高校時代、ともに日本一を経験した同期の薄田周希も、その変化を感じ取っている。

「高校と大学ではどちらかというと周りを生かすのが彼の強みでしたけど、自分で仕掛けながら周りを生かすところが、ライナーズに来てから成長しているところですね」

恵まれた体格を生かしたキャリーやオフロードパス、コリジョンでも強みを発揮する吉本。ただ、19対19で迎えた後半、花園Lが先にスコアして流れをつかみかけながら、最後は大差をつけられた一戦には悔いが残った。

「クウェイドから学んだことを試合で出せなかった。それが悔しいです」

試合後の挨拶を終えると、吉本はピッチ上でうなだれ、一瞬両ひざに手をついた。それでも、すぐに前を向いた。

「今日の試合が僕の今のすべてだと、見ている人は評価すると思います。ただ、それに屈しているようだとSOは務まりません」

マニー・リボックに加え、新加入のジョニー・マクフィリップスとのポジション争いも待っている。それでも、22歳の司令塔に焦りはない。

S東京ベイ戦を前に、クウェイド・クーパーから掛けられた言葉が支えになっている。

「お前はまだ22歳で学ぶべきことがたくさんある。俺はお前をしっかりとサポートしていくから」

待ちわびたデビュー戦は、悔しさの残る結果となった。ただ、それも吉本にとっては成長するための一つの経験になる。クーパーからの学びを積み重ね、その先にあるリーグワン初キャップを目指していく。

▼周辺の証言
FL 薄田 周希

「高校時代(東海大学付属大阪仰星高等学校)から僕が一番彼をよく知っていますが、同期の中でも一番努力していました。彼は自宅が京都で、同期の中で学校まで一番遠かったんですが、寮に入らずに通いながらも一番早く来て、朝は自主練をしていましたし、練習後も最後まで居残っていました。ラグビーの理解度がピカイチで、才能に頼らずに成長していますし、キックも飛距離が出る選手。スタンドオフとしては上背があるので、自分でキャリーしてもオフロードでつなげられるところも強みですね」

(下薗昌記)

見どころ・試合レポート一覧

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