ジャパンラグビー リーグワン ライジング2026
2026年10月10日(土) 花園ラグビー場 第1グラウンド
レッドハリケーンズ大阪 24-38 花園近鉄ライナーズ
リーグワンライジング プレーヤーエピソード[RH大阪]
ナンバーエイトから最前列へ。安田司が自ら選んだ挑戦
レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)では近年、数名の選手がポジションを変更している。「それぞれが専門職なので、ポジション変更はまったく別の業種に転職するぐらい難しい」と松川功ヘッドコーチは話す。ポジションごとに求められる役割はもちろん、筋力トレーニングや食事の量まで異なる。“コンバート”と言ってしまえばたった5文字だが、その挑戦に伴う労力はとてつもなく大きい。これまで積み重ねてきたものと誇りを傍らに置き、新たな道をゼロからスタートさせる覚悟がいる。
新シーズンに向けて始動する前、ナンバーエイトの安田司がプロップへの転向を決めた。坂本洋道や石井勇輝のようにコーチ陣から提案されたわけではない。自ら申し出た。
昨季、ナンバーエイトを務めるジャック・オーサリバンはフランカーでの出場も含めてリーグ戦全試合にフル出場した。安田には「これは本当にすごいこと」という敬意がある。一方で、「この2年は(負傷などもあって)満足に出場することができなかった」自身の出場機会についても考えた。ちょうど二人目の子どもが生まれたところだった。「できれば子どもたちの物心がつくぐらいまではラグビーを続け、頑張っている姿を見せたい」。その思いは大きかった。ナンバーエイトへの強いこだわりと誇りを一旦脇に置き、「学生時代からプロップに向いているのではないかと言われてきた」ことを信じて転向を決意した。
オフシーズンには、昨年5月に引退した先輩・北島大の力を借り、北島の母校である報徳学園高等学校の練習に参加した。そこで初めてスクラムを組んだが、高校生を相手に歯が立たなかった。「本当にやっていけるのか」。強い不安や焦りを感じながらも、決意は揺るがなかった。
1番のポジションに入る坂本や同期の深澤翔祐にも教わりながらトレーニングを重ねた。それでも約1カ月前、花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)とのフォワード合同練習ではスクラムで圧倒された。今季のリーグ戦開幕戦は花園Lとの大阪ダービー。この1カ月はリーグワンライジングでの花園L戦を一つの目標に、悔しさを糧に研鑽を重ねてきた。
「絶対にやってやろう」。強い意志を持って迎えたリーグワンライジングでの最初のスクラムは、双方同時に崩れてしまった。しかし、組み直したあとのスクラムでレフリーはRH大阪側に手を挙げた。仲間とともに雄叫びを上げる安田の表情からは、悔しさを一つ乗り越えられた実感がありありと見て取れた。
その後もスクラムではRH大阪が優勢に立つ場面があったが、試合は24対38で敗れた。安田は「スクラムではペナルティも取れ、自信になった」と話しつつ、「フィールドプレーでは課題も残った」と振り返る。ナンバーエイトで培ってきたものを生かしたいと話していたが、プロップとして初めて観客の前に立った試合で、「もっとチームを前進させるようなプレーをしていきたいと強く思った」。
開幕まであと2カ月。セットピースはもちろん、フィールドでも貢献できるプロップへ。安田の新たな挑戦は続く。
▼周辺の証言
松川功ヘッドコーチ
「以前からプロップに適性があると感じていましたが、自らコンバートを申し出てくれました。もちろんポジションごとにそれぞれの大変さはありますが、フロントローは身体的にも精神的にも負荷が大きい。ほかの選手たちと同様に、時には傷ついたり涙を流したりしながら自身の成長機会に向き合い、心身ともにたくましく成長を重ねていってくれればと思っています。また、セットピースに限らず、ディフェンス面でも貢献してくれると期待しています」
(前田カオリ)





























