2025.01.03[三重H]今節はどんなヒーローが現れるのか。『ラスト20分』が熱い今季の三重H

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第3節(リーグ戦) カンファレンスB
2025年1月5日(日)12:00 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

三重ホンダヒート(D1 カンファレンスB)

土永雷(どえい・あずま)選手は元・宗像サニックスブルース。「サニックスを出てからの半年間はニュージーランドに行って、街のクラブチームでプレーしながら倉庫で荷物を下ろす仕事をしていました」

1月5日に三重交通G スポーツの杜 鈴鹿で行われるホストゲーム、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)戦を控える三重ホンダヒート(以下、三重H)。ディビジョン1初挑戦となった昨季はリーグ戦でわずか1勝に終わったが、今季は開幕から2連勝と好調なスタートを切っている。しかも、第1節のリコーブラックラムズ東京戦、第2節のトヨタヴェルブリッツ戦(以下、トヨタV)では、いずれもリードを許しながら終盤の逆転劇を演じ、チームにもファンにも大きな勢いと喜びをもたらした。

「勝ったときの雰囲気はすごかったです。ファンの応援も力になりました」と語るのは土永雷。2023年に練習生として加入したものの、昨季は出場機会がなかった。しかし、この試合では後半21分から途中出場し、13分後には相手の守備のスキを突いた抜け目のない逆転トライを決め、わずか20分弱の出場ながらプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた。「(受賞は)うれしかったです。自分が何をすべきかを準備してきた結果だと思います。でも、それよりも勝てたことが一番うれしいですね!」と、チームの白星が最も大きな喜びだと土永は語った。

帝京大学から21年に宗像サニックスブルースに加入した土永だが、チームは翌年に活動休止を決定。その後、三重Hに加入するまでの間は海外で過ごしていたという。「サニックスを出てからの半年間はニュージーランドに行って、街のクラブチームでプレーしながら倉庫で荷物を下ろす仕事をしていました。その後、帰国してからここに呼んでもらいました。いまではこの環境にも慣れて、自分のやりたいプレーに集中できるようになりました」と振り返った。

『逆転の三重H』を印象付けた試合のあと、3連勝を懸けたホストゲームはどんな展開になるのだろうか。土永はこう予想する。「S東京ベイも後半に強いチームで、逆転勝ちできるような試合運びをしています。前半からしっかり食らい付き、相手のペースにさせないことが大切です。そして、最後の20分でどちらが頑張れるかの勝負になると思います」。

S東京ベイは第1節でトヨタVに対し、前半に11点差を付けられるも、後半に20点を奪って逆転勝利を収めた。第2節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦も、24対26で敗れはしたものの、後半だけで見れば21対6とリードしている。終盤での追い上げが特徴だ。

一方、三重Hも同様に、途中出場選手も含めた総力戦でこの2試合を逆転勝利で終えた。特に守備面ではタックル成功率がリーグ1位の90%に達しており、その粘り強さがチームの基盤となっている。

なお、J SPORTSの中継でトヨタV戦の解説を務めた菊谷崇氏は、高校日本代表時代に指導した土永について「練習で彼の低いタックルを受けるのがイヤだった」と語っていた。それについて土永は、「僕はそんなに思っていないんですけど(笑)。でも、やっぱり自分はスクラムハーフなので、テンポやパスさばきも見てほしいですね」と、謙遜しながらも意気込みを語った。

試合ごとに新たなヒーローが現れる今季の三重H。攻守にわたってアピールした土永をはじめ、『ラスト20分』で勝利をもたらす選手たちがたくさんいる。今節も、ノーサイドの笛が鳴るまで一時も目が離せない試合になりそうだ。

(籠信明)

2025.01.03[S東京ベイ]根塚洸雅は未来を見失わない。アップデートした姿で戦線復帰

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第3節(リーグ戦) カンファレンスB
2025年1月5日(日)12:00 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)

根塚洸雅選手といえば、そのランプレーが魅力のひとつだが、今季はハイパントキャッチにも注目だ

人は一瞬で変わることはできない。しかし、挑戦を続ける限り、進化することができる。負傷で日本代表活動から離れた根塚洸雅が戦線に復帰。アップデートした姿で、三重ホンダヒート戦に臨む。

「ビジターゲームでの勝利は、その後のシーズンの流れにもつながってきます。また、2025年最初の試合で勝つことで、優勝への道筋も見えてくると思います。ここは勝ちにこだわるべき試合だと思っています」

大学時代は主にフルバックで活躍していた根塚が現在のポジション、ウイングに転向したのは21年にクボタスピアーズ(現・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)に加入してからのことである。身長173cm体重82kgと決して大きいとはいえない体で直面した課題が、高い弾道のボールを的確に捕獲する、ハイパントキャッチの技術だった。

「海外の選手たちはそのスキルがとても高いんです。『体が小さいからハイパントキャッチができないのは当たり前』という考えでいると、この体格でウイングをやっていくのがしんどくなっていきます。大きな外国人選手に負けないためにも正しいスキルを身に付ける必要があると感じ、こだわりを持って取り組んでいます」

転機となったのがウェールズ代表のハイパントキャッチの達人、リアム・ウィリアムズの加入。日本では片足を上げ、お尻から相手にインパクトを与えて半身でキャッチするのがオーソドックスな取り方とされているが、昨季にクボタスピアーズ船橋・東京ベイのメンバーに加わったリアムは根塚に技術的革新をもたらした。

「半身だと、片足で着地した瞬間に相手のタックルを受けやすくなってしまう。そうではなく、腰をまっすぐにした『スクエア』のほうがいいと教わりました。着地したらすぐに次の一歩を踏み出せてモメンタム(勢い)を生みやすいからと」

そのアドバイスを練習で体に落とし込み、昨年の「THE CROSS-BORDER RUGBY 2024」ギャラガー・チーフス戦で実践。自分よりも一回りも二回りも大きな選手たちとの戦いの中で、確かな手ごたえを得た。

「ボールの取り方に関する意識は変わってきました。1対1の競り合いの中で安定してキャッチできるようになれば、それはウイングにとって大事なキーポイントになってきます。ハイパントキャッチのスキルは、これからも磨き続けていきたいと思っています」

「昨季の自分のプレースタイルに満足するのではなく、毎年が挑戦です」と根塚は語る。常に進化を求め続ける。それは未来を見失わないための、唯一の方法なのである。

(藤本かずまさ)

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