2025.04.24[神戸S] “2.71秒”のラックスピードに懸けるこだわりとプライド。37歳がディビジョン1最速のタクトを振るう

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第16節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年4月26日(土)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
コベルコ神戸スティーラーズ vs 三菱重工相模原ダイナボアーズ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)

スクラムハーフとして「試合でのパス精度は96%を目指している」と語る、コベルコ神戸スティーラーズの日和佐篤選手

5位・コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)は4月26日、東大阪市花園ラグビー場で三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)と対戦する。プレーオフトーナメント進出決定の可能性もある一戦を前に、9番の日和佐篤は「プレーオフトーナメントに出ないと優勝はできない。しっかりと準備したい」と必勝を期した。

2.71秒──。

形成されたラックから球出しするまでの時間、「ラックスピード」だ。神戸Sが叩き出すディビジョン1最速の数字。トップリーグ時代を含めてリーグ戦160キャップを数え、今季も13試合に先発するなど全試合出場中のスクラムハーフ、日和佐の真骨頂となる瞬間だ。

相手がそろう前に素早く攻められるか。日和佐は「ラック到達の予測スピード」を大切にした上で、「みんな基本的には、きれいにボールが出てきてからさばくと思うけど、あまり考えずに出てきたボールをさばくようにしている。(ファンブルなどに対する)セーフティーネットを張りながら速く出す」ことを強く意識していると言う。

‟速さ”の土台は法政大学時代に築かれた。

「当時の法政大学は、文字隆也(元トヨタ自動車)、宮本賢二(元サントリー)を中心にバックスが強かった。とにかく彼らにいいボールを速く供給したいというのがありましたね。それが始まりというか、僕のバックグラウンドになっています」

速さを求めながらも、「速いテンポばかりだと相手のタイミングも合ってくる」と駆け引きが伴う‟遅さ”もコントロール。緩急自在のテンポ作りに腐心する。

さらに、パスに正確性がなければ、速いラックスピードはその効力を失う。「試合でのパス精度は96%を目指している。そこを基準に1試合にミスパス1個までは許す。でも、2~3個になったら全然、アカン」。こだわるのは徹底した一貫性だ。

ラックスピードの速さに付随する、連続した‟ラック到達”は体力消耗のハイライト。「しんどいはしんどい」と苦笑いで率直に語りつつ、「でも、それが仕事。できなくなったら自分の仕事がなくなっちゃうので」と瞳には強烈なギラつきも。その意気、ますます軒高な37歳は今節もまた、D1最速のタクトを振る。

(小野慶太)

2025.04.24[相模原DB]今年結婚し、公私ともに充実の司令塔。「いい準備と勢いの持続」でさらに上へ駆け上がる

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第16節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年4月26日(土)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
コベルコ神戸スティーラーズ vs 三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

三菱重工相模原ダイナボアーズのジェームス・グレイソン選手。つい先日、結婚したという

三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)は前節の“神奈川ダービー”を制し、プレーオフトーナメント出場の可能性を残した。その試合で後半から出場し、クローザーの役目を果たしたのがジェームス・グレイソンだ。

父は、ラグビーワールドカップ2003オーストラリア大会の優勝メンバーであるポール・グレイソン。ラグビー一家で育ち、U20や各年代でイングランド代表に選ばれたサラブレットは日本で2シーズン目を迎えている。プライベートでは今年、結婚した。

「(前回の)バイウィークにプロポーズして受けてくれました。ちょっと心配なところもあったので良かったです。(前所属の)ノーサンプトン(・セインツ)時代から付き合っているので、交際6年になります。半年くらい前に犬と一緒に日本へ引っ越してきました。3人で過ごして、彼女に友達もできて、日本の生活を楽しんでいるので継続したいです」と穏やかな表情で話す。

昨季はスタンドオフとして先発に定着。今季はチームが岩村昂太、カテゴリAのジャック・ストラトン、グレイソンの3人のローテーションでハーフ団を構成する中で、途中出場の場合もある。

「昨季とは少し役割が変わって、出場時間は少し減りましたが、そのぶんコンディションが良いです。(出場のタイミングは)同じであるほうが試合の流れはつかみやすいですが、私がベンチスタートのときにはフォワードに外国籍選手がいて、そこでチームの土台が作れていると思うので、チームに必要な役割を果たすだけです。問題はありません」

今節対峙するコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)との前回対戦でも、グレイソンは後半にリードの状況で出場し、司令塔としてチームを勝利に導いた。

「今季は上位の強豪チームにも勝つことができて、チームとして自信が付いたと思います。来季に向けてさらに上にいけるように、しっかりと準備することと勢いを保つようにすることが大事だと思います」

「目の前の試合に集中すれば結果が付いてくる」ことを信じ、グレイソンはハーフ団の一員として猪軍団を勝利へと導く。

(宮本隆介)

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