NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第6節
2025年2月22日(土)13:00 ヤンマースタジアム長居 (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 25-8 日野レッドドルフィンズ
それぞれの個性、それぞれの輝き方。約1年ぶりの先発で獲得したPOTM
2月22日にヤンマースタジアム長居で行われたディビジョン2第6節では、レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)が日野レッドドルフィンズと対戦。試合前から強く吹き始めた風は、ラインアウトスローやゴールキックなどに影響があったこともあって、10対8とロースコアで折り返したが、粘り強く戦っていたRH大阪が終盤に得点を重ね、25対8で勝利。ボーナスポイントも獲得し、首位をキープした。
この試合では、RH大阪に今季初めて先発出場した選手もいた。プレーヤー・オブ・ザ・マッチ(以下、POTM)を獲得した射場大輔も、その一人だ。主にセンターでの出場を重ねているが、2シーズン前にはスタンドオフとしてもプレー。昨季はバイスキャプテンを務め、今季は伊藤宏明アシスタントコーチが指導を担当するキッキングに関する戦術を分析・レビューするグループのリーダーを務めている。
今季もリザーブではすでに3試合に出場していたが、昨季の第7節から先発での出場は約1年もの間なく、「やっぱりスタートで出場したいという気持ちは昨シーズンからずっとあった」という。長らくなかった「せっかくもらったチャンス」だ。当然この試合では自分の良さを「アピールしたいと考えていた」。
試合に向けて松川功ヘッドコーチとも話し、「自分の強みはフィジカルのところだと思うので、ボールキャリーでは激しく行くこと、ワークレートを高くすること、内側と外側をコネクトすることを意識して」試合に臨んだ。また、この試合で射場が務めたセンターの12番は、今季これまではパエア ミフィポセチが務めている。射場に比べれば体が大きく、ボールキャリーには相手を押し除けて前に進めるパワーがある。一方、射場がボールキャリーする際は、ステップを踏んで相手の位置をずらして前に進むことができる。その部分についても、「少しでもゲインを取れるよう意識していた」という。
意識してプレーしていたことに加え、前半には逆転となるトライを挙げてPOTMも獲得し、結果も残した。それでもまだ、射場は試合後に「まだまだ課題もあるので、修正できるよう取り組んでいきたい」と、さらなる成長への意欲を見せていた。
リーグ戦は、次の試合を終えればようやく折り返し地点となる。まだまだ先は長い。今季まだ試合に出場していないメンバーも含め、チーム内でポジションを争う選手たちには、それぞれの個性がある。選手それぞれがその個性を磨き上げて成長していくことが、チームをより強固なものへと成長させてゆく。
(前田カオリ)
レッドハリケーンズ大阪
レッドハリケーンズ大阪
松川功ヘッドコーチ
「本日は協会関係者の皆さま、リーグワン関係者の皆さま、ありがとうございました。また、寒い中でも多くの方々に試合を見に来ていただきました。ありがとうございます。勝つ姿をお見せできて良かったです。
勝つことはできましたが、なかなか思いどおりに展開させることができず、苦しい時間帯が長い試合でした。最後まであきらめずに自分たちのタフな戦い方を継続することで、最終的に5ポイントを取ることができたことは、とても大きかったと思います。今回出た課題は持ち帰って修正し、さらに次につなげていきたいと考えていますので、3月の4連戦に向けてしっかり取り組んでいきます」
──前半を10対8と僅差で終えました。ハーフタイムにはどのような話をされましたか。
「セットピースに関しては、前半はスクラム本数が少なかったのですが、相手のスクラムはとても良く、自分たちは相手に合わせて組んでいるようなところがありました。自分たちの形で組めるよう、セットアップから正そうと話しました。ラインアウトについては、風もありましたし、相手には長身の選手もいてプレッシャーを感じていました。そうした部分をどのようにかいくぐって、最後までキープするのかということで修正しました。ゲームの中でセットピースは、アタック、ディフェンスの次につながる大事なものです。しっかりプライドをもってできるよう、話しました」
──この試合では、今季初先発の選手が二人いました。実際にプレーを見て、いかがでしたか。
「スタンドオフのブライス・ヘガティ選手は、80分間をとおして良いパフォーマンスを発揮してくれたと感じています。ゲームコントロールは良かったですし、今季はここまで試合に出ていなかったことで、ハングリーさもあり、トライもありました。チームを前進させるプレーでエナジーを与えてくれました。センターに入った射場大輔選手には、モメンタムを与えてくれることを期待していました。射場選手の良い部分であるコリジョンの強さやスピードは、発揮してくれたと感じています」
──島田久満選手は、この試合で初めてゲームキャプテンを務めました。評価はいかがでしょうか。
「かなり緊張はしているようでしたが、個人で戦うのではなくチームで戦うということにフォーカスしてもらいました。チームを鼓舞する面においては、タフな時間帯でも体を張り続けてくれました。前半にプレッシャーを受けていたセットピースを修正できたことも、彼にとっては良い経験となったのではないかと思います」
レッドハリケーンズ大阪
島田久満バイスキャプテン
「試合開催に関わってくださった皆さま、本当にありがとうございます。また、今日も寒い中でも多くのファンの方たちに来ていただきました。本当にありがとうございました。試合展開としては、前半は自分たちのペナルティで日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)さんの勢いを受けてしまいました。自分たちはセットピースで勢いに乗りたかったのですが、そのセットピースのところでプレッシャーを受けてしまいました。ハーフタイムに話をして修正することはでき、勝ち点とボーナスポイントを取ることができたことは、とても良かったと感じています」
──セットピースについて、どのようなプレッシャーがありましたか。
「ファーストスクラムでは、バインドのところで相手に乗り掛かられてしまいました。次のスクラムでは、レフリーから『安定して組もう』という声を掛けてもらいましたので、そこからはイーブンに組めましたが、日野RDさんもスクラムに力を入れて取り組んでいらっしゃると思いますし、お互いにプライドもあります。プレッシャーは常にありましたし、かみ合わせもあって、ペナルティにつながった場面があったと思います。
ラインアウトに関しては、風があったので、しっかり自信をもってスローし、しっかりリフトするという基礎的な部分に重きを置きました。後半は少し風が落ち着いたような体感はあったので、(前半に比べて)すんなり投げることができたと思いますが、やはり風がある中でも正確なスローは必要だと思います。リフト、ジャンプとともに、しっかりと突き詰めていきたいと考えています」
──初めてゲームキャプテンを務められましたが、いかがでしたか。
「とても緊張はしましたが、メンバーには経験のある選手が多かったので、いろいろな場面で声を出してくれました。自分だけが熱くなるのではなく、チーム全員で同じ方向を向くことができたことは、本当に良かったです。大阪市出身の自分も馴染みのある(勝利した試合後の)“大阪締め”を体験できたことも、良かったと感じています。多くのファンのみなさんと一体となって“大阪締め”ができたことをうれしく思います」
日野レッドドルフィンズ
日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ
「本日は、素晴らしい環境のスタジアムで試合ができたこと、非常にうれしく思います。試合のほうは、レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)さんが最後まであきらめずに戦ってくるということは分かっていたのですが、規律の部分で私たちがコントロールできない部分があって、相手に多くのチャンスを与えてしまい、今日は厳しいゲームになってしまいました。しかし、この1週間のチームの努力というのは、非常に素晴らしいものがあったと思います。しっかり修正できることは修正し、この努力を続けていけば、いつか私たちにもチャンスが転がってくると思うので、それをつかめるような努力と準備をして次の試合に臨みたいと思います。本日はありがとうございました」
──今日の試合では、どのような試合展開を狙っていましたか。
「先ほども言ったように、RH大阪は最後まであきらめずにみんながハードワークして動き続けるところが強みです。細かい部分に関してはお話しできませんが、私たちは目の前の一つひとつに集中し、一つ仕事を終えればまた次の仕事と重ねてゆき、相手よりも上回っていくというところにフォーカスして、準備してきました。それでも、規律の部分でコントロールできない場面があって相手にボールを渡すことが多くなってしまい、チャンスを多く得ることができませんでした。チャンスを得ても、プレッシャーを受けてあまりボールを持てなかった部分もありました。焦ってしまってボールをロストしたり、判断を誤ってしまったりしていたシーンもありましたので、しっかりと修正していきたいです。次の試合も上位のチームとの対戦になり、同じような強度になると思うので、その中でどれだけ正確にできるかというところが気になってくるところです。目の前の一瞬一瞬を大事に戦っていきたいと考えています」
──風の影響もあったのではないかと思いますが、その点はいかがでしたか。
「風も強かったですし、スタジアムの中では少し風が回っているような感じで難しいシチュエーションではあると思います。しかし私たちの練習場でも、毎週火曜日の練習ではとても強い風が吹いていますし、その中で練習していることで風には慣れています。とはいえ、やはり風はないほうがプレーしやすいですし、環境はイコールコンディションだと思います。その中でどれだけ自分たちをコントロールしていけるかというところが大事になってきます。そうした部分をもう一度見つめ直して、次の試合に臨みます」
日野レッドドルフィンズ
中鹿駿バイスキャプテン
「まずは、このような素晴らしい会場でラグビーができたことをうれしく思います。今日の試合では、苑田(右二)ヘッドコーチも話したとおり、やはり規律の部分で相手にボールを渡してしまう回数が多くなりました。自分たちで自分たちの首を絞めてしまった結果だと感じています。来週の土曜には豊田自動織機シャトルズ愛知さんとの試合がありますので、しっかりこの試合を通じて反省すべきところは反省し、次の試合に向けて準備していきたいと思います。ありがとうございました」
──今日得た反省点から、次の試合にはどのように向かっていきたいと考えていますか。
「やはり練習のときから、規律に対してはチーム内で厳しく言い合っていくことが大事だと感じています。また、軽いミスなどに関しても厳しく言い合っていき、チーム全員で改善していきたいと考えています」
──終盤までは、僅差のゲームでした。反省点だけでなく、手ごたえやうまくいった部分もあったのではないかと思いますが、いかがでしたか。
「スクラムのところも良かったと思いますし、モールディフェンスもアタックも良かったと感じています。RH大阪さんはブレイクダウンでプレッシャーを掛けてきますが、そこに対しても全員で対応できていたことは、良かったと思います」