三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

パワーを引き出す「Turbos(ターボス)」の存在。相模原DBはそれぞれが役割を全うする

「Turbos(ターボス)」。三菱重工相模原ダイナボアーズは、試合メンバー以外の選手たちをこう呼ぶ。

ターボスとは、ターボの複数形で「ターボチャージャー」の略称。エンジンに圧縮した空気を送り込んで大きなパワーを引き出す、このパーツは練習場のある相模原製作所で作られている。

グレン・ディレーニー ヘッドコーチはチームのルーツを語る際、親会社の高い技術力や社員の精緻な仕事ぶりを引き合いに出す。ルーツを選手がよく理解することで、試合で最高のパフォーマンスを発揮できるのだという。

ディビジョン1初陣の白星はラグビーファンに新鮮な驚きをもたらしたはずだ。三菱重工相模原ダイナボアーズは個の力に依存するのではなく、複数のプレーヤーが連動する組織の戦いで結果を出した。

開幕戦、負傷した韓尊文に代わって前半32分に入った石田一貴は全5本のプレースキックを成功させた。「正直、10番で出たいという気持ちはあるがチームが勝つための人選だから、違うポジションでも僕の強みであるキックで貢献する」と自分の役割を認識する。

リコーブラックラムズ東京の攻勢を、持ち味の粘り強い守備で1トライに抑えた。岩村昂太キャプテンの「開幕前最後の練習試合で、あまり試合に出ていない選手がディフェンスを頑張って失点ゼロで大勝した。ジャージを着て公式戦のグラウンドに立つ選手はそれ以下のプレーはできないと思ったし、ほかの選手も少なからず感じたと思う」という言葉の中に、「ターボス」の真価を感じた。

第2節の相手は「スター選手が多いアタッキングチーム」(岩村)のトヨタヴェルブリッツ。岩村は「ボールキャリーの強い選手がどんどん前に出てくるはず。われわれがシステムに則ったディフェンスをしっかりできれば面白い展開になる。強みであるディフェンスを前面に出しながら、チャンスでしっかりと取り切ることに集中したい」と話す。

三菱重工相模原ダイナボアーズは誰が試合に出ても、あるいは出なくても、それぞれの役割が組み合って、より大きなパワーを発揮するだろう。相模原ギオンスタジアムでの今季最初の試合、先着3,500人に配られるクリスマス仕様のホッケーシャツをゲットし、スタンドを緑に染めてチームのあと押しをしよう。

(宮本隆介)

石田一貴選手。前節ではすべてのキックを成功(3G2PG)


トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスA)

“俺たちの時代”を築く―─。入団4年目の男たちがチームを引っ張る

開幕戦で逆転勝利を収め、好スタートを切ったトヨタヴェルブリッツ。勢いを加速させたいNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1第2節は敵地に乗り込み、同じく初戦で快勝を収めた三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦する。

豊田スタジアムで行われた開幕戦は、姫野和樹や古川聖人など日本代表の複数の選手がベンチからのスタートだった。それでもフォワード、バックスともに見劣りしないメンバーがそろっているのが今季のトヨタヴェルブリッツの強み。中でもゲームキャプテンを務めた福田健太や高橋汰地など、入団4年目の選手の動きが光った。

「これまでのチームは上の世代や外国籍選手が中心でしたが、わりと僕らの世代は試合に出ているほうでした。だけど、やっぱり今季は僕たちがしっかりチームを引っ張っていかないといけないと思います。いつまでも若手ではないですから」

高橋は今季に懸ける強い決意を表す。

トヨタヴェルブリッツにおける入団4年目は一大勢力である。南アフリカ代表のウィリー・ルルーを加えると9人が在籍。開幕戦には福田、高橋のほかに淺岡俊亮と秋山大地が先発出場を果たした。そして今季は古川が共同キャプテンに任命されるなど、チーム内での重要度は増している。

「同期入団の聖人がキャプテンになるのかなと、雰囲気では感じていました。彼は高校や大学でもキャプテンをやっていてリーダーシップもあるし、不安はないですね。健太とも大学が一緒で、彼も大学4年でキャプテンをやっていたので、ゲームキャプテンをしていても全然違和感はない。同期だから言いやすいこともあるし、僕らがしっかりと支えていけたらいいかなと思っています」(高橋)

開幕戦のパフォーマンスを問うと「まだまだ30点から40点くらい。もっともっと上げていけると思いますよ」と笑顔で答えてくれた高橋。普段から仲が良く、連係面もすごくうまくいっているという4年目の選手たちが“俺たちの時代”を築けば、一番欲しいタイトルをきっとつかみ獲れることだろう。

(斎藤孝一)

高橋汰地選手



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