豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

「世界で戦える日本人を育てる」。チームを司る日本人ハーフ団

開幕戦を勝利で飾った豊田自動織機シャトルズ愛知は、同じく勝利した日野レッドドルフィンズとパロマ瑞穂ラグビー場で対戦する。開幕連勝を果たして勢いに乗りたい一戦だ。

日野レッドドルフィンズについて、「セットプレーが強く、いい外国籍選手がいる」と徳野洋一ヘッドコーチは警戒する。前節からのメンバー変更も行われる中、自分たちが試合の主導権を握り、主体的なゲーム運びができるかに勝負の分かれ目があると見る。

この試合のカギを握るのがスクラムハーフ・藤原恵太とスタンドオフ・清水晶大の9番・10番コンビ。開幕戦はそろって先発出場し、チームを勝利に導いた。ともにチームの心臓とも言えるポジションを務める中で、二人が口にしたのは互いへの信頼。同学年ということもあり、普段から仲が良い。

藤原は清水に対して「アタックの部分では突出している。ラグビーIQが高いので、全面的に信頼を置いている」と語れば、清水は「絶対に体を張ってくれる。どんなプレーからも逃げないので、信頼できる」と藤原を評価。さらに清水は「信頼しているからこそ厳しいことも言える。いい関係性だと思う」と続けた。

他クラブを見ると、スクラムハーフやスタンドオフのポジションは強力な外国籍選手が務めることが多いが、豊田自動織機シャトルズ愛知はスクラムハーフ、スタンドオフ登録のほとんどが日本人選手。「世界で戦える日本人を育てる」という徳野ヘッドコーチの方針の下、チームの中心を担っているのが藤原と清水の二人だ。「自分と清水がボールを動かさないと、チームの攻撃が始まらないと思っている」と藤原。清水も「コーチ陣の期待はかなり感じる。だからこそ結果を残したい」と意気込む。

ラグビーの花形とも言えるスクラムを組むわけでもなく、華麗なステップを踏んでトライを量産するポジションでもない。しかし、試合のどんな場面でも『そこに関わっている』のがスクラムハーフとスタンドオフ。「試合の中で一番喋っている自信がある」(清水)。会場に足を運べば、その存在を感じることができるだろう。

(斎藤弦)

スクラムハーフ・藤原恵太選手(左)とスタンドオフ・清水晶大選手


日野レッドドルフィンズ(D2)

FW陣が臆せずにぶつかれるか。問われるのは「遂行力」

「新しい日野レッドドルフィンズを見せることができた」と箕内拓郎ヘッドコーチ。チームづくりの方向性と成長ぶりにしっかりとした手ごたえを感じた開幕戦を経て、迎える次の相手はフォワードの強さと展開の速さを兼ね備えた豊田自動織機シャトルズ愛知。12月25日にアウェイの地、パロマ瑞穂ラグビー場に乗り込んでの試合は、リーグワンでは初めてとなる豊田自動織機シャトルズ愛知との対戦だ。

第1節でディビジョン3からの昇格チーム同士の戦いを制した豊田自動織機シャトルズ愛知について、箕内ヘッドコーチは「開幕戦はやや硬さも見えたが、2戦目はよりパフォーマンスを上げてくるはず。われわれよりもトップリーグで長く戦っているチームであり、強敵だと思っている」と警戒。ホストチームの利も含め、勢いに乗る相手は侮れないが「選手同士が体をぶつけ合うコリジョンで負けてはいけないと思っているし、その部分には自分たちも自信をもっている。組織として戦うことをテーマに取り組み、スクラムやラインアウトなどユニットのプレーをこだわって磨いてきたので、そこで競り勝つところをフォワードにはぜひ見せてほしい」と真っ向勝負の構えだ。

「豊田自動織機シャトルズ愛知は何人かボールキャリーに秀でたキープレーヤーがおり、その選手をいかに止められるか。またユニットのプレーでどれだけ自分たちが上回れるか。その点が重要」と話してくれたのは堀江恭佑 共同キャプテン。連勝のために一番大事なことについて、「アタックもディフェンスも『遂行力』。苦しいときは本来すべきプレーができなくなることもあるが、80分間どんな状況でも選手個々がやるべきことをやり切る、遂行する意識で戦い抜くこと」と力強く答えてくれた。

「今週は1日長く準備できましたし、選手からも一戦一戦大事に戦うことに集中して試合に臨んでいる姿勢が見えて楽しみ。長いシーズン全体を考えると重要な試合であることは間違いない」と箕内ヘッドコーチは試合を見据える。

豊田自動織機シャトルズ愛知のフォワード陣は強力だ。しかし、それに対して日野レッドドルフィンズのフォワード陣が自信を胸に臆せずぶつかり、接点での争いを制することができれば、おのずと開幕連勝という結果もついてくるはずだ。

(関谷智紀)

ラックからボールを出すのは、もうひとりのキャプテンであるオーガスティン・プル共同キャプテン



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