2022.12.27NTTリーグワン2022-23 D3 第2節レポート(中国RR 10-34 RH大阪)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン3(リーグ戦) 第2節
2022年12月25日(日)14:30 シティライトスタジアム(旧桃太郎スタジアム) (岡山県)
中国電力レッドレグリオンズ 10-34 NTTドコモレッドハリケーンズ大阪

ド迫力のマッチアップ。盟友同士が散らした熱き火花

NTTドコモレッドハリケーンズ大阪のヴィリー・ブリッツ選手(左)、中国電力レッドレグリオンズのエドワード・カーク選手

普段は優しい大男たちがフィールドで闘志をぶつけ合った。中国電力レッドレグリオンズのエドワード・カークとNTTドコモレッドハリケーンズ大阪のヴィリー・ブリッツ、元チームメート同士が激しいバトルを繰り広げて試合を盛り上げた。

12月25日に行われたNTT ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン3の第2節で中国電力レッドレグリオンズとNTTドコモレッドハリケーンズ大阪が対戦。前半は一進一退の展開だったが、後半に入って規律面を改善し、相手へのプレッシャーを強めたNTTドコモレッドハリケーンズ大阪がトライを重ねて、34対10で開幕2連勝を飾った。

この試合の熱気をまず高めたのは、サンウルブズでチームメートだったエドワード・カークとヴィリー・ブリッツの闘志と闘志のぶつかり合いだろう。二人はお互いが「本当にいい人で、いい選手」と認め合う間柄だが、試合が始まれば5分も経たないうちに取っ組み合うほどヒートアップ。その後も190cm超えの二人が迫力のプレーでバチバチに火花を散らした。

エドワード・カークは元同僚について、「彼は優しいやつだけど、フィールドでは100%の力を発揮する。僕たちはいつもいいバトルをしてきたし、当然ながら一緒にプレーをしてきたので、彼のプレーはよく理解している」と話す。

リーグワン初出場だったヴィリー・ブリッツは、「彼とやり合うのは楽しかった。別のチームだけど、久しぶりに(一緒に)プレーをして、彼が向上しているなと思った。自分もここで止まらず、成長しないといけないと感じた」と刺激を受けた。

ただ、お互いを特別に意識していたわけではない。エドワード・カークが「相手が誰であれ、僕は常に110%の力で自分のアグレッシブなスタイルを貫く」と断言すれば、ヴィリー・ブリッツも「ラグビーは常にハードにいくべきだと思っている」と口をそろえる。

フィールド外では優しく穏やかな二人だが、その言葉どおり試合では激しいプレーをいとわない。常に仲間への熱い鼓舞も続けて、チームの勝利のために全力を尽くす。「僕らは似ていると思う。二人とも負けず嫌いな男で、それがゲームの中で自分たちを表現するやり方だ」(エドワード・カーク)。

いまはディビジョン3を舞台にそれぞれのチームで戦うエドワード・カークとヴィリー・ブリッツ。どんな相手だろうと、二人は変わらず闘志を燃やして戦う。それが今後の試合も盛り上げるに違いない。

(湊昂大)

中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズの右から、岩戸博和ヘッドコーチ、西川太郎 共同キャプテン、エドワード・カーク選手

中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和ヘッドコーチ

「NTTドコモレッドハリケーンズ大阪の皆さま、リーグ関係者の皆さま、ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。試合はセットプレーでしっかりやられたなという印象です。もっとアタックタイムが欲しかったですが、フィジカルバトルのところで劣勢になってしまいました。ディフェンスは選手たちがしっかりファイトしてくれていたので、そこはわれわれがやってきたことが間違っていないと思いましたし、継続してやっていきたいところではあります。選手は本当によくやってくれたと思います」

──どんな狙いを持って試合に入ったのでしょうか?

「相手のディフェンスの狙いどころに対して継続してアタックし続けようという狙いがありましたが、なかなかアタックの時間がとれませんでした。あとは、勝負どころでミスをしてしまい、スコアできるところでスコアできなかったことが、うまくゲームをコントロールし切れなかった部分だったと思います」

──後半の入りで意識したところは?

「ハーフタイムには『もう1回きっちり自分たちのディフェンスをやり続けよう、そこからリズムを作ろう』と話しました。(シーズン開幕前の)トレーニングマッチで対戦したときも、前半は良くて後半にやられる展開だったので、そこは選手にしっかり話をしました。アタックについては『継続して攻めよう』という話をして、後半の入り自体は悪くなかったですが、ターニングポイントが何度かあった中でしっかりチャンスをモノにできなかったことがこの結果につながったと思います。ただ、修正できる余地はあるので、そこは次につなげたいと思います」

──岡山でジャパンラグビー リーグワンが初開催となりましたが、雰囲気はどうでしたか?

「岡山のラグビースクールの子どもたちもお客さんとして入ってきてくれて、われわれのパッションは見せられたと思っています。雰囲気はとても良かったです。中国地方ではラグビーの試合を見る機会が少ないと思うので、こういった環境でどんどん試合をやって、中国地方を盛り上げていきたいと思います」

中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎 共同キャプテン

「本日はリーグ関係者の皆さま、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪の皆さま、会場にお越しいただいたファンの皆さま、ありがとうございました。今日は特にラインアウトのところでプレッシャーを受けてマイボールにできなかったり、スクラムで同じくプレッシャーを受けてペナルティーをしてしまったり、相手に攻撃権を与えて自分たちの攻撃の時間が少なくなり、ディフェンスの時間が多くなってしまったことが敗因だと思います。まだまだ試合は続くので、修正して次戦に臨んでいきたいです」

──岡山でジャパンラグビー リーグワンが初開催となりましたが、雰囲気はどうでしたか?

「お客さんも来てくれて、ホストゲームで雰囲気も良くて、選手としても気持ちが高ぶりました。勝ってファンと喜び合いたかったですが、それができなくて残念でした。次のホストゲームで、来てくれるお客さんに勝ちを届けられるように頑張っていきたいと思います」

中国電力レッドレグリオンズ
エドワード・カーク選手

──サンウルブズでチームメートだったヴィリー・ブリッツ選手との対戦は?

「相手が誰であろうと、僕は常に100%の力で自分の役割を果たし、アグレッシブなスタイルを貫きます。僕らはトレーニングでもたくさんバトルしてきましたが、試合でもそれは変わらないですし、試合後には必ず握手とハグをします。それこそが僕がラグビーを愛している理由です」

──次の試合に向けて。

「再びチームが一つになることが必要だと思います。次の相手の九州電力キューデンヴォルテクスは週末にいい勝ち方をしていたし、“電力ダービー”になるので真剣に取り組んでいかないといけません。まずはしっかり休んで、立て直していきたいと思います」

NTTドコモレッドハリケーンズ大阪

NTTドコモレッドハリケーンズ大阪のマット・コベイン ヘッドコーチ(右)、杉下暢キャプテン

NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
マット・コベイン ヘッドコーチ

「前半はストレスを感じる試合展開でした。先週も課題だったペナルティーが多く、前半はそこで苦しめられました。後半は逆にもう少し一貫してプレーすることができ、ペナルティーの数も減らすことができましたし、いいトライも取れたと思います。もちろん、新チームとしていい方向には進んではいますが、まだ課題があると思っています」

──中国電力レッドレグリオンズに対して攻守のゲームプランは?

「フィールドポゼッションをしっかりとっていく、正しいエリアでしっかりアタックしていく、というのがゲームプランでした。中国電力レッドレグリオンズさんはフォワードがかなり速い一方で、ラック周辺や大外が空くという傾向があったので、そこを狙いにいくのがプランでした。さらにラインアウトやスクラムでしっかりプレッシャーを掛けていこうというプランを立てていて、最終的にセットピースから二つトライを取れたので良かったです」

──ハーフタイムに選手たちにかけた指示や言葉は?

「前半はしっかりゲームに入れなかったので、ハーフタイムでリセットして、試合前に言っていたキーポイントにもう1回フォーカスしようということを伝えました。一番大きかったのは規律面で、後半はそこがしっかり修正できました。さらに、フィールドポゼッションのところで、『自陣であまりプレーをせずしっかり敵陣に入っていこう』、『キックも蹴ってしっかりディフェンスにプレッシャーを掛けよう』ということを言いました。チームとしてそこはまだ課題だと思っています」

──開幕2連勝の気持ちは?

「素直にうれしく思います。僕らは新チームであると思っていて、昔からいる(NTT)ドコモの選手だったり、(NTT)コムの方から来た選手、(ヴィリー・)ブリッツ選手のような新加入選手だったり、若い外国籍選手もいます。その中で、毎週お互いを知り合うこと、絆やつながりを強くすることにこだわってやってきました。まだ課題はありますが、開幕から少しずつプレーも向上していると思います」

──次の試合は具体的にどのようなプレーをしたいか?

「次回の1月の試合についてはまだどうするか決まっていませんが、まずは自分たちのアタックパターンやスキルをしっかり意識していきたいと思います」

NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
杉下暢キャプテン

「まずは勝点5を取れて本当にうれしいです。前半は風下ということと、われわれの規律面があまり良くなかったので苦しみました。後半は原点に帰ってフォワードはセットプレーから圧力を掛ける、バックスは風上を生かしてエリアをしっかりとって戦うところにフォーカスし、最終的にこういう点差になったので、自分たちのプランをしっかり遂行できたということだと思います」

──開幕2連勝の気持ちは?

「うれしいです。勝利はチームに好影響を与えてくれると思いますし、チームの雰囲気も非常にいいです。ただ、2試合を通して課題は出ているので、シーズンを通して修正しながら、よりレベルアップしていくことが今後大切だと思います」

──次の試合は具体的にどのようなプレーをしたいか?

「今日はフォワードのセットプレーのところでかなりプレッシャーを掛けることができていました。1月15日に対戦するマツダスカイアクティブズ広島さんに対しても、しっかりプレッシャーを掛けて、なおかつエリアをしっかりとっていく、まさに今日の後半のようなプレーをしたいです。その中で、この2試合を通して出ている規律面の課題を改善して、もっとスマートにゲームを進めていきたいです」

NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
ヴィリー・ブリッツ選手

──ジャパンラグビー リーグワン初出場の感想は?

「まずは日本でまたプレーできる機会をいただき、本当に光栄に思います。NTTドコモレッドハリケーンズ大阪のジャージーを着てプレーするだけではなく、それ以上の価値があるものだと率直に思いました。今季、このチームでいい結果を出したいと思います」

──試合の入りで意識したことは?

「長年ラグビーをしているので、ラグビーを楽しむことを考えていました。試合がある週の段階でしっかり準備をして、試合に入ったらまずラグビーを楽しむこと。自分の最後の試合がいつになるか分からないので、楽しむことを意識していました」

──サンウルブズでチームメートだったエドワード・カーク選手との対戦は?

「本当に楽しかったです。彼は本当にいい人ですし、いい選手でもあります。久しぶりにこうやってプレーして、彼はまた向上しているなと思いました。別のチームですが、一緒にプレーできてうれしかったですし、自分もここで止まらず、成長しないといけないなと感じました」

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