静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

攻守において先陣を切るために。杉原立樹に求められるエナジー

開幕から強豪との戦いが続いていることもあって、ここまで3連敗と苦しい状況に陥っている静岡ブルーレヴズ。ただ内容的には勝機も見えており、一つきっかけをつかめれば‥‥、という中で迎える2戦目のホストゲームだ。ジャパンラグビー トップリーグ時代から相性の良いリコーブラックラムズ東京をヤマハスタジアムに迎え、チーム一丸で今季初勝利を目指す。

そんな中、人一倍勝利に飢えているのは、開幕戦で念願のジャパンラグビー リーグワン初出場を勝ち取って以降、先発出場を続けている加入3年目のフランカー、杉原立樹だ。昨年まではけがが続いていたこともありなかなかチャンスに恵まれなかったが、今季はポテンシャルの高さを存分に発揮し、堀川隆延ヘッドコーチの信頼もつかみ前節は初めて80分間フル出場した。

「ボールがない局面でよく走っていますね。見えないところでよく仕事をしていて、危機管理能力やスピードのチェンジというのは集計したGPSのデータにも表われています。今後はそれを生かしてもっとボールに絡んでくると思います」と堀川ヘッドコーチは期待を寄せる。

杉原自身も、「フォワードの中でも動きが多いポジション(フランカー)なので、運動量というのはすごくテーマにしています。その中で、自分の持ち味であるアタックというのをアピールしていきたいです。公式戦だとボールが回ってくることが多くない中で、ワンチャンス、ワンチャンスをトライまで持っていきたいなと毎試合考えています」と攻撃への意欲を口にする。

対戦相手のリコーブラックラムズ東京は、「勢いに乗ったらどんどん前に出てくるチームなので、最初の20分間で彼らの勢いをどれだけ前で止めるかが重要」(堀川ヘッドコーチ)。当然、杉原には攻守において先陣を切ることが求められる。

「試合に出続けていて勝てないのはすごく悔しいし、なんとか勝利につなげられるように、個人としてもチームに良いエナジーを与えていけるように頑張りたいです。運動量、声を出してチームを鼓舞し続ける、ブレイクダウンの争奪戦で負けないといったところを、まず自分が体現していきます」(杉原)

けがや体調不良で離脱する選手が増えている中、彼のエナジーが静岡ブルーレヴズにどれだけ勢いを与えられるかに注目したい。

(前島芳雄)

静岡ブルーレヴズの杉原立樹選手。「自分の持ち味であるアタックというのをアピールしていきたい」


リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスA)

「自分は自分らしく」。昨年3月以来の公式戦勝利を経て、松橋周平が考えたこと

前節のトヨタヴェルブリッツ戦で念願の今季初勝利を手にしたリコーブラックラムズ東京。攻守で大活躍しプレイヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたリーダーグループの一員である松橋周平は、こう話した。

「やっと自分たちのラグビーに意識を向けられた」

昨年の3月6日以降、チームは公式戦の実戦でまったく勝てていなかった。その状況がいつの間にか自分たちを追い詰めていたと松橋選手は言う。だがこの勝利で「自分たちがやっていることは間違いではない」と自信をつけることができた。

結果を喜んだ反面、ペナルティの数は14を数えた点は反省点だ。「一人のペナルティが伝染してしまう。そこは意識の弱さなんです。誰かが反則をすると、自分がどうにかしなきゃいけないと思うようになって、視野が狭くなる」(松橋)。

今週は、その改善を意識した練習を重ねてきた。その結果、“ブラックラムズとしてどう戦うか”というマインドセットは出来上がった。次は、なぜ勝てたかを理解し、修正のステージへ。

「スクラムやモールが強みである静岡ブルーレヴズさんに対して、ペナルティを重ねてはいけない。だから、よりディシプリン(規律)が大事になってくる」(松橋)

試合全体をとおしてみれば、きっと苦しいときも、予期せぬ事態が起きることもあるだろう。だからそんなときのために、リーダーとして仲間に掛ける言葉の準備もしている。誰かを真似するのではなく、松橋周平らしいリーダー像で。

「僕自身が(キャプテンである武井)日向のことを尊敬しているからこそ、一時期は日向を立てようと一歩引いていた時期もありました。だけどそうじゃない。自分は自分らしく、思ったことを発言し行動する。それが結果的に日向のためになっているのかもしれない、と気付きました」

リコーブラックラムズ東京として大事にしている、“キャッスル(城)”という文化がある。今週末は敵地に乗り込み、相手の城を倒しに行く。そんな姿を、ファンの人たちには見てほしいという。

「自分はリコーブラックラムズ東京がすごく好き。チームの勝利のために、プレーしたい」(松橋)

(原田友莉子)

リコーブラックラムズ東京の松橋周平選手。「やっと自分たちのラグビーに意識を向けられた」

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