日野レッドドルフィンズ(D2)
若手二人とのトリオにも郷雄貴は不安なし。『歯みがき』を合言葉に、狙うは首位撃破
ここまで3連勝の強敵、浦安D-Rocksを迎え撃つ日野レッドドルフィンズ。開幕戦以来となるホストゲームは東京都調布市のAGFフィールドで、1月21日の12:00にキックオフされる。
前節、敵地での三重ホンダヒート戦は、前半から終始リードを奪いながらも後半36分と38分に逆転のトライ&コンバージョンを許し1点差の悔しい敗戦。しかしフォワード戦では終始相手を押し込み、「ラインブレイクの部分やセットプレーで相手を上回り、アタックでも準備してきた内容を継続的に出せて、トライも奪えた」と箕内拓郎ヘッドコーチも振り返るようにポジティブ要素も多かった。
「主導権は握れていたがペナルティが続くなどディシプリン(規律)の部分で自分たちから優位を手放した。それがすべて」と修正点は明白。「メンタル面で我慢し、80分チームで戦うことを練習で厳しく確認してきた」という浦安D-Rocks戦に向けての取り組みで流れを変えたい。
フォワードの頑張りから主導権をつかむ日野レッドドルフィンズの長所を生かした戦いはできている。それを支えるのが4試合連続でスタメンを務める郷雄貴のプレーだ。常に攻撃に顔を出し、守備でも相手キーマンを何度も身を挺して止めるなど獅子奮迅の活躍ぶり。「フィールドプレーにもプライドをもってやっていますし、もっともっと動いていければ」と、郷はさらなる高みを見つめる。
「練習の合間での移動などでも、『常に動き出しを早く』という意識をもって取り組んでいます。最初の一歩が早ければ試合でも接点でのプレーで優位に立てますし、それが体力の消耗をカバーすることにもつながるので」
浦安D-Rocks戦での日野レッドドルフィンズは、ここまでスクラムハーフのスタメンだったオーガスティン・プルをセンターに、スタンドオフだった北原璃久をフルバックにコンバート。フォワード第1列のスタメンも左右両プロップに徳田悠人、船木頌介をスタメン起用する。そんな若手2人とのトリオにも郷に不安はまったくない
「『歯みがき』と呼んでいるんですが、筋トレの待ち時間など隙間の時間を見つけては最前列3人だけでもすぐ集まって組んで。肩を合わせる位置や出し方などセットアップ面をチェックして『はい、OK』みたいな感じで合わせています」
なぜ『歯みがき』?
「歯みがきは毎日するから、『それと同じ気持ちでセットアップも毎日しようよ! 』と。浅原(拓真)さんの提唱がいまでは選手に定着しています」と郷。普段から培った結束力が首位撃破の原動力となる。
(関谷智紀)
浦安D-Rocks(D2)
ラインアウトの攻防がカギ。連勝街道をひた走り、“その先”を目指す
2023年の初戦、豊田自動織機シャトルズ愛知との全勝対決は55対16で快勝。連勝を3に伸ばした浦安D-Rocksだが、ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチが試合後の会見でコメントしたように、終盤の規律面には課題が残った。
今節の対戦相手は日野レッドドルフィンズ。ゲームキャプテンを務める中島進護は、「試合展開はやってみないとわからないが、レフリーとコミュニケーションをとりながら、何がいけないのかチームに伝えて、全員が同じ方向を見てプレーできるようにしたい」と、課題修正に意欲を見せる。
浦安D-Rocksがこだわりをもって取り組んでいるラインアウトにも注目だ。豊田自動織機シャトルズ愛知戦ではラインアウトのサインプレーから中島のトライで先制しており、「アシスタントコーチのローリー(・ダンカン)を中心に、アイデアを出しながら毎週相手に合ったプレーを選択しています。ラインアウトモールにも自信をもっているので日野レッドドルフィンズ戦でもそれを出していきたい」(中島)。
一方の日野レッドドルフィンズもラインアウトには手ごたえを感じている。前節の三重ホンダヒート戦はわずか1点差で落としたが、箕内拓郎ヘッドコーチが試合後の会見で、「重要な要素」とコメントしているとおり、ラインアウトからの展開には要警戒だ。
アタックに関して中島は、「ディフェンスから相手をドミネート(圧倒)して、アタックの起点を作りたい。攻撃ではバックスに良いランナー、ラインブレイカーがそろっているので、そこでしっかり得点を取り切れるように浦安D-Rocksらしいアタックをしたい」と語る。もちろん「良いランナー」の代表格はイズラエル・フォラウだろう。「(イズラエル・フォラウは)すごい選手。ボールを持ったらマークが集中するので、そういう選手がいると周りも助かる」(サミソニ・トゥア)と、すでに攻守両面でチームに欠かせない選手になっている。
ラインアウトを制し、ランナーが突破し、日野レッドドルフィンズを圧倒する。その連勝街道の先にこそ、浦安D-Rocksが目指すものがある。
(尾田健太郎)