東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)
「スクラムで上回れれば」。小鍜治悠太の前進がBL東京を勢いに乗せる
東芝ブレイブルーパス東京は1月28日、秩父宮ラグビー場で花園近鉄ライナーズと対戦する。前節でトヨタヴェルブリッツを63対25で破った東芝ブレイブルーパス東京は、自信を胸に連勝を狙う。
花園近鉄ライナーズ戦で6試合連続スタメン出場となるのが右プロップ、小鍜治悠太だ。低く鋭いスクラム、力強いボールキャリーが光る24歳は、充実のシーズンを迎えている。
「ここまでの手ごたえはめちゃくちゃ良いです。昨季(リーグ戦15試合、プレーオフ1試合に出場)を経験したこともあって、大きな痛みや変な疲れもありません。セットプレーは昨季もだんだん良くなっていったので、今季も同じように伸ばしていきたいです」
対戦相手の花園近鉄ライナーズはここまで開幕から0勝5敗と苦しんでいるが、能力が高く、流れがかみ合えば強豪チームを倒すだけの潜在能力をもっている。小鍜治は「もともと力のあるチームですし、スクラムでプレッシャーを掛けてくるので気をつけています」と警戒しつつ、「そのスクラムで僕らが上回れるようにできれば。このままの調子で押したいです」と力強く語った。
花園近鉄ライナーズには、天理大学でともに大学日本一に輝いたシオサイア・フィフィタがいる。小鍜治は朗らかに笑った。
「天理大学で仲間だった(シオサイア・)フィフィタ、アイツは危険なので(笑)。本当にプレーが力強くて、練習で当たったときに飛ばされたこともあるので、負けないように当たっていきたいです」
「接点無双」を掲げるチームにおいて、フォワード第1列の役割は大きい。セットプレー、フィールドプレーで小鍜治が前に出れば出るほど、東芝ブレイブルーパス東京は勢いに乗るはずだ。
(安実剛士)
花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)
「どうゲームメークしてアタック時間を増やすか」。“小粒”の吉本匠が“ぴりりと辛い”プレーで魅せる
ホストゲーム3連戦の締めくくりとなる1月22日の東京サントリーサンゴリアス戦は、先手を取りながらも10対51で逆転負け。5敗目を喫し、昇格後、未だ勝利を手にしていない花園近鉄ライナーズだが、トンネル脱出に向けての光がうっすらと見えた80分でもあった。
1月28日には東芝ブレイブルーパス東京とビジターゲームを戦うが、スタンドオフとして先発する吉本匠は2試合連続で手にしたチャンスに燃えている。
ディビジョン1昇格の立役者の一人だったオーストラリア代表スタンドオフのクエイド・クーパーが左アキレス腱の断裂で戦線を離脱中。新たに獲得されたジャクソン・ガーデンバショップが未だにフィット感を見せない中で、吉本は前節、復帰2試合目にしてスタメンでキックオフの笛を聞いた。
吉本起用の狙いは、明確だ。「タックルをできる選手を選ぶ。これは昨季から変わっていないです。吉本がようやくけがから帰ってきた」と水間良武ヘッドコーチは話したが、指揮官が開幕当初好んで口にした「殴り合い」ではなく、安定したディフェンスからの攻撃をいまの花園近鉄ライナーズは必要としているのだ。
東京サントリーサンゴリアス戦では先手を取り、前半だけを見れば10対18と粘りを見せたが「やっぱりラグビーは80分なので、40分だけではダメ」(水間ヘッドコーチ)。後半、攻撃時のイージーミスでみすみす流れを手放した格好なだけに、吉本は自らに託された役割をこう言い切った。
「ディフェンスの時間が短いほうがいいので、司令塔としてはどうゲームメークをして、アタックの時間を増やすか。そして前節の反省としてはエリアマネジメントですね」
攻撃面では孤軍奮闘気味だったウィル・ゲニアとも今週の練習ではしっかりとコミュニケーションを図ってきたが、世界的名手も吉本にこんな信頼を置く。
「タフに体も張れる選手で、メンタルもタフ。彼とのコンビは楽しみにしています」(ウィル・ゲニア)
ただ、吉本自身はウィル・ゲニアに依存するつもりは決してない。
「ウィル・ゲニアには学ぶことも多いし、シンプルに一緒にプレーできるのが楽しい。でも、彼には『僕が引っ張っていけ』と言われています」(吉本)。
相手のスタンドオフ、トム・テイラーが186cmに対して、吉本は171cm。しかし、日本にはこんな諺がある。「山椒は小粒でもぴりりと辛い」。吉本はその言葉の意味をプレーで示す。
(下薗昌記)