2023.01.29NTTリーグワン2022-23 D1 第6節レポート(BL東京 60-14 花園L)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(交流戦) 第6節
2023年1月28日(土)12:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東芝ブレイブルーパス東京 vs 花園近鉄ライナーズ

“20歳の宝”ワーナー・ディアンズ。圧倒的な運動量から、攻守に大車輪の活躍

「ボールキャリーをするときは毎回、前に出ることを意識しています」。プレーヤー・オブ・ザ・マッチのワーナー・ディアンズ選手

東芝ブレイブルーパス東京は28日、秩父宮ラグビー場で花園近鉄ライナーズに60対14で快勝。2試合続けて60得点以上を奪い、通算成績を4勝2敗とした。

トッド・ブラックアダー ヘッドコーチは「チームのパフォーマンスに満足しています。セットプレーが素晴らしく、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)も効率良くできました」と穏やかな表情で振り返った。

この試合でプレーヤー・オブ・サ・マッチに選ばれたのが東芝ブレイブルーパス東京のワーナー・ディアンズ。身長201cm、体重117kgの体格を誇り、20歳にして日本代表の主力となった“日本ラグビーの宝”だ。

ワーナー・ディアンズはこの日、何度もボールを持って相手にぶつかり、何度も前に出た。

「自分の仕事をして、チームのために勢いをつくることができたと思います。ボールキャリーをするときは毎回、前に出ることを意識しています」

後半11分には同じロックのジェイコブ・ピアスとともにカウンターラックでボールを奪取。連続攻撃の中で原田衛が前に出ると、長身をかがめながらスルスルと近づいてパスを受けゴール前へ。自身も倒れながらオフロードパスを器用にとおして、その後のマット・トッドのトライにつなげた。ワーナー・ディアンズの運動量、正確な判断がチームを助けていることの象徴のようなシーンだった。

前半36分には自陣ゴール前の大ピンチで相手ボールのラインアウトをスティールするなど、セットピースにおける活躍も光る。

「毎週毎週、セットピースが大事になってくるので、相手チームを分析して、自分たちがボールを取れるように練習をしています」

次節は同じ府中市に本拠地を置く東京サントリーサンゴリアスとのライバル対決が待っている。ワーナー・ディアンズは「東京サントリーサンゴリアスはアタックがすごく良いので、ディフェンスで相手を止めることが一番大事だと思います。フォワードがデカいですし、バックスも速いのでみんなに気をつけたいです」と静かに闘志を燃やした。

(安実剛士)

東芝ブレイブルーパス東京

東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(右)、小川高廣 共同キャプテン

東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ

「今日のチームのパフォーマンスに満足しています。選手たちがすごく良いプレーをしてくれました。セットプレーが素晴らしく、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)も効率良くできました。その結果として素晴らしいトライを取ることができました。うれしいことは、試合を通じて選手をローテーションできたことです。リザーブの選手に対しても重要なプレー時間を提供できました。タフな週でしたが、乗り越えて良いパフォーマンスできたのは選手のおかげで、コーチ陣も良い仕事をしてくれました。ベリーハッピーです」

──来週の東京サントリーサンゴリアス戦に向けての課題、修正したいところは?

「複数、修正が必要なところがあります。ブレイクダウンは少し修正を加えていきます。ディフェンス面では突破されたところが何回かありました。判断の部分で言えば、自陣でプレーする時間が長くなったことがあり、キッカーの前の選手が前進してオフサイドになることもありました。ただ、良い面を言えば、それらは修正可能なところです。一番うれしいのはメンタルのタフさを出したところです。選手たちは容赦なく戦ってくれました。この週末は勝利を味わって、来週は来週でしっかり準備したいと思います」

──リザーブの選手の評価は?

「交代したメンバーがすぐにインパクトを与えてくれたことをうれしく思います。フォワード第1列で先発した選手たちは、これまでも十分な時間をプレーしてきました。今日は交代した選手ががんばったことによって、先発した選手たちもリフレッシュしてまた次の試合に臨めます。リーチ マイケルはこれまでのプレー時間が長いので、交代させたことでまたリフレッシュしてくれると思います。一番良かったのは23人全員について自信をもって送り出せる、信頼できる状態だということです。それが自分たちの強みで、リザーブ選手たちの仕事に満足しています」

東芝ブレイブルーパス東京
小川高廣 共同キャプテン

「自分たちのやることをしっかりやろうと試合前は話していて、先週からブレイクダウンが良くなっているので、常にどの試合でもできるようにしようと伝えました。前半の途中に花園近鉄ライナーズさんがブレイクダウンで激しく戦ってきて、自分たちのやるべきことができない時間帯もありました。ブレイクダウンをしっかりしないと来週の東京サントリーサンゴリアスさんとの試合は厳しいものになるので、また1週間準備していきます」

──東京サントリーサンゴリアス戦に向けての意気込みは?

「自分たちには良いランナーがいるので、グラウンドを大きく使って、スペースをうまく突いていきたいです。チームの強みをどちらが出せるか、という試合になると思います。向こうはテンポを出してくるのでブレイクダウンでプレッシャーを掛けて、ディフェンスでは相手に何もやらせないように、アタックではワイドにボールを運んでラインブレイクしていくようにできればと思います」

──今日はフォワードが相手にかなりプレッシャーを与えたと思いますが?

「ロックの二人(ワーナー・ディアンズ、ジェイコブ・ピアス)はハードにボールキャリーしてくれますし、後半から入ったフォワード第1列(木村星南、原田衛、タウファ・ラトゥ)がインパクトを与えてくれました。リザーブ含めて全員が良いプレーをしたと思います」

──試合序盤にペナルティゴールを狙える位置でトライを取りに行った場面がありましたが、ゲームプランは?

「ショットを狙うかどうかの判断は、試合前はここまでと大きく変えていませんでした。今日は最初にトライを取って7点差になって、ラインアウトの感覚が良かったので、ペナルティゴールよりもコーナーに蹴ってトライを狙っていきました」

──ブレイクダウンの効率が良くなったという話がありましたが、どこを改善したのですか?

「マインドセットの部分だと思います。良いマインドセットがあれば解決できるので、自分たちが繰り返し、繰り返し言うことでみんなが良くなっていると思います」

──2試合続けての大量得点で自信は?

「得点を取ったからというのはあまりないです。『自分たちがブレイクダウンをしっかりやって、スペースにボールを運べばトライを取れる』とみんなが思っていれば、これからのゲームも自信をもってやっていけると思います」

花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)の水間良武ヘッドコーチ(右)、野中翔平キャプテン

花園近鉄ライナーズ
水間良武ヘッドコーチ

「前半にチャンスがあった中でラインアウトを取り切れず、スコアできませんでした。風下の前半にトライ数が4本(東芝ブレイブルーパス東京)、1本(花園近鉄ライナーズ)だったことは良かったのですが、最終的にフィジカルバトル、1対1の勝負で負けて、ボールをつながれて、あのようなスコアになってしまいました。ディフェンスに関してはやり続けるしかないので……。とにかくやり続けるしかないですね」

──連敗が続いていますが、来週に向けて修正したいところは?

「変わらないです。課題の部分はディフェンスで差し込まれるところ。そこに関してはみんなが早く立って、ラインスピードを上げて、ダブルタックルをできるようにする。タックルした選手はすぐに起きる。アタックではスペースにボールを運んで、全員が選択肢になって、正しい選択をしてボールを継続する、というところです。今日はミスでボールを失って継続できませんでした。飛ばしパスを使わなくてもチャンスになった場面で飛ばしてしまうシーンもありました」

──ウィル・ゲニア選手が孤軍奮闘していました。彼のスキルを生かすためにどう工夫していきますか?

「まずは(チームとして)ボールを持つことです。今日はラインアウトが取れず、ボールを持ってもすぐに失ってしまいました。彼を生かすためには、まずはセットプレーでしっかりボールを出すことです」

花園近鉄ライナーズ
野中翔平キャプテン

「水間(良武)ヘッドコーチが言ったことにプラスすると規律の部分。不必要なペナルティで自陣に入られました。ペナルティは先週から課題でしたけど修正し切れずに、また同じ課題が出てしまいました」

──規律を守れなかった要因は?

「自分を律することは、試合のときだけ意識すればできることではないので。日ごろの練習からペナルティを選手同士で容認してしまうような雰囲気が払拭し切れていないので、それが原因かと思います」

──ラインアウトなどのセットプレーでプレッシャーを受けましたが?

「相手は背の高い選手がいる中で、自分たちのスキルがあれば取れたかと思いますが、コーラー(ラインアウトのサインを出す選手)に任せ過ぎてしまい、コミュニケーションが取り切れずにネガティブな選択をしてしまって、相手に競られてしまいました。ラインアウトは自分たちの細かいスキルにフォーカスして、自信をもってクオリティを上げていければと思います」

──大量失点が続く中で、雰囲気を変えるためにどうしていきたいですか?

「今週はミーティングを質量ともに増やして、やることがクリアになりました。前の試合も今日の試合も良い時間帯は増えてきているのですが、ラグビーは80分のスポーツなので、まだまだ足りていないです。毎日の練習を100%努力して、一歩でも二歩でも成長していくしかないと思います」

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