静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

ヤマハスタジアムに響かせろ!今季初勝利への合言葉は「ホワイト!」

今季はまだ勝利がない静岡ブルーレヴズが、3回目のホストゲームで迎えるのは、同勝点で順位が一つ上のNECグリーンロケッツ東葛。チームやレヴニスタの誰もが「今節こそ」と非常に気持ちが入る一戦だ。

その大事な試合に向けて、頼もしい男が帰ってきた。足の甲の負傷で1カ月離脱していた共同キャプテン、奥村翔だ。

年明けからはずっと外から試合を観て、非常に歯がゆい思いをしていた奥村は、「自分が出たら…とか、もっと練習でノンメンバーからできることはあったんじゃないかとか、いろんな思いがありました」と言う。その上で今節、勝つためのポイントについて、次のように語る。

「いま、苦しんでいるのはペナルティの多さですし、まずはそれを減らすこと。そこは一人ひとりの意識しかないです。例えば、ほんの一歩下がればいいとか、意識一つで改善できる簡単なペナルティは絶対やめようとチーム全体で確認しました」。

ここ4試合連続でシンビンが出るなど、ペナルティが勝ち切れない大きな原因となっているブルーレヴズ。もう一人のキャプテン、クワッガ・スミスや日本代表の日野剛志も「まずは(ペナルティを減らすために)規律のところ」と口をそろえる。

もちろん、激しい肉弾戦を繰り広げて疲れも出てきた中で冷静さを保つのは簡単ではない。だからこそ、奥村をはじめとする中心選手たちの声かけが重要になる。

「局面、局面でフィフティ・フィフティのプレーをするんじゃなくて、本当に白か黒か。その白のプレーをするために自分たちは『ホワイト』と声をかけています。この局面は絶対にペナルティしちゃダメというときには、みんなで『ホワイト!』と言っています」(奥村)

そうしてペナルティを減らすことさえできれば、勝利が見えてくるはずだ。「ここまで惜しい試合もありましたし、良いゲームができていると思います。チーム全員が自分の役割を全うして、それをやり続けていけば、必ず勝利につながるという自信はついています」と奥村は言葉に力を込める。

スタンドとピッチが近いヤマハスタジアムなら、選手たちが「ホワイト!」と叫ぶ声が聞こえてくるかもしれない。ここぞという場面でその声がより大きくなるような戦いができれば、静岡ブルーレヴズの今季初勝利も自ずと近づいてくるはずだ。

(前島芳雄)

静岡ブルーレヴズは奥村翔 共同キャプテンがけがから復帰。14番で先発予定だ

NECグリーンロケッツ東葛(D1 カンファレンスB)

勝利へのカギは試合の立ち上がり
児玉健太郎と前田土芽が起爆剤になる!

NECグリーンロケッツ東葛は1月29日にヤマハスタジアムで静岡ブルーレヴズと対戦する。4連敗中のNECグリーンロケッツ東葛に対し、静岡ブルーレヴズは未勝利が続く。双方にとって浮上を懸けた一戦だ。

4連敗のすべてに共通している点は、試合開始直後に先制トライを奪われ、そこで相手を勢いに乗せてしまっていることである。したがってNECグリーンロケッツ東葛が高い集中力を持って試合に入れるかは、大きく問われるポイントだ。

「スタートが大事ですね。4連敗中も、最初に取られてから取り返し、シーソーゲームで良い勝負になっているので、最初にトライを取られないで、僕らが先制パンチを繰り出すことが勝ちにつながってくると思います」(山極大貴)

前節、静岡ブルーレヴズは三菱重工相模原ダイナボアーズを相手に、前半はラインアウトやスクラムといったセットピースによってリードを奪った。ただ、フォワードのセットピースはNECグリーンロケッツ東葛の強みでもある。ラインアウトの要となる山極が「僕らの強みはアタックとセットプレーなので、フォワードから前にいけるかがカギ」と言うとおり、フォワード同士のせめぎ合いで優位性を保てるか。ゲームをコントロールする前田土芽もその重要性を挙げており「うちのフォワードはセットピースを強みにしているので、最大限の力を出してもらえるように、自分は10番としてみんなを前へ運ぶということを意識しながら戦いたいと思います」と戦い方をイメージしている。

今節はその前田が先発し、児玉健太郎がメンバーに入る。今シーズンはけがの影響で開幕から出遅れた二人だが、ラグビーに限らずスポーツの世界では、新たに起用された選手が劇的に流れを変えるケースがある。起爆剤としての期待を担う彼らが今節を前に強調したのは、あくまで自分らしさを発揮すること。

「次の試合は良いプレーをしたほうが勝つというよりは、ミスをしたほうが負けると思っています。俺が俺が…となるのではなくて、しっかりチームの一員として求められていることを堅実にやって、流れを変えたいと思います」(児玉)

「自分にとってはNECグリーンロケッツ東葛でのデビュー戦になりますけど、気負い過ぎず、いつもどおり自分らしくプレーできればいいと思っています。自分が10番として試合に出る意味というのは、チームにアタッキングマインドを持たせること。センターの経験もあるので、自分がランというオプションを持つことで相手の脅威になりますし、よりアタックが厚みを増すと思うので、他の10番との違いを見せられればと思います」(前田)

改善すべき課題ははっきりしている。自分たちは何が強みかも熟知している。そこに戦列復帰を果たす選手がチームにプラスアルファをもたらす。4連敗の流れを変えるまたとないチャンス。開幕戦以来5試合ぶりの勝利を目指して、NECグリーンロケッツ東葛は敵地へ乗り込む。

(鈴木潤)

この試合がNECグリーンロケッツ東葛でのデビュー戦となる前田土芽選手

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