NECグリーンロケッツ東葛(D1 カンファレンスB)

相手が王者だからこそ。自分たちのプレーを愚直に実行する

NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は2月5日、柏の葉公園総合競技場でNTT ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1の第7節を戦う。GR東葛にとっては第3節以来、約1カ月ぶりとなるホストゲーム。迎えるのは、昨季の王者にして開幕から6連勝中の埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)だ。

5連敗とGR東葛が苦しい状況に置かれているのは確かだが、チームの雰囲気自体は悪くはない。試合内容も昨シーズンと比較すれば改善されている部分が多く、前節の静岡ブルーレヴズ戦も拮抗した内容だった。しかし、あと一歩のところで得点が奪えず、逆に重要な局面でのミスやペナルティが響き、それが0対21というスコアに表れた。

今節は、田中史朗が古巣戦で今シーズン初めてメンバー入りを果たす。ここまでの6試合を外から見てきた田中は、チームの現状を説明する。

「チームとしては去年よりレベルアップしているんですけど、結果が出ないので自信がつかない。チーム的には状態は上がっていますし、気持ちの落ちている選手はいないので、結果を残してチームに自信をつけたいと思っています」

その自信をつける上では、埼玉WKほど絶好の相手はいない。もちろん難敵には違いないが、王者を相手に良い戦いができれば、若い選手の多いGR東葛は自信を深めることにもつながる。ただ、過度に相手を意識するあまり、自分たちのやるべきことを見失ってはいけない。

「ミスやペナルティが多いので、目の前の自分のプレーをして、それをなくすようにする。相手がどうとかを考えてしまうとビビってしまうおそれもあるので、自分たちにフォーカスしてプレーしたいと思います」(田中)

田中と同じく、今節が今シーズン初のメンバー入りとなる小幡将己は「準備してきたことを埼玉WKにぶつけるだけ」と意気込みを口にした。ここまで出番がなくても小幡が前向きに準備してきた理由、それは田中の存在が大きいという。

「メンバー外の練習では、いつもフミさん(田中)から声をかけてもらいました。『いつ試合に出るかわからないけど、いつでも出られるように準備をしていこう』と。フミさんのようにキャリアのある人が、試合に出ていなくても不貞腐れることなく、自分のやるべきことをしっかりやっているんですから、それは見本にするべきだと思って準備をしていました」

以前、ニック・フィップスは「逆転可能な点差のときに、焦って無理矢理パスをつなごうとしてミスを犯してしまう。やっていないことを無理にやろうとするのではなく、システムに則った攻め方をすることが大切」と話していた。これは田中の言ったミスを減らすためには「目の前の自分のプレーをして、自分たちにフォーカスする」という言葉と同じ意味だと受け取っていいだろう。

練習でやってきた以上のものは出せない。だからこそ、自分たちが準備してきたことを愚直に埼玉WKにぶつける。それが、GR東葛が自信を取り戻す最適解になりそうだ。

(鈴木潤)

今季初めてメンバー入りするNECグリーンロケッツ東葛の田中史朗選手


埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスA)

開幕6連勝にも王者に慢心なし。
現状を見つめ直したチームはさらに強くなる

埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)は2月5日の交流戦、ビジターゲームでNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)と対戦する。首位の埼玉WKは前節の課題を修正し、破竹の開幕7連勝を狙っていく。

埼玉WKはリーグ戦対GR東葛で15連勝中(不戦敗を除く)。2006年以降、敗れていない。昨季、第2節の対戦は埼玉WKの不戦敗となり、第15節では39対10で快勝した。現在開幕6連勝の埼玉WKと5連敗中のGR東葛の状況は違うが、埼玉WKのやるべきことは変わらない。ひたむきに陣地を進めていくだけだ。

前節、横浜キヤノンイーグルス戦では苦戦を強いられた。相手の圧力に押されてゲーム終盤に一時逆転を許したが、土壇場でヴァル アサエリ愛が同点トライを奪うと、松田力也がコンバージョンキックを決めて逆転に成功した。

今節のキーマンの一人は、日本代表のベン・ガンターだ。昨秋の日本代表遠征で負傷し、第4節で今季初出場・初先発を果たしたが、開始わずか3分で負傷交代。第5節は欠場となり、前節に戦線復帰。密集での圧倒的なパワーで攻守にエネルギーを注入した一方で、周囲のカバーリング、サポートにも尽力。質の高いプレーで勝利に貢献してみせた。

今節でも先発メンバーに名を連ねたベン・ガンターは「第4節では開始すぐにけがをしてしまって消化不良に終わってしまった。まずはゲームを通じてしっかりとプレーし、チームの役割を果たすことを心掛けていく」とゲームへ向かう。

リーグ6連勝中だが日本代表に慢心はない。「前節で苦しいゲームになったことは自分たちにとって現状を見つめ直す良い機会になった。難しいゲームを勝ち切ったことで自分たちはさらに強くなれる。自分たちがやるべきことを整理して次のゲームに向かっていく」(ベン・ガンター)。ベン・ガンター、ルード・デヤハーらの規格外のパワーが勝利を手繰り寄せていく。

今週も激しいスタメン争いが展開されて、先発メンバーが入れ替わった。今節は、クレイグ・ミラー、坂手淳史、藤井大喜のフロントロー。スクラムハーフに小山大輝、スタンドオフには松田力也。2戦連続フルバック起用の山沢拓也は控えに回り、野口竜司が起用される。

埼玉WKは、分厚い選手層をベースにトライを重ねていく。一つひとつのトライが、リーグ連覇へつながっていく。

(伊藤寿学)

負傷から復帰して2試合連続出場となる埼玉パナソニックワイルドナイツの日本代表フランカー、ベン・ガンター選手(中央)

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