2023.02.13NTTリーグワン2022-23 D3 第7節レポート(WG昭島 26-33 九州KV)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン3 第7節
2023年2月12日(日)13:00 荻野運動公園陸上競技場 (神奈川県)
クリタウォーターガッシュ昭島 26-33 九州電力キューデンヴォルテクス

5連勝達成の九州KV。勝つことで生まれる好循環

通算100トライも見えてきた、九州電力キューデンヴォルテクスの山田章仁選手

NTTジャパンラグビーリーグワン2022-23 ディビジョン3 第7節の舞台は、今季初開催となる神奈川県厚木市の荻野運動公園陸上競技場。拮抗していた試合の流れが変わったのは、前半23分だった。クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)プロップの栗山塁がラフプレーでレッドカードを出されて一発退場に。これで数的優位を得た九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)は終始リードを保ち、33対26でWG昭島を退け、5連勝を飾った。

九州KVの山田章仁は、「勝利が続くことによって、勝つことの大切さを実感できている。その大切なものを見失わないように、みんなが慎重、かつダイナミックにプレーできている」と、穏やかな表情で試合を振り返る。山田個人の成績に目を向ければ、リーグ戦通算100トライ(ジャパンラグビー トップリーグ時代含む)まであと4つ。節目の記録に手の届くところまで迫る中、「スタートでも、リザーブでも、どちらでもいい。チームにいい影響を与えたい」と、あくまでも自然体だ。

九州KVの次節の対戦相手は、今季唯一の黒星を喫しているNTTドコモレッドハリケーンズ大阪。5連勝の勢いに乗って、ディビジョン3の首位を守りとおせるか、注目の一戦が待っている。

一方、試合の大半の時間を数的不利な状況でプレーすることになったWG昭島だが、最後まで粘りを見せた。今季初スタメンで、この試合でトライもあげたフランカーの川瀬大輝は言う。「一人少ない状態なので、何がなんでも敵陣に入ってトライがほしかった。がむしゃらにプレーした結果のトライだと思います」。バックスからも反省の声が挙がる。「後半はフォワード任せにし過ぎてしまった。もっとバックスでも勢いをもってプレーできれば、最後、逆転につなげることもできたと思います」と、ウイングの濱副慧悟は話した。

たしかに、後半のスコアだけを見れば、26対19とリードした展開だった。それは、14人でも最後まであきらめずに戦った証だろう。今日の負けは、チームの成長につながる負けだった。そう言えるようにしたい。

(Rugby Cafe/匂坂俊之)

クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島のワイクリフ・パールー ヘッドコーチ(右)、石井洋介キャプテン

クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ

「今季一番タフなゲームだったと思います。この1週間は『しっかり準備していこう』と話をしていました。栗山塁が23分に退場でいなくなり、57分間を14人でファイトしてくれた選手たちを誇りに思っています」

──初スタメンのフランカー川瀬大輝の評価は?

「すごくよかったです。これまでの2試合は途中出場でしたが、いいパフォーマンスを見せてくれていました。スターターに値するプレーだったと思います。特にレッドカードが出てからは川瀬と石井(洋介)キャプテンががんばってくれました」

クリタウォーターガッシュ昭島
石井洋介キャプテン

「すごくタフな試合でした。(レッドカードが出たときは)『14人だからという言い訳をしないで、自分たちの力を出し切ろう』と話をしていました」

──レッドカードが出たときの心境を教えてください。

「覚悟を決めるしかないと思いました。レッドカードが出た直後には、『この状況は変えられない。自分たちの努力、ハードワーク次第だ』と、チーム全員に話し続けました」

──14人になってからはどういうプランでしたか?

「14人で勝ったらかっこいいよね、というような話をしてモチベーションを高くもってプレーしました。前半は風下だったので、アタックし続けようとしましたが、ブレイクダウンでやられる部分が多かったと思います。後半は風上だったのもありますが、敵陣で辛抱強く待つことができたら、自分たちにチャンスがくると信じてプレーしていました」

──ハーフタイムではどのような話をしていましたか?

「どうやって攻めて勝つのかをバックス中心に確認しました。フォワード陣では『前半は不安定な部分もあったスクラムを修正しよう』と話をしていました」

──昨季よりも勝利数が多いですが、昨季から変わったところを教えてください。

「大きく変わったのはマインドセットのところです。昨季でいえば、少し相手の流れになったらズルズルとやられてしまう場面が多かったですが、今季は自分たちの強みも理解していますし、自分たち自身を信じてプレーできています。我慢すれば必ず勝てると、チーム全員が分かっている。そういったところのマインドセットが変わりました。あと、自分たちはチャレンジャーで、常に攻め続けようと、そういうマインドでプレーできていることが、この結果につながっていると思います」

九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクスのゼイン・ヒルトン ヘッドコーチ(右)、高井迪郎キャプテン

九州電力キューデンヴォルテクス
ゼイン・ヒルトン ヘッドコーチ

「クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)のホームにくるといつもタフなゲームになります。WG昭島は14人でしたが、素晴らしいプレーをしていたと思います。後半は苦しかったですが、全体としてはいいパフォーマンスができたと思います。バックスもしっかり守ってくれました。ロックのレイ・タタフも2試合連続で80分出場と、素晴らしいパフォーマンスをしてくれました。シーズンはまだ続くので、(次の)NTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦に向けてしっかりとチャレンジしていきたいです」

──現在、ディビジョン3の首位です。その要因は?

「この3年間で積み上げてきたものが、試合でもプレーできているからだと思います。それにキーとなる選手も入ってきてくれています。社員選手が多いですが、どんどんステップアップし、改善して、それがいい流れとなっています。経験を積めているし、自信をもって今季の最後まで遂行していきたいです」

──次節に向けての意気込みをお願いします。

「練習の強度をしっかりと上げていきたいです。イチから積み上げることにフォカースして、次の2週間は練習していきたいです」

九州電力キューデンヴォルテクス
高井迪郎キャプテン

「WG昭島と、この会場を準備してくれた皆さま、ありがとうございました。九州唯一のリーグワンのチームとして、こうやって関東でゲームができるのは率直にうれしいです。九州には九州電力キューデンヴォルテクスがあることを証明できるチャンスだ、というマインドで試合に臨みました。難しいゲーム展開になりましたが、プレッシャーを掛け続ける中で、自分たちで(チャンスを)手放してしまったところもありました。そこにつけ込んでくるWG昭島は強かったと感じています。それでも、ビジターゲームでしっかり勝つことができたのは成果ですし、いい勉強ができました。今日の勉強をしっかり生かして次につなげていきたいです」

──相手が14人になってからはどういうプランでしたか?

「ディビジョン3はTMO(テレビジョンマッチオフィシャル)もないですし、正直、何が起こったか分かっていない選手もいました。レッドカードが出た瞬間は『なぜ?』という選手もいました。僕が掛けた言葉としては、『相手は14人で戦っているのではない』ということ。『バックスリーでチャンスがあれば、プレッシャーを掛けていこう』と話もしました。ペナルティショットを狙うのではなく、敵陣でできるだけプレッシャーを掛けたい。みんなの考えは一つになってプレーできたと思います」

──次節に向けて。

「強度をもっと上げていかないといけないと思います。それに精度も上げていかないといけない。僕たちはホームワークと言っているのですが、(ゼイン・ヒルトン)ヘッドコーチに送ってもらう映像を仕事の合間に全員が見ています。そういったところでも、チームの文化ができているので、次節も良い結果がついてくると思います」

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