クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)

お天道様が見ているから。山本剣士はなにくそ魂で突っ走る

お天道様が見ている。クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)のプロップ、山本剣士の座右の銘である。

ラグビーと出会ったのは高校生のとき。進学した姫路工業高校は決してラグビーの強豪校とは言えず、山本を含め同期全員が未経験者。在籍時代には報徳学園高校に161対0で敗れたこともある。

しかし、そこでのラグビーは、ただひたすら楽しかった。肩のこらない集団で、のびのびと練習して、のびのびとプレーができた。そして、強豪校ではなかったからこそ、勝敗や戦術よりも大事なことも学べた。その教えはいまも、山本の胸に深く根付いている。

「顧問の先生が熱い人で、ボールを持ったら、迷わず、まっすぐ突っ走れと。それが楽しかったんです」

生きていく上で大切なことのほとんどは高校時代に学んだと、山本は当時を振り返る。ある先生は何事にも「なにくそ!」という気持ちで取り組むことの重要性を説き、ある先生は「お天道様が見ている」という言葉の意味を説いた。それらの一つひとつが、自我や価値観を形成する重要なパーツとなった。

進学した大阪体育大学でもラグビーを継続。「ボールを持ったら突っ走れ精神」で頭角を現し、2020年にS東京ベイに入団。それを見越して、大学4年次にはポジションをロックからプロップに転向。そこで待っていたのが、プロの厳しい洗礼だった。

入団前に千葉雄太、北川賢吾とウエイトトレーニングを行うも、あまりのハードさにシャワー室でリバース。入団後のスクラム練習では海士広大、北川に全く歯が立たず。「こんな状態では試合に出られない」。そう危機感を抱く山本に、チームメイトたちは手を差し伸べた。

「全体練習のあとにプロップで集まって練習をやっているんですが、そこで先輩たちみんながアドバイスをくれました。コーチの方々も、タイヤ押しとか1人用スクラムマシンでの練習とかに1対1で付き合ってくれて……」

また、10人いた同期のほとんどは、ジュニアジャパンやU20日本代表経験者。“無印”だったのは山本と金秀隆のみ。「なにくそ魂」が静かに燃えた。

「入団1年目は(金)秀隆と近くの温泉施設に行って、『俺たち2人、頑張ろう』、『試合に出られるようになろう』と、よく語り合っていました。そして秀隆は開幕から出場して、その年の新人賞。僕もシーズン途中から、試合に出られるようになりました」

前節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦。後半37分、スローインからこぼれたボールをキャッチした山本はそのままゴールラインまで迷わず、まっすぐ突っ走った。S東京ベイ入団後、初のトライ。直前には横を走る根塚洸雅にパスする素振り(パスダミー)を見せ、相手を翻ろうした。

「あのパスダミーは、S東京ベイに入って成長できた部分です。大学のときは、ただ全力で走るだけでした。でも、S東京ベイで練習を重ねて、周りをしっかりと見て状況判断ができるようになりました。大学時代の僕には、あのパスダミーはできませんでした」

山本は次節も控えメンバーに名を連ねる。お天道様は見ていた。

(藤本かずまさ)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのプロップ 山本剣士選手


東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)

“格”や“名前”じゃない。誰が来てもフィジカルバトルで勝つ

東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は2月25日12時から、江戸川区陸上競技場(東京都)でクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)と対戦する。リーグ戦で2連敗中の5位・BL東京は2位のS東京ベイに勝利することで勢いを取り戻したい。

BL東京の中心選手として存在感が増しているのが20歳のワーナー・ディアンズ。身長201cm、体重117kgと堂々たる体格を誇るディアンズは日本代表でも出場歴があり、9月開幕のラグビーワールドカップでの活躍も期待されている。

前節の横浜キヤノンイーグルス戦では前半に15対38と大きくリードされたが、ディアンズはラインアウトで相手ボールを奪うなど奮闘し、後半の追い上げにつなげた(最終スコアは48対59)。

「ロックというポジションはチームにとって大事だと思っています。アタックにしても、ディフェンスにしても、『自分の仕事を増やすより、自分がもっとうまくできるように』と思って頑張った感じです」

今節の相手であるS東京ベイはここまで7勝1分。破壊力のあるフォワードと、スピード豊かなバックスがグラウンドで暴れまわっている。南アフリカ代表のマルコム・マークスら世界的な名手を擁しているが、ディアンズは“格”や“名前”には左右されない。

「自分の仕事に集中しています。誰が来てもタックルできるように。誰がタックルに来ても前に出られるように。相手がトップレベルの選手でもインターナショナルな選手ではなくても自分がやることは変わらずに集中しています」

上位4チームが進出するプレーオフトーナメントに向けて、S東京ベイ戦は重要な一戦となる。ディアンズは「フィジカルバトルで勝つところを見てほしい。相手は大きいですけど、自分たちはフィジカルバトルでは負けないつもりです」と真っ向勝負を誓った。

フォワードにプライドを持つ両チームの戦いは激しいものになりそうだ。

(安実剛士)

東芝ブレイブルーパス東京のロック ワーナー・ディアンズ選手


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