NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(交流戦) 第9節
2023年2月25日(土)14:30 パロマ瑞穂ラグビー場 (愛知県)
トヨタヴェルブリッツ 7-39 横浜キヤノンイーグルス
「陽は必ず昇る」。それでも姫野和樹は前を向く
ホストゲーム3連戦の最終戦を戦ったトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)だったが、好調の横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)に敗れ、浮上のきっかけをつかむことができなかった。
パロマ瑞穂ラグビー場特有の強風が吹き荒れた中、前半は風上に立ったトヨタV。しかし、その風をうまく利用することができず得点を奪えない。前半31分には退場者が出てしまう苦しい展開となり、どんどん自陣に押し込まれてしまった。強烈な個の力をもつ横浜Eには14人で反攻することはできなかった。
横浜Eにはファフ・デクラークやジェシー・クリエルといった南アフリカ代表の二人に加え、ウェールズ代表のコリー・ヒル、2019年のラグビーワールドカップでも活躍した日本代表の田村優などが所属する。一方のトヨタVも、ファフ・デクラークらとともに南アフリカ代表でプレーするピーターステフ・デュトイ、ウィリー・ルルー、日本代表の姫野和樹ら、ビッグネームの選手が数多くピッチに立ち、スタジアムに駆け付けた、ファンを楽しませたが、トヨタVとしてはその期待に応えられなかった。
姫野は試合後、「小さなことの積み重ねでこうなっている。細かいところを突き詰めてやるしかない」とコメント。続けて、「チームとして同じ絵を描けていないといけない。いまの自分たちのラグビーを見ると、それができていない」と厳しく分析した。
チームとして目標をどこに設定し、それを達成するための細かい努力を積み重ねているか。「チームとしての力を発揮するというところが、まだ足りていない。僕たちがもっとタイトにコネクト(つながり)してラグビーができれば、絶対に優勝できるポテンシャルはある」とキャプテンらしく前を向く姫野。「明日から前に進むしかない。その中で答えを見つけていく。いまは混沌とした中にいるけど、必ず陽は昇るので、そう信じてやるしかない」(姫野)。彼からあふれ出す言葉の数々はとても力強く、決意に満ちていた。
(齋藤弦)
トヨタヴェルブリッツ
トヨタヴェルブリッツ
ベン・へリング ヘッドコーチ
「14人で(*)、横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)のような良い相手と戦うのは非常に厳しい試合だったと思います。その中でもわれわれとしてはハートを見せて、良い相手と戦い続けた試合の内容だと思っています。もちろん結果ということに関しては非常に残念でありますが、毎日、われわれ自身としてもチームをプッシュして、改善に向けて取り組んでいます。一人欠けた状態で戦う試合というのは、非常に厳しい試合内容でした」
*:前半31分、マイケル・アラダイス選手にレッドカード
──前半は積極的にペナルティゴールを狙ったが?
「ティアーン・ファルコン自身が彼の判断、風の状況も踏まえて蹴る判断をしたというふうに考えています。私としては、試合の序盤では彼らのそういった判断を信じたいなと思っています」
──退場者が出るまでの戦い方の評価は?
「ゲームをうまく序盤からコントロールできなかったというふうに考えています。特に、テリトリーを使ってのプレーというのが、追い風がありながらもできませんでした。その結果、自陣でプレーし過ぎたことで風を使えなくて、そこで横浜Eが良いパフォーマンスをしてきたというふうに考えています。なので、風がうまく使えなかったというのが今回のポイントです」
トヨタヴェルブリッツ
姫野和樹 共同キャプテン
「正直すごくがっかりしています。早いうちに一人失ってしまって、そこからゲームコントロールできず、自分たちで焦ってしまって、自分たち自身で首を絞めてしまったところが(敗因)。こういったところが今シーズンすごく多く見られて、そこは直さないといけないと思いますし、次の試合はもう一度自分たちを取り戻すチャンスだと捉えて、前に進むしかないと思います」
── 一人少ない中でどういった声掛けをした?
「僕からは1点だけ、『スコアは関係なしに、次の仕事やいまにフォーカスしよう』と常々言ってはいましたが、やっぱり自分たちの中で焦りがあったし、キックすべきところでしなかったり、クイックばかりしたりしていて、結局、自分たちで首を絞めてしまったので、キャプテンとしてもっと落ち着かせてあげたかったと思います」
横浜キヤノンイーグルス
横浜キヤノンイーグルス
沢木敬介監督
「前回の東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)とのゲームから、成長した姿をファンの人にちょっとは見せられたと思いますけども、まだまだ改善できるポイントはあると思います。選手たちもどん欲にレベルアップしたいという話をロッカールームでしていたので、まだまだチームの成長はできるのではないかなと思っています。本当にいいプレーもたくさんありましたし、自信を持っていい局面も多く作れていました。ただ、気を緩めることなく、さらなる成長につなげていきたいと思います。ありがとうございました」
──具体的にどの部分で成長できたと思うか?
「ゲームコントロールしている時間帯が、前回は後半の20分をBL東京さん(のペース)に全部持っていかれていたんですが、そこを何回かは自分たちで引き戻すことができたと思います。ただ、強いチーム、トップ4のチームとやるときは、チャンスのときにいかにフィニッシュまで持っていけるかというところがすごく大事になると思うので、本当にそういうところを突き詰めていかなければいけないと思います」
横浜キヤノンイーグルス
梶村祐介キャプテン
「今日の試合は、細かいところをチームとして突き詰めようというのをテーマに臨みました。結果的に(勝ち点)5ポイントを取ることができました。80分間常にオンの状態でいようというのは言い続けてきたので、そこの部分は前回の試合からよく改善されたなというふうには感じています。ただ、もっとうまく(試合を)進められる時間帯もありましたし、仕留められる時間、仕留められるプレーというのもあったので、そういったところを次の試合に向けて改善していきたいと思います」
──前半はかなり強い風下の条件だったが?
「キックをそこまで使えない状況だったので、できるだけ短いキックや短いパスでしっかりとテリトリーを取っていこうと話をしました。結果的にリードして折り返せたので、前半はいい時間の使い方ができたのではないかなというふうに思っています」