花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)

「絶対に勝たないといけない試合」
ウイング起用のフィフィタにかかる期待

NTTジャパンラグビー リーグワン 2022-23 ディビジョン1 第10節。交流戦では花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)を東大阪市花園ラグビー場で迎え撃つ。

昨年5月8日に行われたリーグワン 2022 ディビジョン2 順位決定戦で花園Lは相模原DBを下して優勝し、自動昇格。相模原DBは入替戦の末にディビジョン1に昇格したが、それ以来の顔合わせとなる。

ただ、すでに3勝を手にし、昇格組として奮闘する相模原DBが8位につけるのに対して、花園Lは9戦全敗で最下位。花園Lにとっては是が非でも意地を見せたい大一番となる。

前節はリコーブラックラムズ東京に対して前半は10対14と食らいついたが、後半に50失点を喫して、結果は大敗に終わった。

背水の陣で挑む相模原DB戦に向けて行われた3月3日の練習でも、課題となる後半の戦い方にチームは確認の時間を割いた。

ゲーム形式の練習でキャプテンの野中翔平は「いまからセカンドハーフに入る。俺たちの課題ね」と意思統一。チームを立て直したい気持ちがその姿勢に現れた。

もっとも気持ちだけで勝てないことは初勝利に飢える水間良武ヘッドコーチも自覚済み。相模原DB戦に向けて、今季7試合に出場し、いまだノートライのシオサイア・フィフィタをこれまでのセンターではなく、ウイングで初めて起用する。

「僕個人のトライが欲しいとは思っていません。ただ、花園Lでは初めてウイングでプレーするので絶対に勝つという気持ちが強いです」

日本代表で慣れ親しんだポジションにこう意気込みを語るシオサイア・フィフィタだが、その効果は『ダイナミックなランだけにとどまらない』と野中はチームメイトだからこそ分かる効果を語った。

「派手なビッグキャリーが注目されがちですけど、ウイングのときの彼の強みはコミュニケーション能力。外国人に対しては英語で、日本人には日本語で組織を統一してくれています。攻撃と守備をオーガナイズする姿に注目してもらいたいですね」(野中)

今季一勝目が欲しい花園Lと4連敗でピリオドを打ちたい相模原DB。昇格組の激突にシオサイア・フィフィタはキッパリと言った。「絶対に勝たないといけない試合です。今週やってきたことを出し切るだけですね」。

そのパフォーマンスがチームの浮沈を左右しそうだ。

(下薗昌記)

日本代表で慣れ親しんだウイングのポジションで登場する、花園近鉄ライナーズのシオサイア・フィフィタ選手


三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

大事なのは「引きずらないこと」
相模原DBは目の前の試合に全力を尽くす

“いつもどおりの日曜日” 。三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)は昨季、NTTジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン2でしのぎを削った花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)と上位カテゴリーで相まみえる。

「今後も試合は続くので、一番大事なのは引きずらないこと」

相模原DBの岩村昂太キャプテンは前節の試合後、そう語った。勝利におごらず、敗北を引きずらず。直近の試合に全力を尽くし、そこから何かを学ぶ。今季のチームの基本姿勢が垣間見える。

とはいえ4連敗。そろそろ勝利がほしい。「苦渋を味わいました」(岩村)という花園Lとの昨季の最終戦の借りを返し、本拠地での“神奈川ダービー”をいい形で迎えたい。

ベテランの安江祥光は「たった一つのいいプレーで試合の流れを変えることができる」と言う。シーズン序盤、鋭いタックルと要所でのジャッカルでチームに勢いをもたらした坂本侑翼は、現状に対して「前半戦とは違って相手も研究してきます。ちょっとした“スキ”も連敗につながっています。チームとして、個人として、対応していきたい」と実直に向き合っている。

対戦チームの強力なアタックにも試合を重ねるごとに、坂本は「だんだん慣れてきました」と成長を口にする。休日はカフェに行ったりして、ラグビーから完全に離れることでリフレッシュする。あまり考えすぎず、コンディションを整え、全力を出して成長するだけです」と前を向く。

1試合は80分、レギュラーシーズンは16試合。つまり、勝負の時間は24時間に満たない。この濃密なときを味わうために、“特別な何か”は不要だ。

(宮本隆介)

三菱重工相模原ダイナボアーズの坂本侑翼選手。「あまり考えすぎず、コンディションを整え、全力を出して成長するだけです」


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