清水建設江東ブルーシャークス(D2)

初勝利につながった“選手ミーティング”。次は開幕戦のリベンジを

3月19日、釜石鵜住居復興スタジアムで釜石シーウェイブスRFCに勝利したあとの清水建設江東ブルーシャークス

前節、公式戦で初勝利(不戦勝の2試合を除く)を収めた清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)。欲しかった勝利をようやくつかむことができ、チームは大きな喜びに包まれた。ビジターゲームで釜石シーウェイブスRFC(以下、釜石SW)との一戦だったが、現地まで足を運んだファン・サポーターも多く、選手たちを後押しした。

その勢いのまま白星を飾りたい今週末の一戦。相手は開幕戦で敗れた豊田自動織機シャトルズ愛知となる。

先週は、チームとして規律の部分での課題と向き合っていた。大隈隆明監督は、「ファイトする気持ちはそのままに、“冷静になること”も場面によっては必要になる」と選手たちに伝えたという。選手たちはそれを試合でしっかりと体現していた。80分間集中力を切らさず、ハンドリングエラーは試合をとおして2つ、ペナルティは前半に6つ、後半にはたった1つと数値としても劇的な変化をみせた。

また、厳しいチーム状況を立て直すために選手たちが自発的に行動していた。その一つとして、チームの全体ミーティングのあとに、各リーダーが監督に相談に来て、“選手たちだけで話がしたい”と申し出たそうだ。監督やスタッフ陣が部屋を出たあと、選手たちだけで話し込み、その部屋からグラウンドに出てきたときには様変わりしていた。選手全員が声を出し始めたことで、雰囲気がガラリと変わり、さらには一人ひとりの集中力が増し、練習中のミスが格段に減っていた。このような意識変革が実を結び、釜石SW戦で今季初勝利をつかんだ。

その試合でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに表彰され、チームを勝利に導いた選手が、ここまでの試合でも主力としてチームを支えてきたオルビン・レジャーだ。風が強く吹いていた釜石の地でプレースキックを確実に決めた。その活躍の裏には毎練習後にキックの自主練習を欠かさずに行っており、チームの中でも“努力家”として知られている。さらにはトライも決め、チームの勝利に大きく貢献した。

また、デビュー戦で初トライを決めたウサ・バレイラウトカも「みんなから愛される良いムードメーカーで、チームの雰囲気を変えてくれた」と大隈監督は話す。メンバー発表時にウサ・バレイラウトカの名前が入った時点で、チーム全体が盛り上がったそうだ。その様子からもチームメートから愛される人柄が垣間見える。

今季ここまで戦い、チームの雰囲気をはじめ、規律、セットピース、アタック、ディフェンスなどさまざまな面で確実にレベルアップしている江東BS。その変化は選手たちの努力があってこそであり、前節の試合後に大隈監督は「ありがとう」と伝えたという。今週末は、青く染まる江東区夢の島競技場でファン・サポーターに“勝利”と“笑顔”を届けるべく、S愛知に挑む。

(山村燿)

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

脇役がいてこそ主役が輝く。S愛知を裏で支えるスタッフたち

選手を支えるスタッフ。しかしスタッフもまた選手に支えられている部分もある

今節で総当たりのリーグ戦が終了となるNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン2。3位が確定している豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)は、同じく4位が決まっている清水建設江東ブルーシャークスと対戦する。順位決定戦、入替戦に向けて勢いをつけたい一戦だ。

ディビジョン1昇格に向け、一日一日を大切に過ごす選手たち。緊張感漂う今週の練習では、気迫あるプレーがあふれていた。そして、そんな選手を支えるスタッフもまた、全力で選手たちのサポートに回っている。

S愛知のアスレティックトレーナーである大山知純さんは、負傷者のリハビリを始め、選手の健康チェック、コーチ陣と練習メニューの調整などを行っている。大学生のときにラグビー部の学生トレーナーになったことをきっかけに、“将来的に絶対トレーナーとして仕事をしたい”という思いが芽生え、大学卒業後に専門学校へ進学。2019年にS愛知のスタッフになった。「ラグビーチームにどうしても入りたいという思いがあって、そこで声を掛けてもらったのがS愛知でした」(大山さん)。

主務兼通訳を務める吉岡大貴さんは、スケジュール管理や試合現場での手配などを行いながら、時折外国籍選手の通訳を務めている。「英語は中学生のときから得意で、大学も英語系の学校に通いました。英語を使って仕事をしたい思いがあって、縁があって2021年にS愛知に入りました」(吉岡さん)。

役職は違うが、チームに多大な貢献をしているのは同じ。そんな二人に仕事のやりがいについて聞くと、まったく同じ答えが返ってきた。「選手が試合をしているとき」。「体をあれだけ張って頑張っている選手を見たら、“私ももっと頑張らないと”という気持ちになります」(大山さん)。吉岡さんもまた、「極論を言えば、選手がいるからスタッフの存在意義があると思っています。ですがそれを抜きにしても、ピッチで選手が戦っている姿を見ていると心に来るものがあります」と語った。

あくまで主役は選手。しかし、脇役がいるからこその主役でもある。S愛知には、選手を輝かせるために努力している素晴らしいスタッフがいることも是非覚えていてほしい。

(齋藤弦)

ニュースの一覧へ