トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスA)

年に一度の岐阜開催。ウィリー・ルルーが岐阜を特別な場所と語る理由

岐阜でのゲームについて「あのときのみなさんとまたお会いできることを楽しみにしています」と語る、トヨタヴェルブリッツのウィリー・ルルー選手

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1第14節、トヨタヴェルブリッツ対三菱重工相模原ダイナボアーズの一戦が行われるのは、岐阜メモリアルセンター長良川競技場。岐阜県内でリーグワンの試合を見ることができる年に一度の機会だ。

この地で行われるゲームを楽しみにしている選手がいる。ウィリー・ルルーだ。アイデアあふれるキックパスで味方のみならず、相手のサポーターも魅了するファンタジスタは、本職はフルバックながら、今季途中でスタンドオフにポジションを変えるとチームに躍動感が戻った。

なぜウィリー・ルルーが岐阜での試合を楽しみにしているのか。それは彼にとって過去最大のハッピーな出来事に起因している。

2019年に日本で行われたラグビーワールドカップ。南アフリカ代表“スプリングボクス”は、本大会に向けた事前合宿を岐阜県関市にある中池公園で行った。もちろんウィリー・ルルーもスプリングボクスのメンバーとして、関市で練習を重ねた。

「関市でのキャンプはとても素晴らしい時間でした。学校に行って子どもたちと交流もしましたし、関市のみなさんは『一番好きなチームは日本だけど、二番目はスプリングボクス』と言ってもらえるくらい絆を深めることができました」

厳しい練習の合間に、純粋に応援してくれる子どもたちや、関市で作られている日本刀など、日本文化に触れてリフレッシュできたという世界最高峰のフルバックは、その後世界一のトロフィーを掲げることになる。1995年に南アフリカ代表がラグビーワールドカップ制覇を成し遂げたことをきっかけにラグビーを始めた彼にとって、最高の瞬間になった。

「すべての合宿地が僕たちにとって特別な場所で、その人たちがいたから僕たちはワールドカップで優勝することができたと思っています。あのときのみなさんとまたお会いできることを楽しみにしていますし、今季はアップダウンが激しいシーズンでしたが、最後のホストゲームなので力強く締めくくりたいですね。応援してくれるすべての人たちのためにすべてを出し切って戦いたいと思います」

最後に、ウィリー・ルルーに事前合宿での思い出の食べ物を聞いた。

「難しい質問だね。そうそう、コンビニにあったピーチウォーター。あの時はとても暑かったから練習の後によく飲んだよ。すっごくおいしかった(笑)」

現在、関市の中池公園には南アフリカ代表のワールドカップ優勝を記念したレリーフが設置され、もちろんウィリー・ルルーの名前もしっかりと刻まれている。

(斎藤孝一)

三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

「一つひとつ大切に戦うことが必要」。
チームをけん引するのは百戦錬磨のロック

2020年に念願の日本国籍を取得。今季は「自身にとって節目のシーズン」という三菱重工相模原ダイナボアーズのリンディ 真ダニエル選手

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1第14節、三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)は、岐阜メモリアルセンター長良川競技場でトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)戦に臨む。

前回の対戦は接点の攻防で優位に立った相模原DBが接戦を制した。トヨタVはホストゲームでのリベンジに闘志を燃やしてくるだろう。

チームは3連敗中。前節は前半29分のレッドカードによって長い時間を14人で戦う後味の悪い黒星になったが、バイウィークの休息を経て、迎えた試合2日前のチーム練習では、春風吹く相模原のグラウンドに活気のある言葉が飛び交った。

「残り3試合はセットプレーがカギになると思います。そこで勝たないと自分たちのやりたいプレーができません」。相模原DBで4番を担うリンディ 真ダニエルはこう話す。

リンディは今シーズンここまで11試合に出場。スクラムやラインアウト、接点でハードワークする加入10シーズン目の35歳だ。リフレッシュ方法は、チームメートと行くスーパー銭湯の露天風呂と、家族と一緒にやるピラティス。「25歳のころとくらべて、練習以外の時間を体のリカバリーに充てるようになりました」と笑顔で話す。

2020年には念願の日本国籍を取得。「多くの人に支えられて、いまがあります」と感謝の言葉を口にしつつ、その恩返しとして相模原DB初のディビジョン1残留を果たし「新しい歴史を作る」ため、“オールアウト(出し尽くす)”を誓った。

「経験を積んで試合の流れを予測できるようになりました。試合の中でのポジション取りで若い選手をサポートすることも自分の役割です」

経験豊富なベテランは、これからの試合について「順位や入替戦を気にせず、まずは自分の役割を果たすことに集中して、一つひとつ大切に戦うことが必要です」と展望する。

「自身にとって節目のシーズン」と話すリンディ。チームの歴史を知り、志を持つ百戦錬磨のロックが“全緑(全力)”でチームをけん引する。

(宮本隆介)

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