2023.12.22NTTリーグワン2023-24 第3節 トヨタV vs 相模原DB-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第3節 カンファレンスB
2023年12月23日(土)14:30 パロマ瑞穂ラグビー場 (愛知県)
トヨタヴェルブリッツ vs 三菱重工相模原ダイナボアーズ

トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)

まるでシンデレラ。“CROWN”を背負う10番ボーデン・バレットを見られるのは今季のみ

トヨタヴェルブリッツのジャージーの背中には、背番号上に車の名前が入っている。それはポジションごとに違っていて、ボーデン・バレット選手の場合はクラウン。スタジアムでチェックしてみよう!

前節は猛追及ばず悔しい敗戦。勝ち点「1」は奪ったものの「4」に変換できる可能性は大いにあった。もちろん細かな修正点はあるが、内容的には手ごたえも感じている中で、いかに勝ち切るかが今節の課題になるだろう。

トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)が得た新戦力の目玉ボーデン・バレットは、「次はホストとして多くのファンの前で試合ができますし、そうしたファンの方々が確信を持てるパフォーマンスを発揮するチャンス。クリスマス休みに入る前の勝利は非常に重要ですからね」と、にこやかに三菱重工相模原ダイナボアーズ戦に向けた意気込みを述べた。

ニュージーランド代表“オールブラックス”のフルバックとしてラグビーワールドカップ2023フランス大会に出場したボーデン・バレット。大激戦となった決勝では両チーム合わせて唯一のトライを奪った。トヨタVに合流してまだ1カ月弱だが、ここでは「10」番と“CROWN”を背負ってまさにワールドクラスのプレーを見せている。

例えば開幕戦の前半、自陣のタッチライン際に蹴り込まれて弾んだボールに対し、走り込んだボーデン・バレットは体勢を崩しながらも片手でしっかりとキャッチ。すぐさまキックでピンチをしのいだ。ノックオンをしてしまいがちな場面でも、高い技術で落とさない。そんな何げないプレーの中でもすごさを感じさせた。

「日本のラグビーはとてもスピーディーです。その中で自分を表現するという意味でも(リーグワンでの試合は)燃え上がるものがあります。基本的なプレーを大事にしながら自分のパフォーマンスを発揮するというバランスが重要だと思います」

世界の超一流プレーヤーでも日本ラグビーをリスペクトし、挑戦の気持ちを忘れない姿勢には本当に頭が下がる。そして練習でもいつも最後までボールを蹴っているボーデン・バレット。“オールブラックス”のために来季からはニュージーランドでプレーしなければならず、この世界トップのプレーを間近に見られるのは今季限りである。

まるで12時に魔法が解けるシンデレラのようだが、それまでに選手もファンもどれだけこの超一流から学べるのか。何げないプレーもしっかりとこの目に焼き付けておきたい。

(斎藤孝一)

三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスB)

2連勝スタートの相模原DB、スター軍団に挑む

三菱重工相模原ダイナボアーズの坂本侑翼(ゆうすけ)選手。今年の8月には世界のトッププレーヤーが招集される英国の名門バーバリアンズにカーティス・ロナ選手とともに選出された

開幕2連勝の三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)はトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)とビジターゲームで対する。

相模原DBは接戦を制して今季も好スタートを切ったものの、代償を払った。初戦先発メンバーの細田隼都、韓尊文、小泉怜史が負傷し、第2戦では最後のタックルでトニシオ・バイフも戦列を離れることになった。

今節は開幕2戦で後半からチームに貢献した吉田杏、マット・ヴァエガが初先発。東芝ブレイブルーパス東京から新加入したジャック・ストラトン、昨季の主力メンバーであるヘンリー ブラッキンとアライアサ 空ローランドという3人の名手が初めて23人に入った。今季の相模原DBの選手層の厚さを感じるとともに、彼らのプレーを楽しみにするファンも多いだろう。

昨季の同カード第1戦は、D1初昇格の相模原DBがアップセットを演じた。今季、ボーデン・バレットやアーロン・スミスが加わり、姫野和樹も健在のトヨタVは、ホストゲームで同じ轍を踏むことを絶対に避けたいはずだ。

古巣に挑む吉田は「容赦なく自分のプレーを出し切るだけです」と言い切る。「相模原DBは、昨季よりもアタックが強化され、ディフェンスも良くなり、勝ち切れるチームになってきました。自分も80分間インパクトを与え続け、いいパフォーマンスを見せられれば勝てると思います」と頼もしい。5シーズンを過ごした愛知県での試合に「楽しみですが、自分の仕事でチームに貢献することだけを考えています。いいプレーを見せて、今まで応援してくださった愛知の方々や、来てくださるファンに恩返しをしたいです」と意欲を見せる。

同じくフランカーで先発する坂本侑翼は「昨季は試合終盤に疲れがたまっていると感じていました。今季は80分とおして走れる感覚があります」と自身の変化を口にする。今季も早い時期から練習を始動し、準備をしてきた相模原DB。「乳酸が溜まった状態での遂行力を高めてきた」(岩村昂太キャプテン)という今季の取り組みの成果が出ているようだ。

スター軍団を相手に接戦へ持ち込んで試合を進めることができれば、再び“その瞬間”が訪れることだろう。

(宮本隆介)

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