2023.04.15NTTリーグワン2022-23 D1 第15節レポート(BL東京 52-19 相模原DB)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(リーグ戦) 第15節 カンファレンスA
2023年4月14日(金)19:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東芝ブレイブルーパス東京 52-19 三菱重工相模原ダイナボアーズ

“ボールを持ったら何かをやる男”の躍動。BL東京、逆転のプレーオフ進出に一歩前進

東芝ブレイブルーパス東京の佐々木剛選手。「スピードは自分の強みなので、味方がしんどい場面でゲインをしてトライにつなげられたのは自信になりました」

東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は4月14日、秩父宮ラグビー場で三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)に52対19で快勝。ボーナスポイントを含む勝ち点5を獲得し、連勝を6に伸ばした。

2試合連続で印象に残るランを見せたのはBL東京のフランカー、佐々木剛。前節の静岡ブルーレヴズ戦では、後半5分に85m独走トライを決めて観客を沸かせた。そして、今節の相模原DB戦では後半28分に見せ場がやってきた。

自陣22mライン上で相手がキャッチミスしたボールを拾うと素早く反転。スピードあるランでトライラインにグングンと迫る。ゴール前で相手バックスをかわすと、最後は冷静にオフロードパスをジャック・ストラトンにとおしてトライを演出した。

佐々木がさわやかに笑う。

「この前も良い形で走り切れたので、今週もチャンスがあればと思って集中していました。スピードは自分の強みなので、味方がしんどい場面でゲインをしてトライにつなげられたのは自信になりました」

身長180cm体重101kgの25歳。「自由にやらせてもらっていた」という青森県立八戸西高校ではフォワードだけでなく、バックスでもプレーし、ステップは動画を見て学んだ。

大東文化大学を経て入団したBL東京では、日本代表キャップを持つリーチ マイケル、德永祥尭、山本浩輝や、ニュージーランド代表で活躍したマット・トッドらとフォワード第3列のポジションを争ってきた。

「見て学ぶ部分もそうですし、声を掛けてくれるので成長につながっています。試合でもやりやすいですし、練習ではけっこう厳しめというか『ミスしてんじゃねえよ』みたいな(笑)。慢心しないように気づかせてもらっています」

トッド・ブラックアダー ヘッドコーチは佐々木について「シーズンの中で一番の試合と言っても良かったのではないでしょうか。ウイング的な位置でもスピードを見せてくれました」と称賛。小川高廣 共同キャプテンは微笑みながら佐々木をこう評した。

「アイツはボールを持ったら何かやってくれるので。驚くことは何もなく『やっぱり行ったな』という感じでした」

次節の王者・埼玉パナソニックワイルドナイツ戦に向けて、佐々木は「自分たちがミスをしなければ勝てると思っているので。相手を考え過ぎず、自分たちのプレーをしたいです」と力強く言い切った。

逆転でのプレーオフ進出に向けて王者撃破は絶対条件。試合の流れを変える『何かをやる男』が大一番で何を起こすのか。BL東京ファンの期待が高まっている。

(安実剛士)

東芝ブレイブルーパス東京

東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(右)、小川高廣 共同キャプテン

東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ

「選手たちのパフォーマンスについてはすごくハッピーです。セットプレー、特にスクラムが良かったですし、ラインアウトもなんとかできました。良いトライを決めて、求めていたボーナスポイントを取ることができました。選手たちがプレッシャーをはね返した部分を気に入っています。

規律を守り切れなかったのが苦戦した原因です。チャンスが生まれたときに生かすことができたことには良い感触を得ています」

──ディフェンスはもっと向上する余地があるでしょうか?

「ミスタックルもありましたし、ディフェンスはうまくいかない部分もありました。来週は確実に良くしないといけません」

──序盤はボーナスポイントを取ることよりも勝つことを重視したのでしょうか?

「選手みんながまずは試合に勝つこと、そして相手に対してプレッシャーを積み上げていく認識がありました。難しさとしては、目の前のプレーにハードワークするよりも、5ポイントを意識し過ぎてしまうとうまくいきません。まずは勝利に近づけて、プレッシャーを積み上げていくことを頭に入れていました。

選手は気持ちをうまくコントロールしてくれて、自分たちに有利なように勢いが戻ってきました。私の血圧には良くなかったですけど(笑)」

──ビッグゲインがあった佐々木剛選手については?

「佐々木選手にとってシーズンの中で一番の試合と言っても良かったのではないでしょうか。ウイング的な位置でもスピードを見せてくれました」

──来週の埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)戦については?

「自分たちのラグビーをしたいと思います。埼玉WKは強いチームで、それだけの理由を持ったチームです。ただ、恐れることなく、このチャレンジを楽しみにしたいと思います。自分たちのレベルをさらに上げなくてはいけません。第1節の埼玉WK戦(19対22で敗戦)では良いパフォーマンスをしているので、次の金曜日も変わることなく臨みたいと思います」

──埼玉WKのロビー・ディーンズ監督に伝えたいことは?(ニュージーランドのクルセイダーズ時代にトッド・ブラックアダー氏がキャプテンでロビー・ディーンズ氏が監督の間柄)

「ありません(笑)。彼とまた話をすることを楽しみにしています」

──今日もそうでしたが、リーチ マイケルがゲームキャプテンを務めることがあります。どのような狙いがあるのでしょうか?

「リーダーシップという責任を分かち合いたいと考えて始めたことです。レフリーとのコミュニケーションを重視した意図がありました。リーチは素晴らしいプレーをしてくれています。素晴らしい選手です」

東芝ブレイブルーパス東京
小川高廣 共同キャプテン

「勝ち点5を取れて良かったと思います。今週も練習中からブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)でしっかり自分たちの仕事をしようと話してきました。試合の入りでゲインされることもありましたが、ブレイクダウンでプレッシャーを掛けて相手の勢いを止めることができました。

アタックもミスはありましたが、ボールキャリアーが仕事をして、2人目、3人目が続いて仕事をしたことでテンポが生まれたと思います。

来週は埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)さんに対して、ブレイクダウンを完璧にしていかないといけません。もっとクオリティーを上げて準備したいと思います」

──来週の埼玉WK戦については?

「自分たちのラグビーをしっかりして勝ちたいと思います。今までと変わらず、自分たちのやるべきことをしっかりやっていきたいと思います」

──後半に突き放せなかった時間帯については?

「引き離したい思いでやっていたのですが……、確か自分のパスミスからですよね。(「確実に彼からでした(笑)」とトッド・ブラックアダー ヘッドコーチが話す)。『やばい』と思ったのですが、みんなの顔を見たら慌てていなかったですし、次の仕事をしようという感じだったので、焦っていたのは自分だけでした(笑)」

──ビッグゲインがあった佐々木剛選手については?

「アイツはボールを持ったら何かやってくれるので。驚くことは何もなく『やっぱり行ったな』という感じでした」

──レフリーとのコミュニケーションの難しさは?

「昨季もペナルティで苦しんだことがあったのですが、自分もどのようにコミュニケーションを取れば良いかわからなくて……。強く言ったほうが良いのか、歩み寄るのか、と悩んでいました。そこでトディ(トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ)から話をもらって、情けないとは思ったのですが、(リーチ)マイケルにゲームキャプテンをやってもらったら自分の負担がなくなってきたので結果的に良かったと思います。

(レフリーとのコミュニケーションは)マイケルもそんなにうまい人ではないと思うんですけど(笑)。彼は普通に疑問に思ったことを正直に聞きに行くのが良いと思います」

──自分たちのラグビーをするためのキーポイントは?

「絶対にブレイクダウンです。そこさえしっかりできれば、自分たちの大きく展開するラグビーも機能してきますし、敵陣に入ってラインアウトからのアタックでトライを取る力もあるので」

三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(右)、岩村昂太キャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ

「東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)に『おめでとうございます』と言いたいです。とても強かったですし、素晴らしいパフォーマンスでした。自分たちも後半に良い場面がありましたけど、やはりBL東京が強かったです」

──両チームに言えるかもしれませんが、ディフェンスに課題があったでしょうか?

「両チームともにいろいろなアタックを表現しようとしていて、工夫したプレーがあって守るには難しかったと思います。ディフェンスラインをセットできたときはしっかり守れたのですが、方向を変えて攻められた際に守る側がプレッシャーを感じていて、そこは課題かと思います」

──地元で戦う最終節に向けての気持ちは?

「来週はホームでプレーできることを楽しみにしています。自分たちのファンの前で良いパフォーマンスを出したいと思います。今日はキャプテンが言ったようにペナルティがすごく多くて、前半にこちらは13個で(BL東京は)1個ぐらいで見たことがないような数字だったので、やりたいことがあまりできませんでした。

ただ、チャンスはモノにできたので、自分たちも学んで、コントロールできるところをコントロールして来週は改善したいと思います」

──リーグワンデビューとなった新人の小泉怜史選手の評価は?

「素晴らしいパフォーマンスだったと思います。試合の前に、彼の両親をこっそり呼んでジャージープレゼンテーションをしてもらいました。チームメートもサポートして、フィールドで素晴らしい選手であることを見せることができたと思います。今後もチャンスがあると思うので期待しています」

──欠場したジェームス・シルコック選手の状況は?

「小さなけががありますが、(来週の試合には)たぶん戻れると思います。今日もウォーターボーイをやってくれていたので、これから戻ってくるために彼もがんばってくれると思います」

三菱重工相模原ダイナボアーズ
岩村昂太キャプテン

「試合の中で(三菱重工相模原)ダイナボアーズらしいプレーが出たところもあったのですが、アンラッキーなトライをされたりして流れをつかみ取れなかったのが敗因だと思います。ペナルティの量がすごく多かったのもチームとして反省しています。良い面もあったので、そこはポジティブに捉えて次に向かっていきたいと思います」

──ポジティブだったのはどのような部分ですか?

「前半は多くのペナルティがあって自陣にくぎ付けではあったのですが、敵陣に入ったときにスコアできたのは僕らにとってすごくポジティブでした。後半も粘り強く敵陣でプレーすることでモールから2トライを取ることもできました」

──アンラッキーなところという話がありましたが、インターセプトされた際のアタックのイメージなどはどのようなものでしたか?

「ブレイクダウンでプレッシャーを受けてしまって、僕らのテンポでプレーできなかったのが要因かと思います。プレッシャーを受けてアタックしていく中でアンラッキーなインターセプトもあったので、まずは球出しのところを改善していきたいと思います」

──地元で戦う最終節に向けての気持ちは?

「地元で最終戦を行えることをうれしく思いますし、シーズンを通してダイナメイト(ファンの愛称)とウリボアーズ(小学生以下のファンの愛称)のみなさんがどんなときでもわれわれの応援をしてくださったので、最終節も相模原という地でしっかり結果が残せるように引き続きハードワークしていきたいと思います」

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