2023.05.12プレーオフトーナメント準決勝 埼玉WK vs 横浜E-見どころ

埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1)

出るか、プレーオフバージョンの勝利の方程式。
連覇を懸けて、王者は情熱をたぎらせる

埼玉パナソニックワイルドナイツの坂手淳史キャプテン。「レギュラーシーズンとプレーオフの戦いは違う。セットピースや規律の部分が重要になる」

埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)は5月13日、NTTジャパンラグビー リーグワン 2022-23 プレーオフトーナメント準決勝で横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)と対戦する。リーグ1位通過の埼玉WKが決勝進出、そして、連覇を懸けて、同4位の横浜Eの挑戦を受ける。

埼玉WKの「青」と、横浜Eの「赤」の対決だ。埼玉WKは、横浜Eとのリーグ戦で13連勝中。横浜Eがプレーオフトーナメント初進出となるため、この舞台での対戦は初めてとなる。リーグ戦では相性の良さを示しているが、今季の対戦は21対19の僅差だった。

埼玉WKはリーグ第6節で世界屈指の司令塔ファフ・デクラークを擁する横浜Eと対戦。竹山晃暉の2トライなどで14対5とリードしたが、横浜Eの“ボールを地面に置いて味方につなぐ”という衝撃のトリックプレーからトライを喫すると、逆転を許して14対19の窮地に追い込まれた。しかし、ヴァル アサエリ愛のトライ、松田力也のコンバージョンキックによって劇的な勝利を収めている。

両軍の力は拮抗している。今季の埼玉WKの被トライ数はリーグ最少の33。一方の横浜Eのトライ数84は、クボタスピアーズ船橋・東京ベイと並んでリーグ最多タイ。埼玉WKの盾と、横浜Eの矛が秩父宮ラグビー場でぶつかり合う。

内田啓介と松田のハーフ団コンビは、横浜Eとの前回対戦と同じ。前回対戦では後半4分までに埼玉WKが14対5とリードしたが、そのイメージがあるのかもしれない。後半に、“ラスボス”堀江翔太を投入して強度を加える埼玉WKは、ゲーム展開によっては同じタイミングで山沢拓也を投入する可能性もある。プレーオフトーナメントバージョンの「勝利の方程式」が見られるか。

松田と山沢について、ロビー・ディーンズ監督は「二人とも、クリエイティブなプレーでゲームに違いを生み出せる選手。リーグ戦のように共演する可能性は十分にある。キッキングゲームを予想している中で状況に応じて考えていく」と語る。

そして、横浜Eのトリックプレーについて、沢木敬介監督の会見内容が伝わると、ロビー・ディーンズ監督は「ポーカーゲームのようになってきた」と笑みを見せた。心理戦はすでに始まっている。

ゲームは、キッキングゲームとなる可能性が高い中で、セットピースが重要な意味を持つ。坂手淳史キャプテンは「レギュラーシーズンとプレーオフの戦いは違う。セットピースや規律の部分が重要になる。この1週間、チームは情熱を持って準備してきた」と話せば、ロビー・ディーンズ監督は「プレーオフは特別な試合、このときのためにシーズンを通じて準備してきた。ここがクライマックスだ」と静かな闘志を燃やす。連覇を懸けた戦いが始まる。

(伊藤寿学)


横浜キヤノンイーグルス(D1)

“あと一歩”を逃した悔しさを晴らすとき。最高の下剋上へ、第一関門は打倒王者

5月13日のプレーオフトーナメント準決勝には6番で先発出場予定、横浜キヤノンイーグルスのコーバス・ファンダイク選手

横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)にとって、初挑戦となるNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23のプレーオフトーナメントがいよいよ幕を開ける。レギュラーシーズン4位の横浜Eがチャレンジする相手は、昨季のチャンピオンチームであり、レギュラーシーズン1位の埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)。試合日程は5月13日(土)14:35キックオフ。会場は日本ラグビー“東の聖地”秩父宮ラグビー場だ。

あの日の悔しさは、心に深く刻まれている。今季唯一の対戦となったディビジョン1第6節のビジターゲームは横浜Eが終了間際まで19対14とリードを奪いながらも、土壇場で前年王者の地力に屈し、悔しい逆転負けを喫した。

こうして王者の厚き壁にはね返された横浜Eだったが、転んでもタダでは起きなかった。「強いチームとのクロスゲームを演じられたことがわれわれの自信になった」とコーバス・ファンダイク。「土壇場で負けてしまった」(コーバス・ファンダイク)経験を糧とした横浜Eはその後、見事に立ち直り、チームにとって積年の悲願だったトップ4入りを実現させた。

ビッグステージで挑む昨季王者との“リベンジマッチ”。コーバス・ファンダイクは言った。

「埼玉WKはベースの部分がしっかりとしているし、エラーも少ないチームだが、しっかりとプレッシャーを掛けて、相手のエラーを生み出すようなプレーをできればと思っている。確かにトップ4はわれわれの目標だったが、そこがゴールではないし、まだまだわれわれの仕事は終わっていない。まずは準決勝を制し、次の決勝進出を勝ち取りたい」

4位という最後尾から狙う“下克上”。第一関門となる準決勝の舞台装置は「日本の伝統あるスタジアム」(コーバス・ファンダイク)の秩父宮ラグビー場だ。先発予定であるコーバス・ファンダイクは「自分にとってもステップアップになるビッグマッチ。とてもワクワクしている」と目を輝かせながら、強い決意を口にした。

(郡司聡)

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