横浜キヤノンイーグルス（D1）
最高の結果で今季を終えるために。
問われるWINNERS MINDSET.
「3位というチームにとってベストな結果で終わるために、自分の力を100%発揮したい」（ルテル・ラウララ選手）シーズンラストマッチにして“集大成”のビッグマッチ―。それが東京サントリーサンゴリアス（以下、東京SG）とのNTTジャパンラグビーリーグワン2022-23プレーオフトーナメント3位決定戦である。横浜キヤノンイーグルス（以下、横浜E）が挑む3位の座を懸けたビッグマッチは5月19日（金）19:00開始。会場は日本ラグビー“東の聖地”秩父宮ラグビー場だ。
やはり前年王者の壁は高く、そして分厚かった。埼玉パナソニックワイルドナイツに挑んだプレーオフトーナメント準決勝は、幸先良く前半20分までに2トライを奪ったものの、ジワリジワリとペナルティゴールでスコアを詰められると、後半の序盤に逆転を許し、そのまま追いつけずに王者に屈した。こうして横浜Eは初のファイナル進出を果たせなかったが、シーズンはまだ終わっていない。
東京SGとの3位決定戦に向けて、チームは士気高く練習に取り組み、決戦2日前の練習は熱気に満ちていた。全体練習後のハドルにて、沢木敬介監督はこう言って選手たちに呼び掛けた。
「あのプレッシャーの中で細かいディテールの部分を発揮するようにしよう」
ハドルが解けたあとの選手たちの表情は、勝利への意欲に満ちていた。
シーズン集大成の試合でチャンスをつかむ者もいる。例えば、先発予定のルテル・ラウララはその一人だ。「この機会をずっと待っていた」とルテル・ラウララ。「3位というチームにとってベストな結果で終わるために、自分の力を100%発揮したい」と言葉に力を込めた。
なお、シーズン最終戦ということは、このメンバーで試合ができるのも最後になる。ルテル・ラウララはチームの結束力について、「家族のような絆が生まれている」と話した。そしてルテル・ラウララは練習場であるキヤノンスポーツパークの一角に飾られている『WINNERS MINDSET』というフレーズを指差してこう言った。
「3位を勝ち取れると信じているし、男に二言はない。3位を勝ち取るためにチームのテーマである『WINNERS MINDSET』は、もうできていますから」
（郡司聡）
東京サントリーサンゴリアス（D1）
いまだかつてない挑戦。それでも、勝って今季を締めくくる
「僕らの根幹にあるのは『競争』」（流大選手）。「『競争』の部分では今季が一番激しい」（須藤元樹選手）優勝だけを目指しながら、ファイナルに届かなかった東京サントリーサンゴリアス。だが、戦いはまだ終わらない。勝っても負けても今季最終戦となるプレーオフトーナメント3位決定戦。相手は今季2戦2勝ながらどちらも辛勝だった難敵、横浜キヤノンイーグルスだ。
正直、懸念点は多い。優勝を逃したことによるモチベーションの維持。試合間隔は相手よりも1日短い中4日。堀越康介共同キャプテンも「こんなショートウィーク(試合間隔の短さ)は経験したことがない」と語る。今季最終戦は、いくつものハードルを乗り越えなければならない、難しい挑戦となった。
そんないまこそ、求められるのはチームとしての地力。試合メンバーも、ノンメンバーの選手も含め、リーグ屈指の競争力で高めてきたチームのポテンシャルが試されている。
生粋のリーダー、流大は言う。
「僕らの根幹にあるのは『競争』。練習では試合出場組がノンメンバーにやられることも多い。だからこそ、誰が出てもいいプレーができます。いま、出ていない若手でも、出番をもらえればいいプレーをするはず。プレーする機会を得るために、練習で切磋琢磨して競争するのがこのチームの文化です」
今季、アキレス腱の断裂から復活した元日本代表の須藤元樹も、けがから戻ってきたいまのチーム状態をこう語っていた。
「入団して7年目ですけど、『競争』の部分では今季が一番激しい。若手も育ってきて、固定されているメンバーもほぼいない。普段の練習からギアを上げる必要があります」
常々、「苦しいときにこそ泥臭さ、ハングリーさを見せてほしい」、と語ってきたのは田中澄憲監督。まさにいま、その苦境の中で迎えるシーズン最終戦と言える。
「格好悪くてもいいというか、こぼれ球を追いかけてのトライでもいいんです。そういうハングリーさでいえば、バックローの（山本）凱とか、泥臭いプレーができる選手がいまのチームは増えたと思いますよ」
田中監督からも名指しされた「ハングリーな若手」の代表格・山本凱は、3位決定戦へ向けての意気込みを語る。
「サンゴリアスは負けたまま終わっていいチームじゃない。しっかり勝ち切って、今季を締めくくりたいと思います」
（オグマナオト）
