NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2
第1節 (D2-M3)
12.10 Sun 13:00 釜石鵜住居復興スタジアム (岩手県)
日本製鉄釜石シーウェイブス vs 豊田自動織機シャトルズ愛知
日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)
身長201cmのハミッシュ・ダルゼルが釜石SWに新たな化学変化を生む
いよいよ新シーズンの戦いがスタート。日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)は12月10日、豊田自動織機シャトルズ愛知とのホストゲームを釜石鵜住居復興スタジアムで迎える。
今季、釜石SWはレギュラーシーズンのトップ3入りに挑む。そのためにチームで取り組んでいるのがスクラムなどのセットピースの強化。須田康夫ヘッドコーチは「選手の獲得もそこに照準を絞った」と明かすが、その補強の目玉の一人がロックのハミッシュ・ダルゼルだ。U20ニュージーランド代表に選出された経歴を持ち、ジャパンラグビー トップリーグの2019-2020シーズンはパナソニックワイルドナイツ(当時)に加入。その後はスーパーラグビー・アオテアロアのクルセイダーズでプレーした。釜石SWには10月に合流し、チームへのフィットが進んでいる。
合流前から開催されていたラグビーワールドカップ2023フランス大会は来日前、オークランドでテレビ観戦した。
「(母国の)ニュージーランド代表が決勝で負けてしまったのはとても残念。でも本当にエキサイティングだった。日本代表として、パナソニック時代のチームメート、ジャック・コーネルセン、ディラン・ライリー、クレイグ・ミラー、ベン・ガンターが出ている試合も見ました」
2019年のラグビーワールドカップは日本で迎え、イングランド代表とアルゼンチン代表の試合を生観戦。「実際に生で体感してあらためて思ったのは、ラグビーワールドカップの盛り上がりは特別なものだということ。あの舞台への憧れはもちろんあるけど、ニュージーランド代表は層が厚いからね。なかなかそこに入るのは難しいけれど、競争力があるというのはいいこと」と話してくれた。
開幕戦を間近に控え、コーチ陣、選手ともに、プレシーズンの内容に関しては上々の手ごたえを口にしている。ハミッシュ・ダルゼルも「合流して2カ月弱、その中でもスクラムなどセットピースは明らかによくなっている。プレシーズンマッチとはまた違った雰囲気や精神状態になると思うけど、チームも地元の方もラグビーで盛り上げたいというのは一緒。開幕戦ではいい試合を見せられると思います」と頼もしい言葉を聞かせてくれた。
大柄な選手が並ぶ中でも、一際大きな存在感を放つ身長201cmの大型ロック。そのパワーと経験値が釜石SWに新たな化学変化を生む。
(髙橋拓磨)
豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)
史上最年少出場記録更新なるか。18歳、高島來亜のデビュー戦を見逃すな
NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2開幕戦では唯一の日曜日開催となる一戦。豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)は、釜石鵜住居復興スタジアムに乗り込み、日本製鉄釜石シーウェイブスと相対する。
徳野洋一ヘッドコーチ体制5年目を迎えた今季、年々積み重ねてきたS愛知としてのラグビースタイルがいよいよ完成に近づいている。徳野ヘッドコーチは「今季はコーチ陣が選手に対してインプットする量をコントロールして、選手自身が考え、決断を下すという段階にきている」と話す。着実にチームとしての成熟度が増してきており、あとは選手が主体的に自分たちのラグビーを表現することができるかが今季のカギとなりそうだ。
これまでの成果を占う重要な開幕戦のメンバーリストに、弱冠18歳の高卒ルーキー・高島來亜(らいあ)が名を連ねた。リザーブからのスタートを予定しているが、出場すればジャパンラグビー トップリーグ時代を含めた史上最年少出場記録を更新する。東海大学付属大阪仰星高校を今春卒業したばかり。スクラムハーフながら184cmと、このポジションでは大柄で、物怖じしないメンタルと若さあふれるフィットネスが持ち味の選手だ。プレシーズンマッチから出場機会を得るとアピールを続け、開幕メンバーの座をつかみ取った。そんな首脳陣からの高い期待を「めちゃくちゃ感じる」と本人は話す。
また、記録がかかることに対して、「記録を狙ってやろうという意識はなかったが、1年目から試合に出ることを目標としていた」と高島。あくまで記録は自身が目指すものへの延長線上にある。取材時の堂々とした受け答えは、とても18歳とは思えない。目標とする選手に同じ愛知県をホストエリアとするトヨタヴェルブリッツのアーロン・スミスを挙げ、「パススキルや、スペースの見方は、ラグビーワールドカップを観ていて勉強になった」(高島)と語る。
今年のラグビーワールドカップ2023フランス大会で絶大な存在感を発揮した彼のように、4年後、8年後とこれからのジャパンを背負って立つかもしれない未完の大器。そんな高島のデビュー戦を見逃してはいけない。
(齋藤弦)