2023.12.14NTTリーグワン2023-24 第2節 RH大阪 vs 釜石SW-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2(リーグ戦) 第2節
2023年12月16日(土)14:30 ヨドコウ桜スタジアム (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

レッドハリケーンズ大阪(D2)

初のゲームキャプテンで感じた「より良くなること」の大切さ。チームも自分も常に過去を超えていく

今季からレッドハリケーンズ大阪のバイスキャプテン、射場大輔選手。開幕戦ではゲームキャプテンも務めた

昨季から生まれ変わった新生・レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)の第2章は昨季と同様、ラストワンプレーでの逆転勝利で幕を開けた。12月16日(土)には、ヨドコウ桜スタジアムで、今季最初のホストゲームに臨む。

開幕戦ではキャプテンの杉下暢がグラウンド上に不在だったため、今季バイスキャプテンに就いた射場大輔がゲームキャプテンを任された。学生時代にリーダー経験はあっても、RH大阪加入後ではこの開幕戦が初めてだった。

その前半には、一時はスコアボードが0対19になる苦しい状況に陥っている。選手やスタッフから「いつでも落ち着いている」と評されている射場は、3トライを奪われたあとのハドル(円陣)でも冷静に状況を見て、チームに話をしている。

「ボールを持つ時間が少なく、ボールを持つ機会があっても、ミスやペナルティでまたディフェンスに回る展開が続いていた。攻められていなかったので、『自分たちのボールになれば、しっかりキープしよう。まだ自分たちのアタックは何もできていない』と話した」

その後、前半のうちに5点を返し、ハーフタイム以降も「チーム全員でやってきたことを自分たちで信じて遂行するのみ」だと声を掛け、逆転勝利につなげた。初めてゲームキャプテンを務めた試合は、試練を乗り越えられた経験の一つとして、リーダーとしてさらに成長していく糧となるだろう。

マット・コベイン ヘッドコーチは、射場のゲームキャプテンも含めた日ごろからのリーダーシップについて、「良いと感じている。まだリーダーとして学んでいる最中で、私やボーク コリン雷神選手などが引き続きサポートしていく必要はあるが、練習や試合でもチームに良い言葉を掛けている」と語っている。

けれど、射場自身には、開幕戦を振り返って反省もある。「自分のことだけでなくチームのことも考えてプレーすると、自分のプレーがおろそかになるような難しさがあった。チームが勝ったのはうれしいけれど、タックルで2回ミスもあったし、個人としてはもっとちゃんとせなあかんなって」。

RH大阪は、毎日、毎週、より良くなっていくことを大切にしている。自身のプレーも、ゲームキャプテンとして臨む試合も「やってきたことを自分たちで信じ」(射場)、先週よりもさらに良いものをファンとホストエリア・大阪市の人たちに見せたい。

(前田カオリ)

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

がけっぷちを味わった男の決意。
目指すは「D2で一番の日本人フルバック」

期限ぎりぎりで日本製鉄釜石シーウェイブスへの加入が決まった吉川遼選手。DIVISION 2で一番のフルバックを目指す

日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)は12月16日(土)、レッドハリケーンズ大阪とのビジターゲームに臨む。

「オファーがなければラグビーはやめようと思っていました。感謝の思いが強くて、何かしら貢献したいという思いがトライという形になりました」

開幕戦のあと、そう話したのはフルバックの吉川遼だ。今年11月に合流したばかりだが、今季のチーム初トライを決めて存在感を示した。次戦へ向けては「自分が得意とするハイボールキャッチや、フルバックとして最後の1対1もしっかり体を張って止める姿を見てもらいたい。チームの勝利のための一つの歯車になりたい」と力強く話した。

27歳の吉川は以前、日野レッドドルフィンズでプレー。しかし、昨季はチームの不祥事で活動が停止し、不完全燃焼に終わった。今年4月からは大学時代を過ごしたニュージーランドで技術を磨きながら再び日本でプレーできる日を待っていた。9月に帰国するもチームは決まらず、ジャパンラグビー リーグワンの選手登録期限目安である10月31日までオファーがなければラグビーはもうやめようと思っていたという。その期限の2日前に声を掛けてくれたのが、釜石SWだった。「決まったときのうれしさは大きかった。恥じないプレーをしなければいけない」。がけっぷちを経験した吉川の言葉に力がこもる。

吉川のルーティンは1週間ごとに必ず3つの課題を自分に課し、それを解決するために計画立てて練習に取り組むこと。さらに、プライベートではいま、スペイン語の習得のため、一日一単語覚えるようにしているという。常に「学び続けること」を惜しまない。それも、かつての伊勢丹ラグビー部でプレーしていた元ラガーマンの父の存在が大きいのだという。「やると決めたことはしっかりやり抜く父の背中を見てきたので、自分にも自然としみついたと思います。座右の銘も父と同じ『継続は力なり』です」。

吉川が出場する試合は必ず駆けつけているという両親。釜石SWとの契約が決まったときに掛けられた言葉が吉川の心にさらに火をつけた。「『人生の楽しみの一つだからできるだけ長くやってほしい』と言われて、自分だけのラグビー人生ではないのだなと。やるからにはディビジョン2の日本人で一番のフルバックと言われるような選手になりたいと思います」。

ラグビーができるという感謝を胸にピッチに立ち続ける今季。釜石SWで新たに芽生えた思いも胸に今季初勝利を目指す。

(佐々木成美)

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