NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦) 第2節 カンファレンスA
2023年12月17日(日)14:30 味の素スタジアム (東京都)
東京サントリーサンゴリアス 19-26 東芝ブレイブルーパス東京
世界的名手が認めるリーグワンの可能性。
世界最高峰のファン、プレーがここにある
世界最高峰がいま、日本にある! そう言いたくなる盛り上がりを見せたのは、12月17日、味の素スタジアムで行われた伝統の「府中ダービー」、東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)と東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)の一戦だ。
この日の来場者数は31,953人。前日、日産スタジアムで行われた横浜キヤノンイーグルス対トヨタヴェルブリッツで記録したリーグワンでのリーグ戦1試合あたりの最多入場者数31,312人をたった1日で更新してしまった。ちょうど1年前、同じ味の素スタジアムで行われた2022-23シーズンの東京SGの開幕ゲームの集客は10,842人。1年で約3倍の集客を記録したことも、連日の3万人超えも、まさに驚くべきニュースと言える。
その驚きは、選手からも聞こえてきた。「リーグの盛り上がりにはビックリしています」と答えたのは、この舞台でBL東京のキャプテンを務めたリーチ マイケルだ。
「(世界最高峰の)スーパーラグビーでも5〜6,000人の試合はあります。世界からスーパースターが集まってきてファンもたくさん集まって、ますますいい試合ができる。リーグワンが世界一のリーグになると思います」
では、その「世界のスーパースター」はどう見たのか?
「まだ第2節なのに3万人は驚くべきこと」と語ってくれたのは、スーパーラグビーの王者クルセイダーズからBL東京に移籍したばかりの世界的スタンドオフ、ニュージーランド代表リッチー・モウンガだ。
この日の試合では、そのリッチー・モウンガがまさに世界最高峰のプレーを発揮。前半には芸術的なキックパスでジョネ・ナイカブラのトライをお膳立て。3点差に詰め寄られた後半17分にも、敵陣左サイドから右サイドへ、グラウンドを横断するキックパスでその後のトライにつなげるなど縦横無尽の活躍でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれている。
そんな世界最高峰のプレーとファンの盛り上がりは、若い世代へと伝播する。リッチー・モウンガが試合後、「今後、数年で日本代表のジャージーを着ると思います」と評した東京SGのスタンドオフ、高本幹也もその一人だ。
「(リッチー・)モウンガ選手は余裕が違うというか、一つひとつのプレーにプレッシャーを感じました。そういったプレーをこの府中ダービーで経験できたことはよかったです」
リッチー・モウンガの言葉を借りれば「まだ第2節なのに」この盛況ぶり。両チームキャプテンが試合後に「チームの伸びシロはまだある」と語ったように、両チームの成熟度もリーグワン全体の盛り上がりも、ここからさらに高まっていくはずだ。
(オグマナオト)
東京サントリーサンゴリアス
東京サントリーサンゴリアス
田中澄憲監督
「非常に悔しい敗戦となりました。フィジカルバトルになるという課題を分かった上で、その対策をして試合に臨みましたが、そのフィジカルの部分で後手に回って、最終的にはトライをたくさん取られました。東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)さんの強さが際立ったゲームだったと思います。
とはいえ、まだ今季は始まったばかり。この敗戦の悔しさや課題をしっかり受け止めて、また次にBL東京さんとやるチャンスがあるので、それまでに一戦一戦強くなっていきたいです」
──10番を務め、リッチー・モウンガ選手とのマッチアップとなった高本幹也選手の今日の評価はいかがでしょうか?
「周りの評価は別として、本人は納得がいっていないと思います。高みを目指している選手なので負けたら悔しいでしょう。これから伸びていくという意味では、世界最高の10番(リッチー・モウンガ)と戦えたこと、プレッシャーを受ける中で思うようにプレーできたこと、できなかったこともあったはず。そこから学びを得て、どんどん成長していくのかなと思います」
──サム・ケイン選手がゲームキャプテンを務めた理由を教えてください。
「今日のレフリー(ブレンドン・ピッカリル)がニュージーランド出身ということで、BL東京もリーチ マイケル キャプテンが英語でコミュニケーションができます。その中で、堀越(康介)が英語でコミュニケーションを取ることでのストレスを考慮し、プレーに集中してもらうためにも、サム・ケインにゲームキャプテンをやってもらいました」
東京サントリーサンゴリアス
堀越康介キャプテン
「今日はコリジョン(接点の衝突)バトルになると分かっていた上で、その部分で思った以上にプレッシャーを受けてミスを連発し、自分たちの思うようなラグビーができませんでした。そこが僕たちの敗因です。ここで得た学びを次の試合につなげていきたいです」
──接点の部分でうまくいかなかった要因は何でしょうか?
「ブレイクダウンでかなりプレッシャーを受けて、自分たちが練習してきたようなテンポをうまく出すことができませんでした。
ブレイクダウンに関してはかなり時間を掛けて練習してきましたが、そこに対してプレッシャーを受けたというのは、僕たちはまだ伸びシロがあるということ。もっと良くできるところはたくさんあると思います。劇的に良くなることはないと思うので、ビデオでも確認しながら1日1日、一戦一戦が勝負なので頑張っていきたいです」
東芝ブレイブルーパス東京
東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ
「素晴らしい試合でした。リーチ(マイケル)キャプテンをはじめ、チームメートを誇りに思います。『ここはこうやって動いていく』と細かく準備してきたことを試合でしっかりと発揮することができました。
一番誇りに思った点はフィールド上でチームメートがお互いのためにハードワークしていた姿です。ラインアウト、スクラム、セットピース、そしてブレイクダウン。そういったところでしっかりとやり切ることができました。
ただ、規律の部分、ペナルティを与え過ぎた点は自分たちで解決していかないといけない部分です。それ以外はすごくいい内容だったと思います」
──序盤から東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)のやりたいテンポで試合をさせなかった。試合の入り方からいい感触はありましたか?
「試合開始からうまくコントロールできたと思います。前節の静岡ブルーレヴズ戦からの学びでもありますが、最初から勢いをつかむ上では、コリジョンの部分はしっかりとやらないといけない。そこは意識していた部分です。前節から学び、成長できた部分の一つだと思います」
東芝ブレイブルーパス東京
リーチ マイケル キャプテン
「今日はありがとうございます。3万人のファンの前でプレーができたことをすごくうれしく思います。両チームが非常に意識するこの府中ダービーで、いいゲームをすることができました。
前節でクボタスピアーズ船橋・東京ベイに快勝して勢いもある東京SG相手に勝利できたことで、今度はわれわれが自信をつかめたと思います。こういうタイトな試合をどんどんやっていくと、これからにつながります。
試合序盤から接点で止めること、左右に展開していくことに関してはよく対応できたと思います。ただ、後半の立ち上がりがあまりにも悪かったです。後半の入りと規律の部分は一番の反省点です。これからシーズンをとおしてどんどん成長していきたいと思います」
──我慢して守り切った場面はなぜ対応できたのでしょうか?
「全員が何をやらないといけないかの具体的なプランがありました。『それをみんなで理解してアクションを起こせばできる』、ということをしっかり伝えました」
── 一緒にプレーするリッチー・モウンガ選手の働きを振り返っていかがでしょうか?
「引き出しが非常に多く、キックもいいし、フィジカルもあって、スピードもあって、判断力もある。自分で何でもできる選手ですが、もっとチームに対して要求してほしいですし、厳しくしてほしいと思います」