2023.12.24NTTリーグワン2023-24 D2 第3節レポート(GR東葛 41-24 九州KV)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第3節
2023年12月23日(土)12:00 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 41-24 九州電力キューデンヴォルテクス

リーグワン初トライにも満足感なし。
「チームを変えていきたい」と語る24歳の野心

リーグワン初トライを決めたNECグリーンロケッツ東葛の山本耕生選手

12月23日、柏の葉公園総合競技場で行われたNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2の第3節は、ホストチームのNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)が九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)を41対24で下し、今季2勝目を挙げた。

後半16分、山本耕生がリーグワン初トライを決めた。キャプテンのレメキ ロマノ ラヴァが「バックスみたいな良いステップから決めた」と称えたプレーである。さらに守備面でも、前半終了間際には、山本の好タックルが九州KVの攻撃を食い止めた。だが、その活躍に満足感を得るどころか、彼が口にしたのは反省の弁だった。

「満足できる内容ではなかったです。常にギリギリで戦っている感じがして。もっと自分たちのやりたいことをやって、守るところは守る。そういう試合運びができるようにならなければいけないと思います」

確かに、九州KVがインパクトメンバーを投入した後半だけを見れば、19対24と劣勢を強いられた。ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチも「後半に関しては喜ばしいものではなく、最後の最後という局面でトライを取られたことは、こちらが気を緩め、スキを突かれた」とチームに苦言を呈した。

前節の豊田自動織機シャトルズ愛知戦でも、一時は19点差のリードを奪ったにもかかわらず、GR東葛は逆転負けを喫した。九州KV戦では勝利こそ収めたものの、与えたスキをつけ込まれたという点では、この試合でも課題が露呈したことになる。

その戦いぶりを振り返り、ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチも、レメキ ロマノ ラヴァも「まだまだ課題はたくさんある」とチームの現状を語った。それは山本も強く感じている。

若手の一人である自分が発信し、チームを変えていくためには、もっとプレーで存在感を示し、周りの選手が自分の言葉に耳を傾けてくれるようにならなければいけない。だからこそ、いまの自分のプレーに満足することはない。

「周りが引くぐらいに体を張らなければいけないと思っています。それでやっと、言葉の重みも付いてくる。まだまだですね」

「チームを変えていきたい」という野心を抱く24歳の若者は、そう言って自らに高いハードルを課した。

山本の視線の先にあるもの、それは自身のさらなる成長と、強いチームへの変貌に他ならない。

(鈴木潤)


NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛のウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ(左)、レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ

「先週の敗戦は残念でしたが、今日のゲームでは勝利し、ファンに喜んでいただきたいと考えていました。それに関してはスコアができ、良いものを重ねることができ、ウチがやりたいゲームを見せることができたと思います。しかし後半に関しては喜ばしいものではなく、最後の最後の局面でトライを取られたことは、こちらが気を緩め、スキを突かれたからだと思っています。後半の最後の部分には学びがあったので、そこをしっかりと次に生かしていきたいと思います。そして80分間をとおして、チーム全体が良い判断ができるように進めていきたい。まだまだ課題はたくさんありますが、しっかりと勝つということが大切なので、それができてよかったです」

──前節の敗戦後、セットピースとリーダーシップという課題を挙げていましたが、今週のトレーニングではチームにどのようなアプローチをしたのでしょうか?

「前回の試合を学びにしてチームの雰囲気は良かったのですが、負けたことの残念な気持ちを生かしながら、トレーニングでは課題にフォーカスし、セットピースの部分に修正をかけました。今日の試合では、スクラムのタイトヘッドでかなり苦しい場面がありましたが、それは後半にはしっかりと修正して入ることができました。しかしアグレッシブにタックルをすることが前半にはできず、後半は持ち直したとは思いますが、80分間をとおして一貫したアグレッシブさを突き通せるようになることが課題です」

NECグリーンロケッツ東葛
レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

「先週は負けてしまい、今日の試合は絶対に勝とうと思っていた。課題はたくさんあったけど、良いトライをたくさん取って勝つことができました」

──今日の試合では山本耕生選手がリーグワン初トライを決め、丸尾祐資選手がデビューを飾りました。若い選手の成長をどのように感じていますか?

「耕生は去年入ってきて、今季はレギュラーの座をつかんだ。体はそんなに大きくないけど、気持ちを見せてバックスみたいな良いステップからトライを決めました。丸尾もホームでデビューできて良かったと思います。今まではあまりチャンスがなかったけど、めっちゃ頑張っているし、丸尾が伸びている理由は、ニック(フィップス)とフミさん(田中史朗)という、代表キャップが70以上ある選手から学んでいるから。若手も力をつけてきていると思います」

九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクスの今村友基ヘッドコーチ代行(左)、ウォーカー アレックス拓也キャプテン

九州電力キューデンヴォルテクス
今村友基ヘッドコーチ代行

「本日は素晴らしい競技場を準備していただき、たくさんの観客の皆様に来ていただいて本当にありがとうございました。選手は準備したことを、やれることを全力でやってくれたと思いますし、それを誇りに思っています。プランとしては後半にインパクトメンバーと呼んでいるリザーブの選手を入れて、テンポを上げて、トライを取って勝つというプランを準備していたんですけど、前半に少し取られすぎたのと、ポゼッション、テリトリーを取りながら得点できなかったことが響いたと思います。ただ、最初に言ったように、準備してきたことをやってくれたことを称えたいと思いますし、これを次につなげて、また良い準備をしてやっていきたいと思います。ありがとうございました」

九州電力キューデンヴォルテクス
ウォーカー アレックス拓也キャプテン

「まずはこのように素晴らしい会場を準備してくださって、関係者の皆様、ありがとうございます。本日は今村ヘッドコーチ代行から話があったように、後半にインパクトメンバーでしっかりテンポを上げて、後半に流れを変えようとやってきました。前半から先週に引き続きフィジカルの強いチームを相手に自分たちのやりたいことはできたと思いますが、チャンスを生かし切れなかったことが悔やまれます。ですけど、後半は自分たちがやろうとしていたテンポを上げること、インパクトメンバーで流れを変えることはできて、24点取ることができたので、そこはこれからシーズンが深まるにつれて自信を持ってもいいんじゃないかと思っています」

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