NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第4節 カンファレンスB
2024年1月6日(土)14:30 江東区夢の島競技場 (東京都)
リコーブラックラムズ東京 41-14 花園近鉄ライナーズ
これが“一期“の始まり。肝の据わったデビュー戦で、勝利に導いた中楠一期
NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1 第4節。リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)が、花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)を江東区夢の島競技場に迎えた一戦は、BR東京が6トライを奪取し、41対14で今季初勝利をつかんだ。
この試合でリーグワンの初キャップを得たのが、BR東京の中楠一期だ。慶應義塾大学在籍中のアーリーエントリーでチームに合流してからちょうど1年。「ついにプレーさせるときが来た」(ピーター・ヒューワットヘッドコーチ)と、ピッチに送り出された若き10番に気負いはなかった。
「デビュー戦という意識はあまりなくて、自分がやらなければならないことで頭をいっぱいにしてプレーしました。これまで公式戦に出ることはなかったですが、出てもやる自信はありました」
その言葉どおり、国学院久我山中学、高校の先輩でもあるスクラムハーフの高橋敏也と組んだ“久我山”のハーフ陣は、ウィル・ゲニアとクウェイド・クーパーという、もはや説明不要の“最強ワラビーズコンビ”を向こうに回して、落ち着いたゲームコントロールを見せた。
「肝が据わっているのは大学時代から。今日も淡々とやってくれた。これが普通というレベルの選手」(栗原由太)と、チームメートも信頼を寄せる。
リーグワンの初キャップを得た中楠には、エディー・ジョーンズ新ヘッドコーチを迎えた日本代表入りの期待も懸かる。
「ラグビーをする以上、そこ(日本代表)に箸にも棒にもかからない選手にはなりたくない。いいプレー、いい判断、それを一貫性を持って続けることがアピールになると思うので、いまはチームで試合に出ること、自分が出たらチームを勝たせること。そういうことで自分自身をブラッシュアップし続けたいです」
名前の「一期」には、「生まれてから死ぬまでの間」という意味がある。中楠がリーグワンのプレーヤーとして誕生したこの試合から、ブーツを脱ぐその日まで、どんな「一期」を歩むのか。最初の一歩は、この日、夢の島での勝利から始まったことを覚えておくことにしよう。
(尾田健太郎/Rugby Cafe)
リコーブラックラムズ東京
リコーブラックラムズ東京
ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ
「パフォーマンスには満足していますし、ハッピーです。最初の3試合は自分たちの思うとおりにいかなくて、その中でも選手やスタッフが、信じることをやめずにやり続けてくれたことを誇りに思います。もちろんこのままというわけではなく、これからもしっかり成長しながらチームビルドしていければと思います」
──規律や強度という課題が一気に解決したように見えた。この2週間をどのように過ごしたのか?
「信じることをやめなかった。トヨタヴェルブリッツ戦はいいパフォーマンスができていて、でも、三菱重工相模原ダイナボアーズ戦は同じようにはいかなかったし、選手がいなかったという事情もあって。その中でもリーダーたちがポジティブに声を掛け続けて、アクションでみんなを引っ張ってくれました」
──前節の10番はマット・マッガーン選手でした。今日は中楠一期選手を先発にしましたが、その理由は?
「ちょっと変化が必要でした。中楠についてはすごくいいトレーニングを重ねていたし、プレシーズンゲームも多く出ていました。リーグが開幕して3週くらいは、ちょっと引いた視点でどういうリーグなのかを学びながら、しっかり準備してきたので、ついにプレーさせるときがきたということで今週ピックアップしました。まだ若い10番ですが、年齢の割に成熟している。彼のいいところはミスをしても気にせず切り替えられること。世界ナンバーワンの10番でも、ミスはみんなするので、若い選手なら当然ミスもする。でも、いいパフォーマンスを見せてくれました」
リコーブラックラムズ東京
松橋周平 共同バイスキャプテン
「勝ててうれしい。出場した15人が同じページを見て、ゲームプランを遂行できたことはよかった。小さなことをちゃんとやろうと口を酸っぱくして言ってきたので、そこをみんなが意識して、コミュニケーションの部分でも集中する部分でもできた。それがいい結果につながったと思う。たまにスキを見せるシーンもあったと思うが、80分一貫性を持ってやるべきことを精度高くやるというのが大事。もっと磨けると思うので、そこに対して、さらにプッシュしてやっていきたい」
花園近鉄ライナーズ
花園近鉄ライナーズ
向井昭吾ヘッドコーチ
「連敗中なので必勝を期して戦いました。プランを持ってはいたのですが、それがまったく出ずに、ペナルティ、ペナルティで、自滅した試合でした。次節まで少し時間があるので、きちっと修正して、自分たちが持ったアタックをしっかりできるようにしたい。ディフェンスにおいては粘れるようになっているので、30点以下に抑えて僅差で勝負できるように、またゲームを作っていきたいと思っています」
──今日もペナルティが多かった。4試合目で改善しているというよりも増えている印象だが、その要因で思い当たることは?
「接点負け。コンタクトのところでしっかり止められずに、どんどん差し込まれて後ろに下がっていることだと思う。練習が足りないのか、一人ひとりが相手の圧力に負けたのか、自信がないのか。自信を持ってプレーをしてもらえればアタックはできると思いますので、そこを取り戻して次のゲームに持っていきたい」
──クウェイド・クーパー選手は久しぶりの出場でしたが、評価は?
「まだまだ試合勘が取り戻せていない感じはしました。チームの中では彼がいなくなると普通のことが普通にできなくなる、ハレーションを起こすというか。そこは彼がいなくても、一人ひとりが自分のプレーをすれば崩れないということを認識させたい。逆に言えば、(クウェイド・クーパーは)それくらいこのチームに影響力があるんだなと感じました」
花園近鉄ライナーズ
ウィル・ゲニア ゲームキャプテン
「一番ダメだったのは規律の部分。ペナルティが(花園L)15対(BR東京)3では、自分たちがやりたいことはできません。強い相手であれば、そこを突かれます。もう1点は、ブレイクダウンでプレッシャーを受けたことです。ボールを継続することができないので、やりたいラグビーはできない。われわれのいまのいちばんの課題はモールとブレイクダウンだと思います。ここを修正しない限りは、相手にそこを突かれ続けるだろうと思います。ここから2週あるのでしっかり修正していきたいと思います」