NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第4節
2024年1月13日(土)13:00 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス vs マツダスカイアクティブズ広島
清水建設江東ブルーシャークス(D3)
元銀行員の前節POTM。特長のランプレーで、“夢の島”に今季二度目の歓喜をもたらす
2023年最後のゲームとなったNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24ディビジョン3第2節を勝利で飾った清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)。リーグ戦では昨年3月のD2第9節・日本製鉄釜石シーウェイブス戦以来の勝利となった。今年最初のゲームは、江東区夢の島競技場にマツダスカイアクティブズ広島を迎える。
前節の勝利に大きく貢献した選手がいた。リーグワン初キャップで2トライ、プレーヤー・オブ・ザ・マッチを獲得した金澤徹だ。このトライには金澤の努力が詰まっていた。
昨季終わりにチームの陸上競技出身トレーナーに「スピードを強化したい」と相談した金澤。元々俊足の持ち主でランプレーが特長でもあるが、7人制日本代表での経験も経て、本格的に取り組む決意をした。
プレシーズンの7月ごろから、フォームチェックや下半身強化など、全体練習後にパーソナルトレーニングに励んだ。そうして取り組んできた「体のバランス強化が生かせたトライだった」と、金澤は前節の活躍を振り返る。新たなトレーニングを取り入れてから、体の安定感が増し、スプリント時のスピード維持も実感。昨季にあった肉離れなどの負傷もなくなった。「次はホストゲームで勝つ」と意気込む金澤のランプレーに注目が集まる。
金澤は大学を卒業してから銀行員として2年間働き、そのあと江東BSに入団している。入団のきっかけは、小学校から大学まで同じ進路をたどった3つ年上の偉大な先輩で、今季キャプテンを務める白子雄太郎の存在が大きかったという。銀行員時代に何度も声を掛けられていた中で、「最後のチャンスだけど、後悔はないか?」という言葉に「やらないで後悔するのはもったいない」と奮い立ち、入団を決めた。いま、金澤は「働きながらラグビーができることにやりがいを感じている」という。
今季の江東BSは7月の始動から、チームとしてもどこよりも走り、当たり負けしない体づくりにも力を入れてきた。シーズン1勝目をはずみに、2024年は一味違った姿で江東区夢の島競技場を歓喜で包み込めるか。
(山村燿)
マツダスカイアクティブズ広島(D3)
歯がゆさの向こう側にある、快感のために
中村悠人がウイングで躍動している。これまで10番や15番でプレーしてゲームコントロールをする役回りを務めてきたが、今季は14番を着けて開幕2試合に出場。2020年にマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)に加入した25歳は、新ポジションで確かな手ごたえをつかんでいる。
「ウイングは今までのポジションよりもやることが明確。自分でボールを持って走ってゲインしてチームを前に出すことを求められていると思うので、そこをしっかりとやっていきたい。いまのところ自分のやりたいプレーをやれていますけど、もっともっとボールを持って走る時間を増やしていければいいと思いますし、自分もトライできるように頑張りたい」
中居智昭ヘッドコーチも中村のパフォーマンスに信頼を寄せている。前節の日野レッドドルフィンズ戦もトライにつながるプレーを見せたことに対して、「ウチの一番のトライゲッターになれるのが彼だと思いますし、彼自身が一番イキイキとできる場所を見つけられたんじゃないかと思います」と笑みを広げた。
中村をウイングに配置できるのは、チームが成熟してきたためでもある。「選手たちの仕事の役割が明確になってきている。だから彼には最後のトライを取るところの仕事をしてもらいたいんです」(中居ヘッドコーチ)。中村がトライにチャレンジする回数が増えるかどうかは、チームが機能しているかどうかを計るバロメーターだ。今節の清水建設江東ブルーシャークス戦に向けては、前節にできなかったドライブのトレーニングを重ねた。どのスペースで、どう前に出ていくか。どうサポートするか。確認してきたことをグラウンドの上で体現し、ウイングにボールをつなげていきたい。
「ずっと、自分がいいプレーをできたときに感じられる快感が気持ちよくてラグビーをやってきた。うまくいかない歯がゆさもたくさん味わってきているんですけど、もっともっと快感を得たいというのがいまもラグビーをやっているモチベーションです。もっと目立てるようにやっていきたいと思います!」(中村)
中村が最高の表情を浮かべてタッチライン際を走る場面が見られれば、SA広島の勝利は近づく。
(寺田弘幸)