2024.01.15NTTリーグワン2023-24 D3 第4節レポート(江東BS 28-31 SA広島)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第4節
2024年1月13日(土)13:00 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス 28-31 マツダスカイアクティブズ広島

夢の島に起こった拍手。1年ぶりに復帰した松土治樹、「これから自分が引っ張っていけるように」

1年前の膝の大けがからようやく復帰。清水建設江東ブルーシャークスの松土治樹選手

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第4節。清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)が、マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)を江東区夢の島競技場に迎えた。

21対12と江東BSが9点のリードで折り返した試合は、目の離せない展開のまま推移。晴天だった夢の島に後半30分ごろから雨が落ち始めると、後半33分、少しずつ点差を縮めていたSA広島がトライ成功により逆転。そのまま江東BSの反撃をしのいで、28対31でノーサイド。雨のピッチに、江東BSの選手たちは膝をついた。無念の逆転負けだった。

2022年2月以来となる連勝が懸かった一戦を勝利で飾ることはできなかった江東BSだが、チームにとって明るいニュースもあった。

大けがで約1年間リハビリに励んできた松土治樹が、途中出場で戦列に復帰したのだ。ピッチに入ると同時に、ブルーに染まったスタンドから拍手が起きた。チームメートはもちろん、ファンも待ちわびた復帰戦であった。

ちょうど1年前の2023年1月、夢の島での三重ホンダヒート戦で、膝にラグビー人生で初めての大けがを負った。本人はその場面について、「いまでも鮮明に覚えています。サポートに行こうとしたときに、味方のハーフの選手が相手にチャージで押され、二人とも自分の右ひざに飛び込んできて。不慮の事故のような、ハプニング的に起きたけがでした」と、まるで昨日のことように記憶していた。

1年ぶりに同じ舞台である夢の島のピッチに立っても「恐怖心はない」と話した松土。復帰戦は、「まずはけがなく思い切りプレーしようと入った。コンディションについても不安感はなく、練習でやってきたことを試合で出したい」という一心だった。苦しい期間を乗り越え、やっと立てた新たなスタートライン。「一番はチームで取り組んでいるアタック、ディフェンスをやり切ること。不安はない。自分が引っ張っていけるようなプレーをしていきたい」とその言葉には力が込められていた。

ここから続く長いシーズン、けがを乗り越えた気持ちの強さも武器にして、江東BSをけん引する。

(山村燿)


清水建設江東ブルーシャークス

清水建設江東ブルーシャークスの仁木啓裕監督兼チームディレクター(左)、白子雄太郎キャプテン

清水建設江東ブルーシャークス
仁木啓裕監督

「お正月から地震などいろいろなことが起きている中で、われわれの存在意義はラグビーをすることだと思っています。夢の島(江東区夢の島競技場)で勝てていなかったので、多くの方に笑顔を届けることを一つのテーマにしていた中で、それを成し遂げられなかったことが非常に残念です」

──どのようなプランで試合に臨みましたか?

「今季に入って一貫して、"先手必勝"ということを掲げ、試合に入る前には、『ラグビーにおけるファーストプレーは意識しよう』と話しました。ここまで2試合、キックオフ直後のミスや簡単なミスで良い流れの時に相手に流れを渡してしまうことが多かったので、その部分は意識しようと声を掛けて入りました」

──試合後に白子雄太郎キャプテンが「練習でできたことは通用する。通用したこととしなかったことがはっきりしている」と話されていましたが、通用した点はどのような点でしたか?

「私自身は通用した点はあまりないと思っています。キャプテンの言ったとおり、練習の結果がすべてだと思っています。今週は練習でもミスが多く、それに対して導くことができなかったことが私の責任です。ただ、まだ3試合目でこれから長いシーズンなので、もう前を向くしかないと思っています」

清水建設江東ブルーシャークス
白子雄太郎キャプテン

「シーソーゲームの中で自分たちのラグビーを終始できなかった感覚です。振り返るとターニングポイントはいくつかあったと思いますが、ラグビーの精度の部分でボールを落としてしまったり、相手より寄りが遅くてジャッカルされてしまったり、なかなか自分たちのペースをつかめなかったと思うので、持ち帰って修正したいと思います」

──今日の試合、チーム内での共通認識はどのようなことでしたか?

「ディフェンスでは我慢してノーペナルティで守り切ろうという認識で入り、その部分はよくできました。アタックに関しては、自分たちが練習でやってきたことをエリアごとに遂行して戦おうと認識を合わせて入りました。その中でラインアウトはうまくできましたが、スクラム、モールディフェンスは修正していきたいと思います」

──今日の試合の収穫についてどのように感じられていますか?

「エリアごとに自分たちの戦術があり、各エリアでできたことはあります。ただ、相手陣に入ったところで取り切ることや、ディフェンスのエリアで守らなくてはいけないところのモールディフェンスなど、できなかった部分がそのまま試合の結果につながったと思うので、もう一度修正が必要だと感じました」

──アタックの面で、前半と後半の途中までは良い形で練習からやってきたことが出ていたと思いますが、最後のほうでなかなかその形が出なかったのは、技術的な問題なのか、体力的な部分なのか教えてください。

「体力的な部分もあると感じています。前半、相当数ラックを中盤から作ってアタックしていったので、後半にどうしても息切れしてしまったのは否めないと思います。中盤での戦い方がテーマにあるので、チームで同じ絵を描いて注力できるようにしていかないといけないと感じています」

マツダスカイアクティブズ広島

マツダスカイアクティブズ広島の中居智昭ヘッドコーチ(右)、中野光基バイスキャプテン

マツダスカイアクティブズ広島
中居智昭ヘッドコーチ

「本日もご声援ありがとうございました。素晴らしい環境でプレーできたことをうれしく思います。前半序盤の反省点として、ペナルティが重なってしまったこと、自分たちのリズムを作れなかったことが反省点です。清水建設江東ブルーシャークスさんのアタックがすごく良くて苦戦しましたが、後半にはペナルティをしっかりと修正し、選手が体を張ってよくやってくれたと思っています。本日はありがとうございました」

──相手にリードされる展開から逆転勝利ができた勝因はどこに感じられていますか?

「特にこれまで課題としていたセットピースを強みにして得点ができた、ペナルティを勝ち取ることができたことが勝利の要因だと感じています」

マツダスカイアクティブズ広島
中野光基バイスキャプテン

「ヘッドコーチが話すように、前半ペナルティが重なり、相手にトライされましたが、修正すれば追い付ける点差だとチームとして考えていました。ディフェンスで我慢して耐えることができていたことが大きかったと思います。勝利できたことをうれしく思います」

──相手にリードされて前半を終えましたが、後半からの修正としてどのような話をされましたか?

「前半はペナルティが多かったため、ハーフタイムにペナルティをしっかり正そうと話してチームの中で確認しました。後半にしっかりと修正できたこと、さらにディフェンスで粘ることができたことが勝因だと感じています」

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