2024.01.14NTTリーグワン2023-24 D2 第4節レポート(RH大阪 13-48 GR東葛)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第4節
2024年1月13日(土)12:00 ヨドコウ桜スタジアム (大阪府)
レッドハリケーンズ大阪 13-48 NECグリーンロケッツ東葛

仲間として手を携えたRH大阪とGR東葛。ラグビーを通じてより良い社会を

互いのホストゲームでSDGs という同じテーマを掲げて取り組む、レッドハリケーンズ大阪とNECグリーンロケッツ東葛

1月13日(土)、ヨドコウ桜スタジアムで行われたディビジョン2第4節は、能登半島地震で犠牲となられた方たちへの哀悼の意を表して黙祷を捧げ、キックオフ。レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)とNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)の対戦は6対17で折り返したのち、後半にGR東葛がリードを広げ13対48で終了。GR東葛が勝ち点5を積み上げた。

RH大阪が今回のホストゲームのテーマに掲げたのは、SDGs。サスティナビリティに関するブースは盛況だった。『誰一人取り残さない』ことを重んじ、ブラインドラグビーのエキシビションマッチも行い、特別支援学校の生徒たちを試合に招待するなどした。

また、大阪観光局を通じたRH大阪からの提案にGR東葛も賛同し、試合ではSDGsの17の目標から3色ずつ使用したストッキングを両チームが着用。3月10日(日)に行われるD2第8節、RH大阪を迎えて行うGR東葛のホストゲームでもSDGsをテーマにし、今回のストッキングも着用する。対戦相手と同じテーマでホストゲームを行うのは、互いに初めてだという。

昨季に社会貢献賞を受賞したRH大阪は、今季は区民アンバサダーや試合日のスタジアム近辺の清掃、SNSでのカーボンニュートラルの啓発活動など、すべて継続して寄与できるように策を採り、取り組んでいる。社会貢献への意欲の高さは、説明するまでもない。「グラウンド上では勝敗を争っても、ラグビーに携わる仲間。ラグビー界、スポーツ界から社会をより良くしていくために、チーム間でも力を合わせて活動ができる」(RH大阪/才口將太広報)はずだと考えていた。

一方のGR東葛もまた、以前から近隣チームと一緒に何かに取り組めないか考えていたという。「自分たちだけでできることは大きくない。チーム同士で協力し合い、リーグワンとして、そしてラグビー界として、より社会に貢献していきたい」(GR東葛/有馬清香広報)という意志は強かった。

昨季までGR東葛に在籍し、今季RH大阪に加入した佐藤耀は、双方の志を知るからこそ、今回の件についてこう話していた。「いろいろなチームのそれぞれの考えが共鳴することで、さらに良いアイディアが生まれることもあるだろうし、各チームで何かを目指すだけでなく、このような取り組みがラグビー界にもっと増えればいいなと思います」。

SDGsにおける17番目の目標は、『パートナーシップで目標を達成しよう』。ラグビーというスポーツをとおしてより良い社会にするために、リーグワンの仲間として手を携え、RH大阪とGR東葛は自分たちにいまできることに取り組む。

(前田カオリ)

レッドハリケーンズ大阪


レッドハリケーンズ大阪のマット・コベイン ヘッドコーチ(左)、杉下暢キャプテン

レッドハリケーンズ大阪
マット・コベイン ヘッドコーチ

「また残念な結果となりました。チームとして求めていた結果ではないですし、厳しいトレーニングにも取り組んでいますが、試合当日にその成果を発揮して最後まで遂行する、ということができていません。トレーニングで頑張ってきたものがグラウンドで出せていない状態にあります」

──前半については、前回の試合で課題となっていた部分は解消されていた。後半に感じた課題は何でしょうか?

「後半に関しては、向かい風になりましたので、ロングボールを蹴るのではなく、コンテスト(キック)を上げようと話していました。また、一人目でタックルを外されてしまうと、そのあとズルズルと下がってしまうことになるので、ファーストタックルでしっかり仕留めるということを話しました。良い判断もありましたが、精度が足りず、自分たち自身で首を絞めてしまっている印象がありました。判断と精度はもっと質を高めなければ、このディビジョンで戦うことができないので、みんなで学び、改善する必要があります。個別で戦うのではなく、チーム一丸となって戦っていかなければいけません」

──SDGsをテーマにしたホストゲームをNECグリーンロケット東葛(以下、GR東葛)も行うことについて感想をお願いします。

「こうして同じ思いを持ってコラボレーションできることをとてもうれしく思います。今回の試合のために用意していたこのストッキングは、次のGR東葛さんとのビジターでの試合でも選手たちは着用することができます。あとは、試合の結果もしっかりと出したいところです」

レッドハリケーンズ大阪
杉下暢キャプテン

「前回の豊田自動織機シャトルズ愛知さんとのビジターゲームでは、シンプルにドミネートされてしまった反省を踏まえ、GR東葛さんも同じようにフィジカルでドミネートしてくるだろうと想定し、われわれはコリジョン(衝突)の部分でファイトしようと話し、試合に臨みました。前半はコリジョンの部分でも戦えていたところもあったかと思いますが、22mエリアまで入ったところでわれわれのアタックの精度が低く、トライまで結び付けることができませんでした。そして、逆にそこから反撃を受け、相手には簡単にトライに結び付けさせてしまいました。22mエリアまで入ったところでのミスは、練習でも起こっていたので、それが試合にも出てしまいました。コリジョンの部分は改善できたので、次はアタック、タックル、ブレイクダウンの精度を高めていく必要があると感じました」

──今回の試合での取り組みについて感想をお願いします。

「SDGsをテーマにしたゲームでした。GR東葛さんもこのテーマに賛同し、今回のために用意したストッキングを着用してくれるということで、『まずは良い試合にしよう』、ということをみんなで話をして臨みました。リーグワンになって以降、各チームがそれぞれのカラーを出してさまざまなことに取り組んでいます。今回はGR東葛さんと一緒に、同じテーマでお互いのホストゲームを行うことができます。今回だけに限らず、これからも自分たちの独自のカラーを出しつつ、ラグビー界を盛り上げていきたいです」

NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛のウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ(左)、レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ

「今日は、勝利を目指すことはもちろん、さらにボーナスポイントも取ることを目標とし、試合に臨みました。その目標を達成でき、とてもうれしく思います。前半は風下にいたので、風の影響もあり、少しトリッキーなプレーになってしまい、ベストを尽くせなかったと感じています。後半には自分たちのできるラグビーを見せ、良いトライを取ることができたことは良かったです。私たちはミッションをコンプリートすることができました」

──宮宗翔選手が後半23分に出場し、ファーストキャップ。後半28分には、トライも決めました。評価を教えてください。

「彼がファーストキャップを獲得したことはとてもうれしいです。加えて、ファーストスコアも取ってくれました。後ほどロッカーで、みんなで祝福したいと思っています。彼の地元は兵庫県ですが、大阪桐蔭高校、近畿大学の出身です。ある意味ホームとも言える大阪で彼がプレーすることが特別な意味を持つことは分かっていたので、本当にうれしいです」

──レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)が企画したSDGsへの取り組みに賛同し、RH大阪を迎えてのホストゲームは同じテーマで実施することについてどう考えていますか?

「素晴らしいことです。こういった取り組みをスポーツ選手としてサポートすることは非常に大事だと思っています。試合前には(能登半島地震の被災者の方々への)黙祷もありましたが、そうしたことも非常に大事なことだと思っていて、ラグビーを仕事にできることは選手としてもコーチとしても大変ありがたいこと。ですので、こうした取り組みが、われわれにとっても良いリマインドにもなります。繰り返しになりますが、そうした取り組みは非常に大事だと考えます」

NECグリーンロケッツ東葛
レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

「(ウェイン・ピヴァック)ヘッドコーチが話したとおり、今日の目標は、5ポイントを取ることでした。前半は風も強く、RH大阪さんのフォワードのプレッシャーやディフェンスも良かったので、あまり良いアタックはできませんでした。しかし、後半はやりたいことができ、うまく試合も運ぶことができました。最後の結果は点差も開きましたが、タフな試合でした」

──今回の試合での取り組みついて、何か感じたことはありましたか?

「難しい話はウェイン(ピヴァック)ヘッドコーチに聞いてもらえると助かりますが、ストッキングについては、すごい色だなって思いました(笑)。自分たちの色よりも、RH大阪さんのストッキングの色のほうがかっこいいなと思いました。試合前に黙祷をしましたが、自分は2011年の東日本大震災のときも日本にいました。今回もまた大変なことになっているので、スポーツを通じて何かサポートをしていきたいと考えています。次のホストゲームでもチャリティーなど、自分たちにできることに取り組んでいきたいです」

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