NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第6節
2024年1月20日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 三重ホンダヒート
埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)
「毎試合アピールしなければ立ち位置は変えられない」。長田智希、チームにより貢献できる選手に
埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)が1月20日午後2時半キックオフのホストゲームで三重ホンダヒートを迎え撃つ。開幕5連勝で首位を走る埼玉WKは、ダニエル・ペレズ、島根一磨、藤井大喜のフロントロー。フルバックには、山沢拓也の弟・京平が先発する。フレッシュなメンバーで勝利を目指す。
大卒3シーズン目の長田智希は、ジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1で5トライを決めて、イノケ・ブルワ(横浜キヤノンイーグルス)、堀越康介(東京サントリーサンゴリアス)、シャノン・フリゼル、ジョネ・ナイカブラ(以上、東芝ブレイブルーパス東京)と並びトライランキング1位タイとなっている。
第4節のトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)戦では、こぼれたボールに反応。蹴り出してゴールラインに迫ると、追いすがる相手の動きを見て足でボールを巧みにコントロール。最初のキックのところを手で拾っていればタックルを受けていたかもしれない。そんな場面で、サッカー選手さながらの足技を駆使し、トライを決めてみせた。
長田は「(キャッチしようとしたが)バウンドのタイミングが合わなかったのでもう一回蹴りました。サッカー? まったくやったことがありません。相手がすぐ後ろまで追ってきていたので、咄嗟の判断で足が出ました。転がり過ぎないように、優しい感じでいきました」と取材陣を笑わせた。トヨタV戦では2トライで逆転勝利に貢献すると、第5節の三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)戦でも後半33分にパワフルなトライを決めた。
早稲田大学のキャプテンとして名を馳せ、埼玉WKへ加入。昨季の第5節リコーブラックラムズ東京戦でリーグワン初キャップをつかむと、そこから劇的な成長を遂げてシーズン中盤以降は先発に定着し、チームに欠かせないピースとなった。
「試合には出させてもらっているが毎日が競争。いまはセンターではなくウイングでプレーしている状況なので毎試合アピールしなければ立ち位置は変えられないと思う。ディラン・ライリー、ダミアン・デアレンデはリーグトップのセンターなので、超えなければいけないし、そこを目指すことで成長できる」
昨季の新人賞を獲得すると、ラグビーワールドカップ2023フランス大会の日本代表メンバーに選出された。多くの経験と実績が長田を進化させる。
「昨年は失うものがないのでガムシャラにプレーできた。ラグビーワールドカップでは、世界の景色を見ることができた。今季は、さらに高いものを求められるので、自分自身を超えていかなければいけない。昨季のプレーオフトーナメント決勝で負けた悔しさはみんなが持っているので、王座奪還へ向けて一戦一戦が重要。チームにより貢献できる選手になっていきたい」
長田のダイナミックなゲインがチーム躍進の原動力になる。今節もトライを奪えば、トライランキング単独トップも見えてくる。
(伊藤寿学)
三重ホンダヒート(D1 カンファレンスA)
いま、チームに必要なのは「成長」。
だからこそ、「一緒に成長する背中を見せる」
第6節を迎えたNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24のディビジョン1は交流戦に突入。ここまで5連敗の三重ホンダヒート(以下、三重H)は1月20日、全勝でディビジョン1首位に立つ埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)とのビジターゲームに臨む。
三重Hと埼玉WKとのリーグ戦での前回対戦は、2018年10月6日まで遡る。京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場(現在のたけびしスタジアム京都)で行われた一戦は12対41で埼玉WKが勝利した。フランカーとしてその試合に出場した小林亮太は、埼玉WKについて「非常に賢いチーム」という印象を持ったと話す。
「自分がやるべきことを全員がちゃんと理解して動いている。それに加え、個々の能力がとても高いと感じました」
未勝利が続く苦しい状況で、小林らジャパンラグビー トップリーグ経験者の果たす役割は大きい。
「いま、チームに必要なのは成長していくこと。ディビジョン1で戦う上で持っていなければならない武器、自分たちが準備してきたことを試合で出す。出せなかったときはその理由を分析して、改善し、成長する。これを続けていけば、絶対に勝利は見えてくる。その過程で自分にできることは、言葉で引っ張る、チームをまとめること以上に、一緒に成長する背中を見せることだと思う」
フランカーが本職の小林だが、今季はロックとして出場することも多い。ロックとして試合に出るのは高校2年以来。「練習もまったくしたことがなく、県大会の決勝のときに付け焼き刃でやりました」。
しかしながら、キアラン・クローリー ヘッドコーチはロックとしての小林を「非常に難しいポジション変更にもかかわらず、しっかりと対応してくれた」と高く評価している。それを本人に伝えると、「本当ですか? 僕には何も言ってくれなかったのに……」と苦笑い。
「ラインアウトはあまり変わらなかったんですけど、スクラムやセットピースのところでロックは大きな役割を背負っていると、自分がプレーをしてみて初めて知りました。すごくハードなポジションですが、自分がその責任を全うできたら、ラグビー選手としてもっといい選手になれるし、自分の武器になると思う。成長できることが楽しいです」
メンバーを入れ替え、「常にフレッシュな状態」(キアラン・クローリー ヘッドコーチ)を作りながら戦ってきた三重Hだが、埼玉WK戦は前節からの先発変更は吉岡大貴のみ。小林は今節もロックとして出場予定だ。
「埼玉WKは尻上がりに良くなるチームだと思うので、最初の20分で先制パンチを喰らわせたい。根塚(聖冴)と(呉)洸太のフレッシュで元気な組み立て、チャレンジングなゲーム運びは僕らの魅力の一つだと思うので、そこをぜひ見てもらいたい。ファンのみなさんに早くうれしい報告ができるよう、埼玉WKさんに全力で向かっていきたいと思います」
(山田智子)