NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第6節
2024年1月20日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ 70-12 三重ホンダヒート
「最高の環境」で戦う2年目のルード・デヤハー、
今季初めてのホストゲームでの躍動
埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)は1月20日のホストゲームで三重Hに70対12で勝利した。エセイ・ハアンガナのトライと松田力也のキックなどで31点を奪って前半を折り返し、後半はマリカ・コロインベテ、ディラン・ライリーらのトライなどでリードを広げて大差で勝ち切った。三重ホンダヒート(以下、三重H)は後半にクリントン・ノックス、植村陽彦がトライを決めて執念を見せた。
南アフリカ代表のルード・デヤハーは埼玉WKに加入して2シーズン目を迎える。前節の第5節・三菱重工相模原ダイナボアーズ戦に先発して今季初出場。勝利に貢献し、今節は自身にとって今季初のホストゲームを迎えた。
「熊谷に戻ってくることができて大変うれしい。約9カ月ぶりのホストゲームで、チームの仲間、ファンと一緒に試合ができて光栄だった。開幕から6週間、トレーナーにハードなメニューを組んでもらって準備してきた。そのサポートのおかげでピッチに立つことができた」
今季、ディビジョン1へ昇格した三重Hの前に、206cmのルード・デヤハーが立ちはだかった。開始直後の前半2分、埼玉WKはキックオフから勢いを持って押し込むと、ゴール前のラックからルード・デヤハーがトライを決めて先制に成功した。
「相手の守備にスペースがあったのでそのまま押し込んだ。前半の早い時間にトライが奪えたことでチームが勢いづいた」
ラインアウトでも存在感を発揮。マイボールラインアウトでは、島根一磨からのボールをがっちりと抑えて攻撃のリズムを作った。さらに相手ラインアウトでは、高さと読みを生かしてことごとくブロック。ルード・デヤハーの攻守にわたる貢献によって三重Hを混乱させて、トライラッシュにつなげた。
「ラインアウトは試合前の練習からしっかりと準備してきたので、その成果を発揮することができた。チームメートのサポートもあり、自分の役割を体現できたと思う。ゲームの流れを見て、ハードワークでチームのためにプレーすることを心掛けた」
ルード・デヤハーを突き動かす原動力は、昨季のプレーオフトーナメント決勝、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦での敗戦だ。
「最も大事なケッショウセン(決勝戦)で、自分たちのラグビーを実践することができず非常に残念だった。いま振り返ると、チームには慢心があったのかもしれない。王座奪還のために、一戦一戦を大事に戦っていく。ワイルドナイツ2年目で、家族も日本の生活が気に入っている。最高の環境でラグビーをさせてもらっているので、その感謝を結果で示していきたい」
心優しきルード・デヤハーの完全復帰で、チームはさらに強度と迫力を増しギアを上げていく。目指すは「王座奪還」のみだ。
なお、埼玉WKは2月4日の『THE CROSS-BORDER RUGBY 2024』ギャラガー・チーフス戦を挟んで、第7節の交流戦・東京サントリーサンゴリアス戦を迎える。
(伊藤寿学)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督
「今日のパフォーマンスを大変うれしく思っています。ゲームでの課題はありましたが、多くの選手が代わる中で、その中でも自分たちのパフォーマンスを保ってくれました。ダニエル・ペレズ選手、島根一麿選手、山沢京平選手のプレーも素晴らしかったと思います。今回、ゲームキャプテンを務めたエセイ・ハアンガナ選手を誇りに思います」
──ジャッカルが多かった点についてはどう評価していますか?
「非常にハードにプレーしてくれました。ジャッカルの部分では、コンタクトエリアのところをコーチ陣が入念にチェックしてくれていて、良いパフォーマンスを見せてくれました。特にラクラン・ボーシェー選手が良かったと思います」
──エセイ・ハアンガナ選手をゲームキャプテンにした理由は何でしょうか?
「プレシーズンからゲームキャプテンを務めてくれて、よくやってくれていました。チームのコアの選手を集めて、みんなに聞いたところ、エセイ(ハアンガナ)を指名してくれた。ゲームキャプテンに指名して毎回2トライを奪ってくれるのであれば、毎回ゲームキャプテンに指名したいです(笑)」
──2週間後に控える「THE CROSS-BORDER RUGBY 2024」、ギャラガー・チーフス戦への意気込みを聞かせてください。
「非常に価値があり、ユニークな機会です。自分たちはリーグワンが優先事項ですが、ラグビー界にとって大事なゲームですので、選手たちのコンディションを確認してメンバーを選んでいきたいと思います。良い競争が芽生えるように、選手たちを選んでいきたいと思います。多くのラグビーファンのみなさんに、スタジアムへ来てもらえればと思っています」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
エセイ・ハアンガナ ゲームキャプテン
「ロビー・ディーンズ監督がおっしゃったように、今日のチームを誇りに思います。ゲームキャプテンを務めさせてもらって光栄ですが、チームが私を引っ張ってくれたと思います。ゲームの中でも良くなっていきましたし、シーズンを通じて、良くなっていきたいと思います」
──ゲームキャプテンに指名されたことについてどう感じましたか?
「今回のゲームキャプテンについては誇りに思います。チームメートやコーチに感謝したいと思います。日本を代表する選手がゲームキャプテンを務めてきた中で、このような機会にゲームキャプテンに選んでもらって光栄ですし、率先してやっていきたいと思いました。緊張はもちろんありましたが、チームが私を引っ張ってくれましたし、自分の仕事を貫くことだけを考えていました」
三重ホンダヒート
三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ
「間違いなく、結果としてはスコアボードをご覧のとおり、残念な結果でした。スタートとしては悪くなく、最初の20分でしっかりとゲームを進められたことはポジティブな部分でした。そのあとは繰り返しのペナルティが多くてトライに結び付けられてしまいました。規律のところで後手に回ってしまった。チャンスを作れていましたが攻撃のミスがあり、取り切れなかったのも残念なところです。
後半は、良いアタックや良いディフェンスがありました。良いチーム相手にチャレンジして良いパフォーマンスができた部分もありましたが、それをコンスタントに一貫性を持って発揮していくことが重要になります」
──これからのオフでの修正点はどこになるのでしょうか?
「チームとして1週間のオフになりますが、ここまでのトップレベルの6チームと対戦して、次はトヨタヴェルブリッツ戦が待っています。トレーニングの中では、基本的に細かいところよりも、チーム全体の向上が必要だと思っています。守備、攻撃で良いところが出ているのでチームとして全体的に伸ばしていきたい。フィジカル的な部分では、ディビジョン2から昇格したリーグでここまで経験を積めたので、Bチームを含めてチーム全体で強度に順応していきたい。全体の部分にフォーカスをして、ディビジョン1のレベルで戦えるチームになっていきたいと思います」
──対戦してみて感じた、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)の強さはどこでしょうか?
「この2試合で、埼玉WK、東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)と対戦しました。両チームともに長い歴史があり、長期のプロジェクトで戦っています。例えば埼玉WKはロビー・ディーンズさんが10シーズンにわたってチームを作ってきていて、BL東京ではトッド・ブラックアダーさんが5シーズンにわたり指揮しておりチームの成熟性を感じます。加えて、安定したパフォーマンスを発揮できる選手たちがそろっています。私たちはD1でのプレー経験を重ねて、チームを積み上げていきたい。
埼玉WK、BL東京は、効率的に一貫性を持ってチームを作ることができています。得点のところで言えば、埼玉WKは先週も80得点を奪っていますし、安定的な力を出しています。われわれも今季、来季、そして、その次のシーズンとしっかりチームを作っていって経験を積んでいかなければいけない。一貫したチームを作っていって、数年後にはこういう会話が起こっていないようにして、チームを高みへ持っていきたいです」
三重ホンダヒート
古田凌キャプテン
「結果として大差で負けてしまったことが残念です。小さなミスや規律の部分で、スコアを取られました。一つひとつのプレーでチャンスを逃すことになるので1プレーに集中して、こだわらなければいけないと思います。後半は、アタックやディフェンスでポジティブな部分がありました。それはチームの収穫です。まだリーグは続くので、しっかりと前を向いて、まとまってやっていきたいと思います」
──2週続けて、トップレベルのチームと対戦したが、その感想はいかがですか?
「ヘッドコーチがおっしゃったとおりだと思います。フィジカルの面でも、一貫性のところでも、埼玉WK、BL東京は安定していました。僕たちも一貫性を持って、チームを良い方向へ持っていければと思います。どっちが強いか? そこは分からないですが、埼玉WKは一貫性がありブレない感じがしました。見習うべきところは学んで、自分たちのチームを作っていきたいと思います」