NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第6節
2024年1月27日(土)14:30 豊田スタジアム (愛知県)
トヨタヴェルブリッツ vs 東芝ブレイブルーパス東京
トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)
ビッグマッチを前にそろった役者。
トップ4を目指すトヨタVに“ビッグボス”が合流
5位のトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)が、交流戦初戦で迎えるのはここまで全勝の東芝ブイレブルーパス東京。キャプテンの姫野和樹が「トップ4に入るためには、トップチームを倒していかないといけない」と言うように、トヨタVにとって絶対に負けられないビッグマッチとなる。
両者の対戦は見どころがいっぱいある。その中でも姫野とリーチ マイケルという日本代表新旧キャプテン対決やボーデン・バレット対リッチー・モウンガというニュージーランド代表オールブラックスのスタンドオフ対決は見逃せない。豊田スタジアムでこれまで以上の盛り上がりを見ることができるだろう。
そんな中、トヨタVにチームを勝利へ導く“ビッグボス”が帰ってきた。もちろんスティーブ・ハンセン ディレクター・オブ・ラグビー/総監督のことである。
スティーブ・ハンセン氏は、ニュージーランド代表のヘッドコーチとしてラグビーワールドカップ2015イングランド大会で優勝。ワールドラグビーの年間最優秀コーチ賞に4度輝いた世界的な名将である。トヨタVには2019年からディレクター・オブ・ラグビーとしてチームに関わっている。
今季は家庭の事情で合流が遅れたが、この大事な試合を前にグラウンドに戻ってきた。その効果を姫野は、「彼がグラウンドで見てくれているだけで、選手もいい緊張感を持って練習するし、スタッフも緊張感を持って準備をする。そういった威厳がチームを良い方向に回してくれるし、ピリピリ感だけでなくて安心感ももたらしてくれる」と語る。
もちろん、ベン・へリング ヘッドコーチもうまくチームをまとめているが、やはり世界的名将には一目置かざるを得ない。姫野は、「練習時間がちょっと短くなりました(笑)」とジョークを交えつつ、「それは練習を最後までやり切って疲れた状態で終わるのではなくて、自分たちの一番いいところで終わらせるということ。だから自信に満ちあふれた状態で次の試合に臨める」と、“ビッグボス”の見極めのすごさにも言及した。
ニュージーランド代表オールブラックスでスティーブ・ハンセン氏とともに世界一をつかみ獲ったボーデン・バレットも「彼は関わってきたどのチームにもいい影響を与えてきた。彼は僕の一番いいところを引き出してくれる」と絶大な信頼を寄せる。
リーグワンとなって初のトップ4入り、そして優勝を目指すトヨタV。ビッグマッチを前に、ようやく役者がそろった。
(斎藤孝一)
東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)
チームの伝統に新たな魅力をもたらす存在。
シャノン・フリゼルとともにチームは加速する
東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は1月27日、豊田スタジアムでトヨタヴェルブリッツと対戦する。BL東京は日本代表のウイング、ジョネ・ナイカブラが3試合ぶりにスタメンに復帰し、強力メンバーで開幕6連勝を狙う。
ここまでに5トライを挙げ、トライランキングで暫定2位につけるシャノン・フリゼルは、ハイランダーズ時代の同僚である、姫野和樹との対戦に意欲を示した。
「エキサイティング。ハイランダーズに姫野が来たときにチームの助けになってくれたので、彼と対戦できることを楽しみにしています。良い選手で、良い友だちでもあるので」
ニュージーランド代表33キャップのシャノン・フリゼルは195cm、114kgの体格で、国際舞台ではパワフルに突破するシーンが目立っていた。しかし、BL東京の練習や試合を取材していると、細かいステップやタイミングの良いハンドオフ、不利な体勢でも相手を倒すタックルなど、スキルレベルの高さにも目を奪われる。
「スキルは練習しないと出せないものなので、練習中から意識しています。試合では基本的に目の前の相手を見て、それに応じて体が勝手に動くという感じです」
シャノン・フリゼルはサラリと語るが、同僚のリッチー・モウンガは「ダイナミックでパワフル。すごくタフで、大きな体ですが細かなスキルもあります。ラグビーIQもすごく高いです」と絶賛。シャノン・フリゼルのオールラウンドな能力は、チームの開幕5連勝に大きく貢献している。
シャノン・フリゼルは全体練習後には若手選手のタックル練習に自ら混ざるなど、チームメートとも良好な関係を築いている。「すごく楽しんでいます。5連勝できていることはとても良いことですし、このチームには経験のある選手も、楽しみな若手もそろっています」と充実の表情を浮かべる。
チーム伝統の強力フォワードに、新たな魅力を加えている29歳。悲願のNTTジャパンラグビー リーグワン初優勝に向けて、シャノン・フリゼルはチームメートとともに加速していく。
(安実剛士)