NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第5節
2024年1月28日(日)14:30 パロマ瑞穂ラグビー場 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs 九州電力キューデンヴォルテクス
豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)
当たり前のことを当たり前に。
“怠らない男”のハードワーク
4試合を終えて3勝1敗の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)。前節は今季初黒星を喫したものの、勝点15で2位につけている。パロマ瑞穂ラグビー場で行われる前半戦最後の試合の相手は、九州電力キューデンヴォルテクスだ。約2年ぶりの顔合わせとなる。
2週間前に行われた前節の浦安D-Rocks戦は、後半7分で悪天候により試合が中断されると、試合再開の目途が立たずそのまま試合成立が決定。7対10で敗れる結果となった。消化不良の感は否めないが、その中でも得られた収穫や課題をもとに、2週間準備してきた。前節に溜まったうっ憤を晴らすような試合展開を期待したい。
そんな前節、チーム唯一のトライを奪った松本仁志はここまでのチーム状態をポジティブに捉えている。過去2シーズンはけがで試合にあまり絡めなかったが、今季はここまで全試合に出場。その要因を「今季は練習から一人でタックルに行きたい場面でも我慢して、味方とのコネクションを大事にしている。それが結果としてけが予防になっている」と語る。これまでに培った経験から、けがが起こりそうなプレーや状況を予測することで、万全の状態を維持している。
過去には共同主将を務めた経験もあり、今季で在籍9年目を迎える古株。「共同主将のときは、プレーでチームメートの信頼を勝ち取らないといけないと感じた」と、背中でチームを引っ張る大事さを学んだ。年齢も30代に差しかかり、これまで得てきたさまざまな経験を生かせるようになったことで、選手としての深みが出てきた。
そんな自身の哲学はチームへの献身的な姿勢。「ほかの人よりハードワークする姿が自分なりの13番(センター)像。誰にでもできそうなことだけど、頑張らないとできないこと」。
当たり前のことを、当たり前にやってのけるのはラグビーにおいても難しい。その重要性を誰よりも感じているからこそ、松本は怠らない。武器であるディフェンスとハードワークで、今節も存在感を放つ。
(齋藤弦)
九州電力キューデンヴォルテクス(D2)
「好きだからこそ勝ちたい」。
古巣戦で見せつけたい九州での覚悟
前節、今季初勝利を挙げた九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)。連勝を懸けて臨む今節は豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)とのビジターゲームだ。1月28日(日)14時30分からパロマ瑞穂ラグビー場でキックオフを迎える。
「僕が移籍してから好調なので悔しいです。だから、あまりS愛知の試合を見たくない。元カノが急にきれいになったみたいな感じで(笑)」
笑いながらそう話すのは昨季までS愛知に所属し、今節は古巣戦となる尾池亨允だ。「意識する」という“元カノ”の今季の好調ぶりはやはり気になるようだ。
「出てくるかどうか分からないですけど、1番の南(友紀)は同期でよく遊んでいたので負けたくない。昨季までキャプテンだった山口(知貴)は花園近鉄ライナーズでも後輩だったので意識する相手。あとはセンターの松本仁志は関西大学の同期なので意識します。意識する相手がいっぱいいるのでイヤですね(苦笑)」
楕円のボールを追いかけて苦楽をともにした仲間たちと今度は対戦相手として顔を合わせることになる。だからこそ、尾池はこの一戦に燃えている。
「元チームメートになりますけど、みんなのことめっちゃ好きなんですよ。好きやからこそ、勝ちたい。真剣勝負を楽しみたい」
ただ、「好きだからこそ」の思いは九州KVでも芽生えている。
「チームの雰囲気、めっちゃ好きです」と宮崎県出身の尾池は地元・九州でのラグビーの日々を楽しんでいる。かつて、宗像サニックスブルースにも所属していたが、当時、「野心があって強いチームでプレーしたかった」尾池は神戸製鋼コベルコスティーラーズ(現・コベルコ神戸スティーラーズ)に移籍。しかし、プロップに日本代表経験者が並ぶ層の厚さに「現実を知らされた」という。
今季、再び、九州でプレーするチャンスを得たが、「『九州でずっと暮らす、九州でずっとラグビーをする』って心の中で決めました。自分の好きなラグビーを九州でとことんやりたい」と骨を埋める覚悟で九州KVのユニフォームに袖をとおした。
「スクラムでペナルティを取ってチームに勢いを与えること。フィールドプレーも好きなので、特にタックルで『プロップなのに行ってるやん!』ってチームメートにもお客さんにも思ってもらいたい。それで盛り上がってもらえればうれしい」
好きだからこそ、S愛知に勝ちたい。好きだからこそ、九州KVで勝ちたい。誰よりも強い勝利への思いを胸に尾池はこの一戦に臨む。
(杉山文宣)