2024.02.29NTTリーグワン2023-24 第8節 三重H vs 横浜E-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第8節
2024年3月1日(金)19:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
三重ホンダヒート vs 横浜キヤノンイーグルス

三重ホンダヒート(D1 カンファレンスA)

秩父宮での三重H初のホストゲーム。
負けられないスクラムの攻防

早稲田大学でプレーしていたときにバックスからフォワードへ転向した三重ホンダヒートの鶴川達彦選手。「スクラムのヒットのところでは絶対に負けないようにしたい」

三重ホンダヒート(以下、三重H)は3月1日、初めて秩父宮ラグビー場でホストゲームを開催する。

昇格1シーズン目。ディビジョン1の壁に苦しんでいる三重Hだが、多くの選手が「互角に戦えている」、「ヒートの強み」として挙げたのがスクラムだ。

相手と直接組み合うスクラムの要・プロップとして全試合に先発出場している鶴川達彦も、「いろいろな局面がある中で、スクラムが一番通用していると思います。例えば静岡ブルーレヴズなどスクラムを強みにしているチームに対しても互角でしたし、実際にペナルティを取るなど、押せるスクラムもありました。さらに精度を高めていけばこれからもっと武器にできると思っています」と胸を張る。

三重Hが大事にしているのは「コネクション」だ。

「バック5(スクラムで最前列を務める選手以外の5人)のウェイトはほかのチームに比べて重くないので、パワーだけのスクラムだと負けてしまう。だから、(スクラムを組む)8人全員がいかに隙間なくまとまって同じ方向に押せるかにこだわっています。その中で、フロントローは、後ろ5人の力をしっかりと伝えることと、『クラウチ』『バインド』『セット』のコール時のバランスを取るのが役割。体重で負けてしまうぶん、スクラムのヒットのところでは絶対に負けないようにしたい」(鶴川)

ドローンで撮影した映像を見ながら、細部にこだわって練習を重ねている。

細部にこだわって練習を重ねてきたというスクラムに注目だ

実は、鶴川は早稲田大学1年次まではバックスの一員、センターの選手だった。2年次にナンバーエイトになり、3年次からプロップに転向した。「ちょうどラグビー界でバックスからフォワードへの転向が増えてきた時期で、当時のチームはフロントローが不足していたので、体の強さを見込まれて転向を勧められました」。

同じラグビーでも、バックスとフォワードでは別の競技と言われるほどの違いがある。「バックスのときはフォワードの練習を見て『あんなの絶対にやりたくない』と思っていましたね(笑)。体重が重くなるので走れなくなるし、スクラムやモールは見えないところですごくパワーを使うのでキツかったです」と転向当時を振り返る。

それでも、配置転換から2年でジュニア・ジャパン(23歳以下のナショナルチーム)に選ばれるまでに急成長。「当時の早稲田大学はスクラムに力を入れていて、スクラムの練習時間を長くとっていたので、そのおかげで成長できたと思います。毎日60本を組むなど、スクラムのやり過ぎで首の後ろと頭が擦れて……。練習中は気がつかないんだけど、シャワーを浴びるときに『痛っ』となる、そういう毎日でした」

今節対戦する横浜キヤノンイーグルスのフロントローは、大学時代に対戦したこともある明治大学出身の祝原涼介や安昌豪が形成する。「大学のときにも組んだことがありますが、やっぱりプロップはそれぞれスクラムにこだわりを持っている。プライドを持って臨んでくると思うので、対戦が楽しみです」。

早明戦の舞台でもある秩父宮ラグビー場。今節は三重Hのファンで真っ赤に染まることだろう。「初めての東京でのホストゲームでみんな気合いが入っています。会社の関係者や三重Hのファンの前で恥ずかしい試合はできない。チーム全員でしっかりとまとまって戦いたいと思います」。

(山田智子)

横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスB)

南アフリカからの新参者が、横浜Eの“起爆剤”に

横浜キヤノンイーグルスの新戦力、ローハン・ヤンセ・ファンレンズバーグ選手。「チームメートが合流初日から歓迎してくれたことでチームに対する帰属意識が芽生えた」

横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)にとって、今季初のナイターゲームとなる今節の三重ホンダヒート(以下、三重H)戦。2連敗中の横浜Eが昇格組の三重Hと対戦する試合は、3月1日(金)秩父宮ラグビー場で19時にキックオフのホイッスルが鳴る。

三重H戦を2日後に控えた横浜Eの練習場、キヤノンスポーツパークは活気に満ちていた。果敢にボールキャリーを行う選手に対して、鋭いタックルで進撃を阻止するバックス陣。体がぶつかり合う音が響き、見事な連係プレーからアタックにつながるシーンが頻発すると、沢木敬介監督から「ナイスゲーム!!」の声が聞こえてきた。

「われわれにとっては自信を取り戻す試合になる」。そう話したのは前節の東芝ブレイブルーパス東京戦(以下、BL東京)がリーグワンデビュー戦だったローハン・ヤンセ・ファンレンズバーグ。終了間際に無得点での敗戦を回避する“希望のトライ”を奪った選手だ。

BL東京戦で“名刺代わり”の活躍を披露したローハン・ヤンセ・ファンレンズバーグは、南アフリカ出身のセンター。2016年に来日経験がある彼は「好みのランニングラグビーを展開するリーグワン」でプレーすることを夢見てきたという。

シーズン途中の新戦力は、2月18日に来日したばかり。わずか1週間足らずの期間でチームに溶け込み、早速結果を残した。ローハン・ヤンセ・ファンレンズバーグは言う。

「チームメートが合流初日から歓迎してくれたことでチームに対する帰属意識が芽生えた。そんなチームメートのためにも、毎試合いいパフォーマンスを見せなければならないという責任感に駆られている」

現在の横浜Eは2連敗中。ローハン・ヤンセ・ファンレンズバーグが横浜Eで成し遂げたいと掲げる“リーグワンのチャンピオン”のためには、これ以上の足踏みは厳禁だ。センターで先発予定の元南アフリカ代表は言った。

「僕のストロングポイントはスペースを見極めてそこに走り込むことと、ボールを持っている際に何かを作り出すこと。そのストロングポイントがチームの力になると思う」

南アフリカからの新参者が、横浜Eの“起爆剤”となる。

(郡司聡)

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