2024.02.29NTTリーグワン2023-24 第8節 花園L vs BL東京-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第8節
2024年3月2日(土)12:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ vs 東芝ブレイブルーパス東京

花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)

夢舞台での失意を乗り越えて。
セミシ・マシレワが待望の復帰

花園近鉄ライナーズのセミシ・マシレワ選手が待望の復帰。公式戦出場は昨秋のラグビーワールドカップ2023フランス大会以来となる

7連敗でいまだ勝利がない花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が3月2日のNTTジャパンラグビーリーグワン2023-24ディビジョン1 第8節交流戦で東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)と対戦する。

花園Lとは対照的にBL東京は開幕から負け知らずの7連勝。花園Lはホストゲームに好調を維持する2位チームを迎える。

前節はクボタスピアーズ船橋・東京ベイに19対56で敗れたものの、後半のスコアだけを見れば19対17で前年度王者を上回った。徐々にチームを成長へ導いている向井昭吾ヘッドコーチにとっては選手時代、そして監督として多くのモノを残してきた古巣との再会だ。

「日本選手権で勝たせたのも僕。思い入れは強いですけど、負けたくない」(向井ヘッドコーチ)

そんな指揮官がBL東京戦に向けて「バックスはそろってきた」と手ごたえを口にする明確な理由がある。ラグビーワールドカップ2023フランス大会にチームから唯一選出されたセミシ・マシレワが、今季初めてメンバー入りを果たしたのだ。

大会前のテストマッチで4試合に出場し、4トライ。トライ後の”エガちゃんポーズ”でラグビーファンの心をつかんだセミシ・マシレワだったが、フランス大会初戦となるイングランド戦では開始早々に負傷交代。夢の大舞台での挑戦はわずか7分でピリオドを打たれ、チームからも離脱した。

痛めた右太ももの影響でピッチから遠ざかり続けてきたセミシ・マシレワにとってはイングランド戦以降、初めての公式戦。フルバックで出場するこの一戦に懸ける思いは当然、強い。

“桜のジャージー”をまとったことで得た充実感は当然あるというが、花園Lの一員として挑む試合は、セミシ・マシレワにとって特別だ。

「花園Lは自分にとって大事な一部。ピッチの中だけでなく、雰囲気づくりやエネルギーを与えることなどでも貢献できると思っています」

ムードメーカーでもあるセミシ・マシレワだが、その際立つ個の力も当然、花園Lの力である。前節、トライを奪っている木村朋也は「アタックのクオリティーが上がるし、彼にボールを渡すと何かをしてくれそうな気配がある。キックも飛ぶので後ろを任せて安心して前にディフェンスに行けます」と話す。

東大阪市花園ラグビー場でのプレーは日本代表としてトライも決めた昨年7月29日のトンガ代表戦以来。「まずは、自分にプレッシャーを掛けないように楽しみたい」。けがを乗り越えたセミシ・マシレワが、ついに“花園”に帰ってくる。

(下薗昌記)

東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)

「自転車で10分」の地元での一戦。
武器の予測力で導く、勝利への道順

東芝ブレイブルーパス東京の9番(スクラムハーフ)杉山優平選手。相手の9番と10番の「目線などを見て、予測して動ければと思っています」

東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は3月2日、東大阪市花園ラグビー場で花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)と対戦する。

開幕7連勝と勢いに乗るBL東京において、飛躍のシーズンを過ごしているのが杉山優平だ。筑波大学出身の26歳は、ここまでの7試合すべてに出場し、5試合で先発。テンポの良いパスと献身的なディフェンスで、好調なチームを支えている。

昨季の3試合出場から大幅に出場時間を延ばして重要な役割を担っているが、杉山は慎重に自身を見つめている。

「結果的に試合に出させてもらっているのですが、開幕のときは経験値が多くなかったので。段々とゲームに慣れてきて、自分の成長できるポイントが見えて、次の試合で実践して……という形です」

さらなる成長に向けて、杉山のポイントになっているのは予測すること。

「予測というのは自分の中で意識しているところです。ただパスを放るだけではなくて、相手がどうするか、自分たちがどうしたいかを予測して、相手との駆け引きにプラスして自分たちのコミュニケーションのバランスをどう取るかをすごく意識しています。あとはディフェンスでも予測して自分で動くことを意識しています」

前節の横浜キヤノンイーグルス戦では、前半4分に相手のタッチキックをノーバウンドで捕球して正確なクイックスローで先制トライを演出し、前半20分には逆サイドを抜けてきたウイングの竹澤正祥をスマザータックルで倒して落球させるなど、杉山の先を見た動きはチームを助けていた。

今節、対戦する花園Lは、オーストラリア代表110キャップのウィル・ゲニア、同代表80キャップのクウェイド・クーパーを擁する。

「9番の(ウィル)ゲニア選手と10番の(クウェイド)クーパー選手がどういうところを見ているのかを試合の中で目線などを見て、予測して動ければと思っています」

実家から「自転車で10分ぐらい」という地元での一戦。杉山は世界的なスーパースターとの対戦でも、“予測力”を発揮してチームを勝利に導く。

(安実剛士)

ニュース一覧へ