2024.03.08NTTリーグワン2023-24 第9節 東京SG vs 花園L-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第9節
2024年3月9日(土)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東京サントリーサンゴリアス vs 花園近鉄ライナーズ

東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスA)

「もっと泥臭く」。松島幸太朗がチームに求める、さらなる意識

東京サントリーサンゴリアスの松島幸太朗選手。「昔の強かった東京SGと比べて、泥臭さがなくなっているように感じます」

前節、62対0という完封劇を収めた3位の東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)。リーグ戦を折り返して迎える第9節は、秩父宮ラグビー場に11位・花園近鉄ライナーズを迎えての一戦だ。

「リーグワンは全体のレベルが上がっていて、弱いチームなんてないし、ラクな試合なんてない。今後の試合も最初から先週のようなインテンシティーで臨んで、しっかり自分たちがコントロールできる試合展開にしていきたい」

こう語るのは、前節2トライの活躍でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた松島幸太朗だ。松島自身「体の状態はいいですね」と語るように、彼の調子が上向いてきたからこそ、チームも機能し始めた。そう思いたくなるほど出色の出来だった。最近はアレルギー検査を元にした食事改善にも取り組むなど、31歳を迎えてなお、向上心はとどまるところを知らない。

その向上心は自身だけでなく、チームにも向けられる。先週の大勝にも、「ラインブレイクされた場面もあったし、疲れたときこそ周りとコミュニケーションを取って、細かいところの精度を上げていかないと」と手綱を締める。

振り返ればこの1カ月、スーパーラグビー・パシフィックのブルーズとの一戦や首位を走る埼玉パナソニックワイルドナイツとの試合を前にして、誰よりもチームに活を入れていたのも松島だった。

「よくなければ言うようにしています。漫然とプレーしていても同じミスを繰り返すだけで、チームとしては成長できない。そのミスの連鎖を止めることができれば、自分たちの成長につながりますから」

松島が特に言葉を重ねていたのは「もっと泥臭く」という部分だ。

「昔の強かった東京SGと比べて、泥臭さがなくなっているように感じます。そこは選手の意識で変わる。日ごろから互いにミスに対して厳しく言い合うことで闘争心も生まれてくるし、競い合わないとチームは強くならない。球際で泥臭く、その上で相手陣地に入ったらボールを継続させる。自分たちはこれで勝つ、というスタイルを意識して戦いたいです」

今節は1位と2位が直接対決するだけに、3位で追う東京SGとしては、しっかり勝って上位との差を詰めておきたいところ。松島が後方から勝利を目指して睨みを利かせる。

(オグマナオト)

花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスA)

手ごたえをつかんで迎える東京SG戦、
「12対64のリベンジを」

花園近鉄ライナーズの中村友哉選手。スクラムハーフとしてウィル・ゲニア選手と競い合い、この試合では今季初の先発

今季まだ勝利は手にしていないものの、徐々にチー厶としての成長を見せ始めている花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が3月9日のNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24ディビジョン1 第9節 交流戦で東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)と対戦する。

前節は、東芝ブレイブルーパス東京に対して後半、一時逆転に成功。後半33分まで32対31でリードしていた。それだけに、東京SG戦に向けた7日の練習も活気と熱気に満ちあふれていた。練習の最後に組んだ円陣でキャプテンの野中翔平は「まだまだ上を目指せる。その余白を楽しもう」と声を掛けたという。

強豪との3連戦の締めくくりとなる東京SG戦では、中村友哉が今季初先発予定だ。

向井昭吾ヘッドコーチは「中村はディフェンスをしっかりやるし、パスワークも遅くない。逆にそこで自信を付けてもらいたいし、一皮剥けたチームにするためにも若手がしっかりプレーをして結果につなげれば、また自信になりますから」と中村ら若手のさらなる成長がチームの“余白”になると考えている。

同ポジションを務めるウィル・ゲニアのコンディションに問題はなく、あくまでも中村自身が最近の試合で見せるパフォーマンスでつかみ取った“抜擢”だが、中村の心中にあるのはBL東京戦の悔しさだ。

BL東京戦では後半から投入され、持ち味のテンポよいプレーでリズムを作り出したが、「残り10分間で勝ち切れなかったのがフィニッシャーとしての僕の弱さ」と振り返る。

“たられば”を口にしようとしない162cmの小柄なスクラムハーフが、1年前の3月17日、ディビジョン1で初先発を飾った相手が奇しくも今節対戦する東京SGだった。12対64で大敗したものの、「結果としては点差がありましたけど、個人としてはあの試合の感触は良かった。チームとしてレベルアップしている部分を出したいです」と中村にまったく気負いはない。

東京SGには日本代表でもスクラムハーフを務めてきた流大と齋藤直人がいるが、中村は1年前と同じ言葉を口にした。「昨季も聞かれましたね。誰が相手のスクラムハーフでもリスペクトを持っていますけど、普段から相手にしているのはウィル・ゲニアなので、どの相手にも気負いはありません。自分が対面する相手に勝たないとチームは勝てないと思っています」。

ただ、中村が孤軍で立ち向かう必要は決してない。BL東京戦ではクウェイド・クーパーが本領を発揮し、木村朋也や片岡涼亮らウイング陣も好調を維持。「一つひとつのスキルが上がっているし、昨季ディビジョン1を経験したからこその落ち着きも出てきています」と中村は話している。個人としてもチームとしても、“12対64”のリベンジを目指す。

(下薗昌記)

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