2024.03.08NTTリーグワン2023-24 第9節 三重H vs BR東京-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第9節
2024年3月10日(日)12:00 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート vs リコーブラックラムズ東京

三重ホンダヒート(D1 カンファレンスA)

鮮烈デビューを飾った新星がホストゲームで初先発。
「三重Hを勝たせられる選手」への誓い

「あまり緊張しないタイプ」「将来は日本代表を目指したい」と語る三重ホンダヒートの北條拓郎選手。アーリーエントリーで前節がデビュー戦だった

前節、秩父宮ラグビー場で行われたホストゲーム。三重ホンダヒート(以下、三重H)は敗れたものの、後半だけで今季最多となる3トライ、21得点を挙げた。その起爆剤となったのは、アーリーエントリーの北條拓郎だった。後半9分に根塚聖冴に代わって出場すると、その1分後にはディフェンスの間を抜け出してチャンスを作り、渡邉弐貴のトライを演出した。

「あまり緊張しないタイプ。いつもの自分を出さないとアピールできないので、普段どおりリラックスしてやろうと思っていました。大学4年生のときにキャプテンをやらせてもらってから、緊張しなくなったし、周りが見えるようになりました。スペースに自分で持っていくのが持ち味なので、チャレンジしていこうと試合前からずっとイメージしていました」(北條)

13,428人の前で鮮烈デビューを飾った新戦力は、狙いどおりアピールに成功。3月10日、本拠地の三重交通G スポーツの杜 鈴鹿で開催されるリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)とのホストゲームの先発を勝ち取った。

チームに合流したのは2月4日。6日から練習に参加した。まだ1カ月弱だが、準備はできていた。

「自分の中ではかなり早い段階で三重H入りを決めていたので、試合は全部観ていました。自分が入ったらこうしようとキックの使い方やボールの運び方をイメージして、成長していくチームの力になりたいと思いながら観ていました」

初めての実戦は、第7節の翌日に行われたトヨタヴェルブリッツとのトレーニングマッチ。当初は予定になかったというが、急きょ呼ばれて後半10分間だけ出場した。「本当にいきなり言われたので、とりあえずガンガン行って、必死に声だけは出していました」。

物怖じしないメンタルと高いスキルを、キアラン・クローリー ヘッドコーチは高く買っている。

BR東京戦に向けて、北條は、「三重Hの1勝目を飾りたいですし、僕が勝利に導けたらと思っています。相手も1勝しかできていなくて、おそらくめちゃくちゃ気合いを入れていい準備をしてくると思うので、それに負けないようにハードワークできるかがカギになる。相手のスクラムハーフは左足のキックがあるなど、少しクセのあるチームなので、しっかりと対応していきたい」と前節以上の活躍を誓う。

「将来は日本代表を目指したい。そのためにも、三重Hを勝たせられる主軸選手になりたい」と話す北條。強気な22歳の新星が後半戦のキーマンの一人であることは間違いない。

(山田智子)

リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスB)

大敗の事実、厳しい指摘を受け入れて。
基礎を見つめ直して臨む再起の一戦

リコーブラックラムズ東京は前節の大敗を受け、武井日向キャプテンを中心に基礎練習に時間を割いてきたという

「切り替えていこう!」の大きな掛け声から始まった、週初めのグラウンド練習。前節・東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)との一戦で完封負けを喫したリコーブラックラムズ東京は、沈むことなく次なる戦いへと歩みを進めていた。

0対62。衝撃的な大敗だった。チームスポーツでありながらどこかチーム感を失ってしまった、東京SGとの80分間。

「僕自身も『どうしよう、どうしよう』となってしまった。それがチーム内に伝染していたと思います。それぞれが個々のプレーに走ってしまった結果、チームとしてのフォーカスポイントからズレていってしまったな、って」

そう話したのは、キャプテンの武井日向。試合直後に行われた記者会見では「今季これまで良い試合を何回もしてきたからこそ、今週もそういう試合(良い試合)になるんじゃないか、という安心感がもしかしたらあったかもしれない」との言葉を残している。

砧のクラブハウスに戻った選手たちには、コーチ陣からの厳しいレビューが待っていた。

「さまざまなところに敗因はありました。マインドセットも、規律も。簡単なミスから相手にボールを渡してしまったシーンもありました」

厳たる言葉は続いた。だが、次に進むため『しっかりと受け入れる』という作業をチームは丁寧に行った。

「実はレビューの前に、選手たちだけでミーティングをしたんです。『ミーティングルームでは厳しいレビューをコーチから受けると思う。しっかり受け入れよう。そしてこのドアを一歩出たら、次の試合のことだけにフォーカスしよう』と僕から伝えました」

受け入れ、そして次へと進んだ。

グラウンドでは、基礎練習に時間を割いた。ミスしないことを第一条件としたボールをつなぐ練習。そのためのコミュニケーションを求めた。ひざをついた状態から、ボールをよりクリアにリリースする練習も行った。

もう一度、基礎から。もう一度、立ち上がるために。武井は言う。

「ミスを続けないことが大事。『プレッシャーが掛かった状況下でもスキルを発揮する』にフォーカスした練習に、今週は取り組んでいます」

リーグ戦も折り返し地点を過ぎ、現在10位。10位以下は、ディビジョン2との入替戦が待ち受ける。

「正直、まったく入替戦のことは考えていません。今週の試合にどう勝つか、だけです。来週の試合のことも一切考えていません。今週、三重ホンダヒート(以下、三重H)に勝つためだけの準備をします」

この一戦だけを見据えて。3月10日(日)、敵地で三重Hとの戦いに挑む。

(原田友莉子)

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